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残業時間上限規制の労使合意・・・働き方改革実現会議
 
       
2017年3月27日    政府の「働き方改革実現会議」で懸案事項とされてきた、時間外労働(残業)の上限規制を労使の代表(経団連と連合の両会長)が受け入れたことで決着した。月45時間を超える残業時間の特例は年6カ月までとし、年720時間の枠内で「1カ月100時間」「2〜6カ月平均80時間」が上限となる。
 従来も法定労働時間が決められており、原則として1日8時間、週40時間を超えて仕事をさせることはできない。しかし、企業と労働組合とが合意した特別条項付きの三六協定があれば、残業時間は青天井で増やすことができる。この抜け穴を防ぎ、罰則付きの法律(労働基準法で上限時間を明示)で残業時間の上限を規制することは一歩前進といえる。
 電通の過労自殺問題をきっかけに、三六協定による無制限残業に批判が高まっている。では、過労死の認定ラインとされている「月100時間」(もしくは2〜6カ月の平均月80時間)を基準にした今回の労使合意によって、長時間労働という状況は改善されるだろうか。
 日本企業の職場が慢性的な長時間労働に陥り、改善の必要があることは多くの人が認識している。それでも現実に長時間残業はなくならず、今回の交渉でも画期的な決断は行われなかった。その最大の理由は、「労働時間を減らすと企業の利益が減ってしまう」と多くの経営者が考えているからである。つまり、長時間労働の根本的な原因の1つに、日本企業の生産性の低さがある。したがって、単純に労働時間を減らせばよいとならないのである。
 企業の付加価値が労働時間に依存している(労働集約的事業)場合、労働時間を減らしてしまうと、企業の生産性もその分だけ減ってしまい、結果的に生産性の数字は変わらず、付加価値の絶対値だけが減少することは十分にありえる。したがって、生産性の式の分母(労働時間)を減らしても、それに連動して分子(付加価値)が小さくならないような取り組みが必要になってくる。逆に言えば、企業が高い付加価値を生み出していれば、短時間労働でも同じ賃金を保証できることになる。
 
 日本企業の低い生産性
 日本企業の長時間労働は周知の事実だが、これにはムラ社会的な日本企業の組織文化や労働慣行など、様々な要因が関係している。だが共通の背景として、日本企業の低収益性については、過去から指摘されてきた通り相変わらず低いままである。この部分を改善できなければ、抜本的に長時間労働を解決することは難しい。
 労働生産性とは、労働によって生み出された生産額(付加価値)を労働投入量(人数×時間)で割ったものである。より付加価値の高いモノやサービスをたくさん生産し、逆に同じ生産量であっても短時間労働で済ませることができれば労働生産性は上昇する。一方、付加価値の低いものばかり生産していたり、労働時間が長かったりすると労働生産性は低下することになる。
 2016年版の労働白書(2016.9月)における、日本の労働生産性はかなり衝撃的である。主要国の中で日本の労働生産性は突出して低く、フランス、ドイツ、米国の生産性は日本の約1.5倍もある。これは実質値、名目値とも同じような結果になっているので物価水準は関係ない。純粋に日本の労働者の生産性と考えてよい。
 実質労働生産性の要因を分解すると、他の主要国は生産性の上昇分のうち多くが付加価値の増加によってもたらされている。つまり、企業は儲かる製品やサービスを作り出していると解釈できる。一方、日本の上昇分には付加価値要因はほとんどなく、物価(コスト)下落でのみ生産性が上昇している。つまり数値の上では、日本は儲かる製品やサービスをまったく生み出せていないことになる。
 これまで、日本はサービス業の生産性は低いものの、製造業は高いとされていたが、この神話も崩れ去っている。製造業の実質労働生産性の水準は米国、ドイツ、フランスと比較すると2割から3割も低い。製造業においても、日本はまったく勝てていないのが現実だ。当然のことサービス業の生産性水準は低く、主要国では最低である(飲食の比較)。また産業間の格差はドイツについで大きい。全体の水準が低いうえに、格差も大きいということになる。
 最大の問題は、日本において付加価値の上昇がまったく見られない点である。付加価値が低い原因としては、情報化投資や社外での教育投資が少ないことを白書では指摘している。主要国の中では日本はIT資産装備率の上昇ペースがもっとも遅く、さらに人的資本投資の増加率についてはマイナス10%となっている(諸外国はプラス2%から7%程度)。
 少子化で人口が減少し、GDP(国内総生産)が伸びにくい状況となっているなか、生産性だけが頼みの綱だが、現実はかなり厳しい。まずは、この厳しい現実を直視する必要がある。

