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世界に広がる反グローバル化の潮流・・・グローバル化への疑念
 
       
2017年1月29日    新しい年を迎えたが2016年は今までは考えられなかったような政治の変化や経済イベントが世界各地で起こった。英国民が国民投票で欧州連合(EU)離脱を決めたこと、米国民が国家回帰(保護主義)を掲げるトランプ新大統領を選んだことなどがその代表である。こうした動きの根底には脱グローバル化という共通点がある。国際社会では、時代が逆流しているようにも見える現象が続いている。
 フランスの社会人口学者エマニュエル・トッド氏は、先進国の戦後社会を3つに区分している。‖莪譴龍菠は、1950年から1980年頃までの経済成長期である。これは福祉国家の時代でもある。各国は安定的成長を経験し、庶民の所得も上がり、消費社会が到来した時代である。第2区分は、1980年頃から始まるサッチャーやレーガンが現れた新自由主義に基づくグローバル化の時期である。そして、B茖涯菠は、2010年ごろから徐々にその兆しがみられ「脱グローバル化」「国民国家への回帰」へと向かっているというのだ。
 この区分に基づけば、グローバル化の時代はすでに過去のことになっている。そして現在は、格差問題や社会の不安定さなどグローバル化の生み出した様々な問題が社会を疲弊させ、その対策を行うために「脱グローバル化」の流れが各国で顕在化してきている。
 ところが日本の大手マスメディアは、「グローバリズム=絶対善」という新自由主義の論調の下、世界の反グローバル化の動きを「ポピリズム(大衆迎合)」の一言で片付けている。何故、脱グローバル化なのか、グローバルの問題点には全く触れられていない。マスメディアが間違っているのは、グローバリズムを進めることが進歩であって、ローカリズムが退行現象と思い込んでいるのではないだろうか。新しい年のスタートにあたり、世界の反グローバル化の流れについて考えてみたい。
 
 グローバル化の歴史は繰り返されるのか
 今日のグローバリゼーション(貿易、投資、人の移動、技術の移転)が冷戦終結後の現象であると考えている人は多いが、19世紀後半から第1次世界大戦が勃発した1914年ごろの間にも、似たような時代があり「第1次グローバル化時代」と呼ばれている。当時も世界経済の統合が現代と同じように進んでいたのである。
 グローバル化が進むと各国の規制が緩和され、その結果として必然的にバブルが起きる。特に米国のような大国でバブルが起きて弾けると、危機は一気に世界に波及する。1929年の大恐慌も米国経済がおかしくなり(第一次大戦後の復興景気による不動産と株式投機によるバブル崩壊)、それが1931年に欧州に波及し、さらに南米へと世界に飛び火していった。米国、英国は当時、即座にブロック経済を実施し、結局そのしわ寄せは当時途上国であった日本やドイツ、イタリアにいき、三国は経済的に追い詰められていった。
 ブロック経済とは、自国や自治領、植民地を高い関税で取り囲み、他国からの安い輸入品などが入ってこないようにした政策のことである。そして、自国や自治領、植民地の間での貿易では低い関税として内部で経済交流を盛んにして恐慌を乗り切ろうとする。こうして世界はブロックごとに別れて貿易を行い、それ以外の国では貿易が沈滞し「持てる国と持たざる国」の対立が強まるっていった。その結果、日本を含めた三国は同盟を結び、第二次世界大戦へと突入していくことになったのである。
 このときの失敗を反省して第二次世界大戦後、為替切り下げ競争を回避するためにIMF(国際通貨基金)を作り、ブロック経済を回避し自由貿易を推進するためにGATT(関税および貿易に関する一般協定)が作られたのである(1944年7月、ブレトン・ウッズ協定)。
 この協定によって、2008年にサブプライムローンに端を発する世界同時不況が発生したが、それでも世界は恐慌には至っていない。しかし、リーマンショック以降の一連の危機は、やはり従来の不況とは全く違う。本質的には今の経済状況は大恐慌の水準にあると考えるべきで、各国は再び保護主義の傾向が強くなってきている。

