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個人と組織が成長する"改革理論"の本質 ・・・ 成人発達理論
 
       
2016年8月26日    企業経営にはさまざまな問題がある。そのような問題を解決するのが経営組織の本来の目的であるといっても過言ではない。では、改めて「問題とはなにか?」と問われ、貴方はどう答えるだろうか。それは、企業や個人が目指す「あるべき姿」と「現状の姿」とのギャップが「問題」であり、その問題を構成している要因が「問題点」であるというのが、ごく一般的な定義である。
 「最前線のリーダーシップ」(ケネディスクール:ロナルド・A・ハイフェッツ教授)では、問題を2つに分けて考えることを薦めている。その2つとは「技術的な問題」と「適応を要する問題」である。「技術的な問題」は、必ずしも簡単な課題ばかりではなく知識を総動員して解くものもあるが、基本的に解き方がすでにわかっているものが多い。一方、「適応を要する問題」は、その道の権威や専門家であっても、既成の手段では解決できない問題である。こうした問題に対応するには、組織をあげて実験的な取り組み、新たな発見、そしてそれに基づく行動の修正を繰り返さなければならない。この「技術的な問題」と「適応を必要とする問題」との違いを認識し、それぞれの問題に対して、なすべき仕事は何かを考えなくてはいけない―というのが本書のポイントである。
 また、「なぜ人と組織は変われないのか」(ハーバード大学:ロバート・キーガン教授)のなかで、「人は変革を望みながら、無意識に変革を拒んでいる」と語っている。組織改革の原動力は人であり、組織のパフォーマンスを高めるには、個人の成長が欠かせない。では、自己変革をおこして個人と組織が成長するために、どのように立ち向かえばよいのか。近年、さまざまな欧米企業で採用されている「成人発達理論」について、ロバート・キーガン教授の著書(前掲タイトル)を中心に考えてみたい。
 
 「成人発達理論」の概要
 人間は、一生の間、絶える事なく変化をし続けるという前提に立ち、その継続的な変化の仕組みと実際の状態について調査・研究するのが発達心理学と呼ばれる分野である。以前は、発達の概念を誕生から成人期までの肉体的発達の「上昇過程」と捉え、知性の発達もこれと同じように考えられてきた。しかし、年齢・経験を重ねるとともに賢くなる人は少なくない。だが、それは成人までの間に培われた知的機能を活用しているのにすぎないと考えられてきた。
 それが現代では、幼児期から児童期に訪れる飛躍的な知的発達と同様の大きな変化を、成人になってから体験する人が多くなり、発達の概念は一生を通して連続的に進行する「変化の過程」としてとらえられるようになってきた。人格の成熟や知性の発達といった観点をも合わせて、発達は「生涯発達」という観点から研究されるようになってきたのである。
 「なぜ人と組織は変われないのか」では、人の発達段階を5つに分類し、そのうち成人以降の発達を3段階で知性が高まっていくことが紹介されている。
  発達段階3: 「環境順応型」自分の意思決定基準を持たず、組織や他者の基準によって行動を決定する。指示待ちの段階だが、チームプレイには向いている。
  発達段階4: 「自己主導型」課題を設定でき、導き方を学び、自分なりの価値観や視点で方向性を考えられ、自律的に行動できる。自戒し、自己管理ができる。
  発達段階5: 「自己変容型」問題発見を志向し、1つの価値観だけでなく、複数の視点や矛盾を受け容れられる。学ぶことによって導くリーダー。

各段階を分けている基準は、同じ事象をどのように受け止めるか(それを自分はどう見ているか)で、知性の質的違いが分かる。つまり、「環境順応型知性」では、自分は集団の中の一人という位置づけになっている。しかし、それが「自己主導型知性」に高まることで、自分が元々いた世界を客観的に見られるようになる。さらに、「自己変容型知性」と呼ばれるものでは、自分の周りには矛盾する複数の視点があることを認識でき、適応を要する課題を克服する視点が得られるのである。では、このような段階にまで知性を高めるためにはどうしたらよいのだろうか。