 労働生産性を阻害している主要因
 冒頭で残業時間の法的な上限規制は一歩前進と述べたが、日本企業の経営者に「本気で残業を減らす必要がある」という強いメッセージを送ることになる。そして、残業の抑制は必然的に日本企業の効率性を高める圧力となるはずである。
 なぜなら違法残業をさせていた企業が働き方を工夫して業務を効率化させる事はもちろんだが、それ以上に雇用が増えれば、全国的に労働力不足が深刻化し、それが日本企業全体に効率化を迫る圧力となるからである。これまで、日本企業は安価な労働力が豊富に使えたため、生産性を向上するインセンティブが乏しかった。それが今後は、少子高齢化に伴う労働力不足によって、企業は生産性向上に尽力するはずである。もはや、文化の違いなどで済まされる話ではない。
 それでは、日本の労働生産性を阻害している主な要因を挙げてみよう。
 第一の要因として、横並び主義のもとでの体力消耗戦の展開がある。これは、_疆競争を招きやすい似たり寄ったりの経営ビジョン、事業戦略のもとでの事業展開。¬戮る部門が、儲からない部門を支援する総花的経営(フルライン施策)の展開。8楜劼離法璽困鯡技襪掘企業や業界の常識を優先した独り善がりの事業展開。といった一連の企業行動をさしている。
 第二の要因に、非効率を温存する競争抑制的な各種規制が挙げられる。日本には公的規制だけでなく、私的規制が数多く存在し、それが企業社会に競争抑制的な風潮をもたらせてきた。ここでの私的規制には、業界における閉鎖的商慣行ばかりではなく、年功序列を前提とした労使間の閉鎖的労働慣行も含まれる。
 そして第三の要因として、株式持合いによる株主と経営者の間の特殊性と経営者の心理的な資本コストの低さがある。日本企業の経営者は、安定株主の存在によって、株主の利害に神経質にならず、また資本市場からの脅威にそれほど晒されずに、企業の経営資源を内部蓄積することができる。
 日本企業に低収益経営をもたらし、またそれを許容してきた三つの要因を整理したが、これらの要因は粉飾決算(不正経理)や燃費偽装など企業不祥事の原因にも指摘されている。

 生産性向上は経営層の役割
 企業が将来にわたって成長・発展を追求していく上で、長時間労働は克服しなければならない問題として、その取り組みの方向性について考えてみたい。
 その第一は、企業の継続的発展を阻む「成功のパラドックス(論理的逆転)」である。企業行動にはベンチ・マーキングやベスト・プラクティス手法を駆使して「各企業は競争相手の競争力を少しでも凌駕しようとして互いに懸命に努力する → 業界における競争が激しくなる(クリアしなければならないバーが高くなる)→ 各企業は高くなったバーをクリアするためにさらなる努力を積み上げる → 業界での競争が一段と激化する(バーが一段と高くなる)→ 各企業はなおも必至に努力する」という悪循環を招き、競争に参加する企業を疲弊させるのである。
 そうした「競争のパラドックス」から抜け出すためには、現行の競争ルールではなく、競争ルールの革新(製品・市場セグメントの選択+事業システムの設計=新事業戦略)を追及することが不可欠となる。(経営者の役割:事業の決定、組織の価値観の決定)
 第二は、付加価値を生まない仕事に労力を投入しないことである。「神は細部に宿る」という言葉があるが、日本人は行き過ぎると品質やサービスにこだわりがちである。こうした細部へのこだわりが、高品質に結びつき、世界最高の高品質生産国にしている。
 しかし、結局はこの2つの過剰が生産性の差となって表れている。そもそも、ビジネスの仕事において、売上や利益に結びつかない部分にいくら労働力を投入しても生産性を下げるだけである。付加価値を生み出す仕事に集中して労力を投入し、それ以外はできるだけ力を抜くといったメリハリが大切である。(経営者の役割:経営資源配分の決定)
 第三は、離職を防止するリテンション・マネジメントの実践である。人材難が進み「人材格差」が「企業格差」になってきている。優秀な人材を採用すると同時に、いかに自社にとって必要な人材を引き付け、引き留めていくかが(リテンション)、多くの企業に求められている。
 その際に問題となるのが、「金銭的な報酬」だけでなく、それ以外の要素(非金銭的報酬)の影響が大きいことである。各企業によって優秀な人材像は異なり、そこから導き出されるリテンション対策も異なってくる。また、何によってモチベートされるのかは、働く個人の特性によって異なってくることから、自社なりの「リテンション施策」を講じることが第一である。
 (経営者の役割:人材配置の決定)
 経営者には、3つの役割がある。第一に事業の決定、組織としての価値観の決定である。第二に、資源配分の決定である。そして第三に、人材配置の決定である。(ピーター・ドラッカー)
   


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