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自律的に働くワークライフ・バランス・・・ディーセント・ワーク(供
 
       
2016年6月27日    地球的規模でカネ・ヒト・モノが動き回るグローバリゼーション(グローバル化)は、ヽ胴馥發痢特に先進国の賃金や租税負担などの生産コストの引き下げ圧力を与える。それによって、∪源叉鯏世粒こ旭榲召塙馥眄源坤灰好箸虜鏝困同時に進行する。そして、生産拠点の海外移転や国内生産コストの削減は、グローバル企業の競争にとって必要なものではあるが、国内で生活する雇用労働者にとっては、マイナスの影響を与えることになる。つまり、企業のグローバル競争の論理と社会の雇用や生活の論理は相互に矛盾し、対立する状況が生まれているのである。
 とりわけグローバル競争の論理からすると、高度の技能を必要としない組み立て作業や半熟練労働などの分野は、空洞化が進みやすい。しかし、そうした分野での空洞化が進むと、大きな雇用問題が発生することになる。また、今日の日本企業が大量の派遣や非正規雇用を抱えているのは、賃金単価が安いだけでなく、余剰雇用が出た場合に人員調整がしやすいという事情がある。先進国におけるこうした雇用問題は、グローバリゼーションの重要な特徴の1つである。
 では、こうした雇用・賃金問題には、社会としてどう対応していけばよいのだろうか。あるいは、雇用労働者にとっては対応不可能な悲劇的状況を甘受することになるのだろうか。雇用の質や労働条件をもっと人間的なものにしようという、もうひとつのグローバリゼーションについて考えてみたい。
 
 避けられない産業構造の転換と国際競争力
 雇用の質や労働条件をもっと人間的なものにしようという、もう1つのグローバリゼーションを考えるうえでは、いくつかの点を明らかにしておくことが必要である。
 ひとつは、産業構造の転換という問題である。産業構造の長期的な推移に関しては、「ペティ・クラークの法則」と呼ばれる経験則が存在する。すなわち、経済発展ともに、第1次産業(農業)、第2産業(製造業)、第3次産業(サービス業)へと順次、産業構造の重心が移っていくという法則である。この経験則は、人間の欲望のあり方に根拠をもったものであると一般的に考えられている。製造業が海外に移っていくのは、先進国では共通の現象である。どの国でも、製造業が非常に盛んな一定時期を過ぎると、製造業の比率が落ちてサービス業の比率が高まるという産業構造の転換が生まれる。
 したがって、産業構造の転換を恐れて、それが起きないように「低賃金でも頑張ろう」というように考える必要はない。なぜなら低賃金を我慢したからといって、産業構造の変化を押し止めることができるというものではないからである(1994年にサービス業が製造業の就業人口を追い抜いた)。一定水準の生活が営める公正な賃金を保障しながら、それでも海外移転せざるを得ないものは移転するほかないと考えるべきである。そして、そのことによって生ずる雇用問題については、やはり公正な賃金水準を維持しながら、新たな雇用や就業機会を作り出していくことを考えることが必要だ。
 もう1つは、貿易依存度の問題である。貿易依存度は、通常、輸出・入がその国の国内総生産(GDP)に占める割合として示される。日本の貿易依存度(輸出・入/GDP)は約3割程度だから、経済のグローバル化といわれてはいても、日本の経済はそれほどグローバル経済に飲み込まれているという状況ではない。まだまだ国内経済中心に経済活動は営まれているということになる。また、日本の対外純資産(資産−負債)は339兆円(2015年末)と25年連続で世界一の債権国である。資産や金融の面から見ても、日本の国際競争力は決して弱いとはいえない。
 日本の国内では、「日本の経済は立ち遅れている」「もっと国際競争力を強めなければならない」というように危機を煽るような報道・解説が多い。だが、賃金や雇用の質を低めてまで国際競争力を強めなければならないという主張がどうして出てくるのか、もっとよく考えてみなければならない。

