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日本企業に求められている働き方改革・・・ワークスタイル改革
 
       
2016年7月26日    近年、グローバル化による競争激化、労働時間と価値の関係性の変化、人口・労働力の減少など、企業を取り巻く環境が劇的に変化している。それに伴い、ダイバーシティやワークライフ・バランスなどの言葉をよく耳にするようになり、多くの企業でさまざまな働き方の改革(ワークスタイル改革)が行われている。だが、なぜ働き方を変えるのか、なぜ企業は多様な働き方を用意するのか、その核心部分については十分な論議がされていないように思われる。
 働き方改革は、企業が環境変化に適応し、生き残って(成長)いくための「戦略(経営のスピードを飛躍的に高めると同時に、一人ひとりの生産性を上げる)」である。企業が「戦略」として打ち出すかぎり、それはトップダウンで進めることが理にかなっている。しかし、ただトップダウンで進めればいいというのではなく、重要なのは改革の順序である。働き方改革というと、ICTツール(Information and Communication Technology:情報通信技術)に注目しがちであるが、働き方改革の本質はツールではない。まず、労務管理や情報管理など企業のルールの改革。そして、仕事を進めるうえでの工数削減や作業リードタイムの短縮などを目的にしたビジネスプロセス改革。さらに、会社に根付いている紙文化や判子文化といった企業文化の改革。そして最後に、仕組みやシステム、ツールを考える。ツールだけが先行しても企業の改革は成功しない。
 一般的に働き方改革がねらっている目的(成果)を整理すると、「人・投入時間」と「価値」の2つに分けることができる。「人・投入時間」の成果は「長時間労働の解消、ワークライフ・バランスの実現」と「柔軟な働き方を実現するための多様な労働力の確保」である。その結果、「価値」の成果として「女性活用を含めたダイバーシティの実現」と「多様な価値観を活かした新サービスの創造」がある。これまで企業は、「公平」を重視して社員全員を同じルールで縛ってきたが、人それぞれ状況が違うため均一であることが逆に「不公正」となっている。一人ひとりがベストパフォーマンスを発揮するためには、企業はさまざまな働き方を用意し、社員に「選択肢」を与えること。それが個人のモチベーションを高め、生産性の向上、業績アップにつながっていく。ワークスタイル改革について考えてみたい。
 
 なぜワークスタイルの改革が必要なのか(その背景)
 世界中の企業がグローバル化や事業の多角化に対応するために、組織の複雑性が増し、生産性が低下している。その一方で、付加価値を生み続けるために、スピード、イノベーション、効率を求めるプレッシャーは日々強くなっている。このような状況の中、多くの企業には2つの変化が起きている。
 その1つは、社員の「欲求不満が増大」していることである。多くの社員がストレスを抱え、仕事に取り組む意欲を失っている。もう1つの変化は、「生産性の低下」である。これは世界中の企業に見られる現象で、世界の人々が職場でストレスを溜め込み、そのために企業の生産性が低下する事態に陥っているのである。
 グローバル化や事業の多角化によって、企業は組織階層、連絡・調整のための仕組みや役職など、込み入ったメカニズムを大幅に増やし、これが繁雑性を招いている。社内手続き、評価、報告、会議など、仕事のための仕事に時間を取られ、自分が進むべき方向(キャリア形成)や目的意識を見失い、本当にやらなければならない仕事がおろそかになっているのである。
 かつては、品質の高さと価格の安さはトレードオフの関係にあった。しかし、今やその発想は通用しない。品質とコストの両面でニーズを満たさなければ顧客満足を得ることはできず、新たな付加価値を提供するために次から次へと組織の戦略的目標が増えていく。多くの企業がこうした新しい戦略目標に対して、新しい組織や管理プロセスや新しいKPI(重要業績評価指標)で対応しようとしてきた。結果、グローバル化推進や新規事業立ち上げなど、事業の複雑性増大への対応が組織の繁雑性増大につながり、社員の意欲と生産性低下を招いているのである。
 だが、事業環境の複雑性そのものが問題なわけではない。うまく対応すれば競争優位性を構築することができるからである。しかし、複雑性に対応するために組織を繁雑にしたのでは、スピード、信頼性、イノベーション、効率性など、多くの戦略目標を同時に実現し、付加価値を生むことはできない。このジレンマを解決するためには、事業環境の複雑性を理解しつつ、競争優位性を保ち、賢明なやり方(働き方改革)でシンプルさを追求しなければならない。そこで生まれたのが「働き方改革」だったのである。