 変革のツール「免疫マップ」
 「なぜ人や組織は変われないのか」の著者キーガン教授によると、その理由として人間の意識の背後には、「変革を阻む免疫機能」が働いていることを指摘している。人は、変わりたいと願う自分と、変わるのは危険だから回避しようという自分が常に同居しているというのである。
 例えば、「禁煙したい」という人が、喫煙室に誘われると同行したり、酒の席でタバコを勧められるとつい吸ってしまい、後で自己嫌悪に陥ることがある。そこで、周りの人に禁煙宣言をするが、これもあまり効果はない。なぜ人は、このような行動を取るのか。そこには、相手の気分を害したくない。仲間はずれになって、不利益な扱いを受けたくない。このような免疫システムが無意識のうちに働いているというのである。
 そこで、自分を取り巻く世界(環境)を客観的に見ることができ、しかもその「世界」というのがひとつだけではなく、それまでの自分が知らなかったような別の世界もあるのだという認知、つまり知性を高めるために「改善目標」「阻害行動」「裏の目標」「強力な固定観念」の4つを明確にする「免疫マップ」の作成を提唱している。
 つまり、前述した「技術的な問題」と捉えてアプローチすると、「禁煙したい(改善目標)」を実現するために、その妨げとなっている「つき合い喫煙(阻害行動)」をやらないようにするための努力をしようとする。
 しかし、そのような阻害行動を簡単に克服できない場合がある。その原因として、阻害行動を引き起こしている「相手の気分を害したくない(裏の目標)」があり、さらにその裏の目標の土台となっている「仲間はずれになって、不利益な扱いを受けたくない(強力な固定観念)」がある。
 なぜ「裏の目標」や「強力な固定観念」まで考える必要があるのだろうか。多かれ少なかれ、人や組織は変革することに不安を感じている。そのような不安を感じないようにするために、変革することをはばむ「免疫機能」があるというのが、ロバート・キーガン博士らが主張するところである。そして、その免疫機能に相当する「裏の目標」と「強力な固定観念」を「免疫マップ」を使ってあぶり出すことで、変革できない原因をより正確につかむことができるというのである。

 「免疫マップ」の作成と活用
 「免疫マップ」に書き出してみると、「改善目標」が容易に達成できないのは、その人の意志の弱さが原因ではなく、「強力な固定観念」とそれに起因する「裏の目標」という自分の中の無意識な価値観が、「阻害行動」を引き起こしているのだということを理解することができる。
 また、組織改革への取り組みに活用する場合は、その部署の最も重要な変革目標一つに絞込み、それを免疫マップの改善目標の枠に書き込み、続いて阻害行動から強力な固定観念までの残りの3つの枠を埋めていく。この作業をそれぞれの社員がそれぞれの立場に応じて行うことで、組織の変革が可能になる。
 確かに、「なぜ人と組織は変われないか」を読むと、説得力もあり強い刺激を受ける。だが、実際に挑戦してみると、改善目標と阻害行動までは書けるが、その根底にある裏の目標、それを形成している強力な固定観念についてはかなり苦労することになる。裏の目標の枠に入る言葉を考える際には、自分が恐れている感情につながる言葉を想像してみることは有効な方法と思われる。また、強力な固定観念については、裏の目標と強く結びついている、あまり口に出したくない、思い出したくないようなものを挙げてみると、この部分に該当する。
 しかし、免疫マップは作成するだけでは十分ではない。_善目標の確認(目標の妥当性点検)→ ⊆損楾堝亜兵己観察・検証)→ 成果の確認(達成状況と変容の確認)のステップを踏んで進めていくことが大切である。
 その際、特に重要なのが周囲の力を借りることである。自分一人で改善目標に辛抱強く取り組むことは簡単ではない。また、強く思いこんでしまっている部分もたくさんある。改善目標の確認に始まり、自分の行動が変化しているかどうかを、周りの協力も得ながら、客観的に把握していくことが必要である。

 活用上の注意点
 「免疫マップ」では、個人の劣っているところや自分の限界を職場の人たちに公開することになる。オープンな気風のあるアメリカでは受け入れられるかもしれないが、恥や名誉に敏感な日本企業にどこまで通用するかは悩ましい面もある。それだけに、「弱点があって当たり前だ、それが人間なんだ」という企業風土(文化)をまず醸成していく必要がある。
 何か新しい施策を導入しようとなると、それぞれの立場で、それぞれの関心事に照らした懸念や思惑が浮かんでくる。それこそ、強力な固定観念による裏の目標であり阻害行動が危惧される。そこで、オープンな企業風土の醸成に取り組んでいる間は、改善への取り組みを振りかえる「KPT法」をお勧めしたい。
 KPT法は、それぞれKeep、Problem、Tryの頭文字で、それまでの改善活動を、それぞれ良かったので次もやりたいこと(Keep)、問題だったので次はやめたいこと(Problem)、次にやってみたいこと(Try)の3つの軸で整理する方法である。KPT法の概要は「振り返りのKPT」を参考にしていただきたい。
   


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