 反グローバル化への世界の潮流はポピリズム(大衆迎合)なのか
 グローバリズムの支持者は、「保護主義」という言葉にアレルギーがあるようだ。「保護主義的な政策や人の移動を抑える動きは、世界経済を下押しし、人々の暮らしをかえって悪化させかねない」と警告している。また、「2008年に始まった金融危機以来の経済停滞で中間層の雇用や所得が低迷し、それに対する人々の不満につけこみ、安直だがわかりやすい政策で支持を得ようとする政治の動きが蔓延している」と主張する。(「 」内は、新聞社記事抜粋)
 しかし、よくよく考えれば、この「保護主義」は決して悪でもないし過激なものでもない。
そもそも各国の現在の貿易施策の方針を「自由貿易」と「保護貿易」の二元論で考えると、完全な「自由貿易」の国も、完全な「保護貿易」の国も、この世には存在しない。それぞれの方針にはメリットとデメリットがあり、どちらか一方だけを選択すると、捨去った方のメリットを受けることができず、国の衰退を免れないからである。
 自由貿易のメリットは、自由な交易を通して、各国の長所短所を補いながら、各国が世界中のモノやサービスを共有し、より強い国のより強い産業がさらに発展していくところにある。逆にそのデメリットは、それが過剰になれば、弱肉強食が横行し、より弱い国のより弱い産業が淘汰され、雇用が失われ、挙げ句に需要が縮小してデフレ化していくところにある。一方で、保護貿易のメリットとデメリットは、ちょうどその「逆」になる。
 ハンガリー生まれの社会人口学者カール・ポランニー氏の著書「大転換」(1944年)では、<市場システム(グローバル化)のもたらす悪影響(格差拡大、社会の不安定化等)に対し、それを防ぐための対抗運動(民衆運動)も起こり得る>ことを指摘している。つまり、自由化が行き過ぎすぎると(大恐慌)その反動として、振り子の反動のように保護政策(経済のブロック化)がとられることを説明している。極端に自由化が進と、その反動として規制や保護を強化していく保護政策がとられる。そして、また自由化して競争する、ということがこれまでも繰り返されてきたのである。これを単純に、ポピリズム(大衆迎合)、ファシズム(全体・排外主義)といってよいのだろうか。

 グローバル化は「経済合理性」と「社会合理性」のバランスが重要
 自由市場経済は、健全に運営(公正なルール)されるかぎり正当であるとみなされてきた。自由市場とは「ルールに基づくフェアな競争」であって、スタートラインが平等であれば、結果としての格差は認められる。参加者たちは政府介入に悩まされることなく、長期的な見通しをもって事業に取り組むことができる。企業の努力と運だけで、事業を自由に切り拓くことができる。そのような競争を制度化したものとして、自由市場経済は承認されてきた。
 しかし、市場経済は最終的には一人の独占者と99%の破産者を生み出すとすれば、どうだろうか。多くの人たちは、そのような市場に参加したいと思うだろうか。もっと別のルールの競争に参加したいと思うのではないだろうか。
 2001年に「世界同時多発テロ(九・一一事件)」が起き、世界はグローバル化と反グローバル化の緊張によって大きな試練を受けた。フランス経済学者トマ・ピケティ教授の「21世紀の資本」(2013)は「九・一一事件」後のグローバリズム論議である。つまり、このまま所得上位層1%に対して何も手を打たなければ、100年後には所得上位層の10%が毎年の総生産の90%を独占し、所得上位層の1%がその50%を独占するような事態が考えられる。はたしてこのような状況が生まれたとき、民主主義の社会は維持できるのだろうか。革命が起きるのではないだろうか。
 ここで問われているのは、競争が公正であるかどうかではない。そもそも、そのような過剰な競争に参加したいのかという問題である。99%の確率で破産することが分かっているのなら、気が乗らない人も多いだろう。自由市場経済の利点を認めるとしても、競争のあり方を変更することは可能であり、市場のルールを再設定する権力は、各国(国民)の手に任されている。
 今後もグローバル経済における所得格差はますます広がるだろう。現実的には「ブロック経済(保護貿易主義)」によって関税率を高くした方が、国内の格差是正のためには望ましいかもしれない。反グローバリズムの政策案のほうが、短期的には効果をもっているかもしれない。

 グローバル化によるパワーシフトへの対応
 現代の第二次グローバル化は、そのスピードと衝撃において、過去と質的に大きく異なる。古くは、13世紀の「パスク・モンゴリカ」や15〜16世紀の「大航海時代」にも交易や人の交流を通じて、グローバル化が進んだ。しかし、現代の情報通信革命は予想を超えた速度で進展し、お金と情報が政治体制や経済発展段階、民族、文化、宗教を超えて地球の隅々まで行き渡っている。
 国のパワーシフトにおいても、ヨーロッパの近代国家間での力の中心の移動、そして米国への移動という脈絡で語られてきた。ロシアもヨーロッパのパワーであった。しかし、近年は第二の経済大国となり同時に、軍事・政治で超大国を目指す中国は、明らかに地政的に異なる。
 欧米に追いついた日本や経済発展したメキシコはOECD(経済協力開発機構)に加盟したが、中国にはその気はないようだ。また、グローバル化の根底にある民主主義や公正な市場競争と、そこから派生した国際社会のルールには中国は背を向けている。すでに歴史は、次の段階に進んでいるようである。
 現在の恐慌がどれくらい続くのかは不明である。しかし、前述したように今回の経済的危機もおそらく最後は新興国に波及し、かつて日本やドイツが体験したような政治的混乱や地政学的な緊張が発生してくることは十分に考えられる。その際に成長余地のある新興国は、先進国と異なり、政府がどのような保護政策を打ち出してくるか分からない。特に、外資に対しては厳しい規制を課したり、最悪の場合は国家間の衝突の可能性さえあり得る。
 だからこそ、日本企業は経済だけに目を向けているだけでなく、外交、軍事、政治も含めてトータルなリスク判断をする必要がある。政治や外交は予測不能であることを頭に入れておく必要があるのではないだろうか。
   


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