 新たな企業ルールを導入する時の留意点
 働き方改革に取り組むとして、その際、最も問題となるのは、「社員の行動を理解する」ことである。実際、多くの企業において、上司は部下が何をやっているかわかっていない。部下が何をやっているか質問しても、返ってくるのは「部下のパフォーマンスが上がらない」「イノベーションが足りない」「なかなか決められない」「決めても実行に移せない」というような「やっていないこと」ばかりが指摘される。きちんと観察すれば「何もやっていない」人はいない。職場では誰もが常に何かをやっている。このことが正しく認識されていないのである。組織のパフォーマンスは、社員の行動で決まってくる。部下が何をしているかわからない限り、長時間労働の解消や多様な労働力の確保など、組織が抱えている経営課題を解決することなどできない。
 もう1つの留意点は、「協働や助け合いを促す」ことである。協力しない集団ほどミーティングが必要になり、レポートや報告が必要になるのが真の姿である。選択肢のある明確なルールを導入して協力をすれば「仕事のための仕事」や「報告のための報告」が激減する。コミュニケーションが改善されると社員の重荷となっている煩雑な部分が取り除かれ、本当にやらなければならない仕事だけが増えていくことになる。チームワークの良いチームは余計な負担は増えないし、仕事は偏らない。確かに、グローバル化が進む現代は、絶対的な能力を持った人材を世界中から探すことは容易だし、どこの会社にもいる。しかし、ここでいっているのは、個人のパフォーマンスではない。複数の社員が協力して高い成果を生み出すことができる協働の要となる人材である。
 3つ目の留意点は、「権限の裁量幅を増やす」ことである。協働の要を担う人がどのようにして自らの知見を生かし、どのような判断をし、どのような主導権や創造性を発揮するのか、権限の裁量幅を増やすことに力点が置かれなければならない。ただし、それだけでは十分ではない。チームの要になる人が、組織の目標にかなうような形で権限を使ってくれるように仕向けなければならない。その点を確実に担保するために「助け合いの結果をフィードバックする」仕組み(フィードバックループ)を作り、自分の行動がどのような結果につながるのかを認識させることが重要になってくる。結果として、要になる人は複数の戦略目標のトレードオフに考慮して判断し、自分の権限を使うようになってくるのである。

 働き方改革のアプローチの仕方
 厚生労働省でも「働き方・休み方改善ポータルサイト」を立ち上げ、企業の働き方改革を後押ししている。実際、先行企業では働き方改革を通じて、業績拡大につなげているところもでてきている。ダイバーシティの推進や在宅勤務、朝型勤務シフト等は多くのメディアでも取り上げられ、各社の働き方改革の参考にしている企業も多いのではないだろうか。先行企業の仕事改革のアプローチの方法は、大きく分けると「制約型」と「定量型」の2種類がある。
 「制約型」でまず設定されるのが、労働時間の削減である。具体的には残業や休日出勤の削減、有給休暇取得日数の設定などがあげられる。それ以外にも出張回数や会議時間の削減などもある。仕事のための仕事時間を徹底的に制約し、限られた時間のなかで本当にやらなければならない重要な仕事の時間を増やすための改革である。
 このアプローチの仕方で難しいのは、現場への説得である。既存業務のやり方に慣れ親しんでいる現場では、新しい業務への変更を容易には受け容れず、やらされ感が高まる。一方、時間に制約を設けることになれば、社員が自ずと創意工夫し、その中から業務改革の要望・提案が出てくることが期待できる。そのことが生産性向上につながっていくのである。
 「定量型」では、生産性向上の数値目標を設定することもあるが、厳密に生産性を定量的に測ることは難しい。そこで、出社・退社時間(ノー残業ディなど)といった1日のタイムマネジメント指標や有給休暇取得日数といった年間労働時間に対する指標に細分化することがある。また、出張や会議数といった正確にモニタリングがし易い項目について、具体的な数値目標を設定して改善を図り、その後に業務処理時間や業務処理量などを指標にすることにより、定量的なモニタリングの範囲を拡大していく。
 このアプローチの方法は、社員一人ひとりがタイムマネジメントの必要性を理解し、これを認識(意識づけるだけでは不十分)できるよう仕向けていくことが大切である。加えて、管理職層には、部下のタイムマネジメントを促進することを義務づけ、それを徹底できないのは上司の責任であるという社内コンセンサスを形成することも大切である。
 それ以外にも「インセンティブ型」、例えば削減した残業代を全員に配分するなどのアプローチの方法もあるが、まずは働き方改革の旗印の下で、現場に明確な目的と権限を与え、その結果を評価することから始めることをお勧めする。

 まとめに
 長時間労働の抑制、多様な働き方、ワークライフ・バランスなどの実現のため、働き方改革を進める企業が増えている。その一方で、こうした取り組みが一時的なもので終わってしまう企業も少なくない。その要因はさまざま考えられるが、社員の努力のみに任せてしまっているケースが大半である。例えば、管理職が退社を促す反面、部下の業務量自体は変わらないために、改革への取り組みも一時的なものになってしまう、といった具合である。
 働き方改革は、過去からの長い時間経過の中で形成されてきた、社員一人ひとりの長時間労働を「是」とする意識と行動を変えることであり、個々の努力だけで達成できることではない。会社全体で取り組むべきものであって、それには人事的なルールや制度の導入だけでなく、業務再編成やシステム変更、時には組織や評価の仕組みまで踏み込んで変えていくことが必要になる。それだけに、経営トップの強いリーダーシップが不可欠であることは、改めていうまでもない。
   


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