 経済的成功を収めても途上国的な働き方
 冷戦終結後のEU諸国は、対外純資産などの指標を見れば、日本と比べて圧倒的に劣勢である。依然として失業率も高い。それでも労働者は、人間的な生活ができる仕組みになっている。また、日本でも最近になって発表されるようになってきたが、貧困率という指標を見ると、日本の方がはるかに高くなっている。所得格差も日本の方がはるかに大きい。
 労働条件について見ても、残業などはほとんどない。日本のように、「残業があるのが当たり前」というのは、ヨーロッパと比べると異常である。日本は経済的成功を収めているにもかかわらず、途上国的な働き方をしている。長期休暇もなく、過労死を心配するほどの長時間労働をしている。どうしてそんなことになるのか。
 おそらく日本型資本主義システムや企業が強い力を持っているからだろう。日本の企業は世界的にも強い競争力を持っているが、国内に対してはとりわけ強い力を持っている。「利潤の最大化」を目的とする企業が、常に競争的な市場に置かれている限りは、長時間労働をさせたり、可能な限り非正規雇用することでコストを下げたいと考えることは当然のことである。そもそも企業とは、そのような存在である。したがって、「企業がそうした行動をとることが問題だ」というより、そのような企業の行動に歯止めをかける力が弱いことが、本当の問題である。企業の力と働く人の力とがバランスが取れていることが望ましいが、残念ながら日本では著しく企業の方に偏っているといわざるをえない。
 こういう企業の活動に歯止めをかけてルールを課し、コントロールする仕組みを法律として作ることが必要とされているのである。

 ILOの報告書「ディーセント・ワーク」
 ILOは、1999年に「ディーセント・ワーク」という報告書を発刊している。また、2004年には、「公正なグローバリゼーション」というものを出している。「公正なグローバリゼーション」では、現在のグローバリゼーションは資本や企業の自由に偏っていることを指摘している。
 グローバリゼーションをもっと人間の雇用や生活を大切にしたものに変えなければならない、賃金や労働条件、雇用政策などについては労使の交渉や協議が大切だといっている。ディーセント・ワークとは、雇用や労働者はみすぼらしいく非人間的なものであってはならない、「人間的で働き甲斐のあるもの」でなければならない、というような意味合いのものである。過労死をするような働き方やネットカフェに泊まらなければならないような賃金はディーセント(まとも、適正=Decent)ではないということになる。
 ]働あるいは職場における労働者の権利が保障されていること、∪源催な労働と完全雇用、E正な賃金が保障されていること、そ淑な社会保障による生活保障がなされていること、ハ使の団体交渉や政策形成に関する発言が強化されること―というのが、ILOがディーセント・ワークのための具体的条件として掲げているものである。
 このようなILOの考え方は、やや理想的で現実性に欠けるものではないかと思われるが、そのことは否定できない。しかし、こうしたILOの立場を実現しようとする運動が世界的に広がっているのである。いわば「人間を中心にしたグローバリゼーション」といってよいだろう。なぜならグローバル世界が、経済だけで成り立っている訳でないのは明らかだからである。
人々の雇用と生活を守るという仕組みを、それぞれの国に応じた完全雇用と良好な労働条件、人間的な生活を営めるような賃金と社会保障の制度を作っていくことが、グローバリゼーションには必要になるということである。

 ワークライフ・バランスは職場パフォーマンスの向上が鍵
 現在は、生産性、品質、コストなど生産競争力だけで勝てる時代では、もうない。今は、目の肥えた消費者を納得させられる価値をいかに創造するかどうかが重要な時代である。そのような時代に、社員には何が求められるのか。会社に対する忠誠心と家庭やプライベートを顧みない長時間労働ではないことは明白である。これからの時代に、"長い時間を働くことが結果を生み出す"ということはない。そこに経営者は早く気付き、トップから変わっていかなければならない。また、経営者の意識改革に加え、ビジネスパーソン自身もライフスタイルを変えることが、ワークライフ・バランスを改善する重要な第一歩となる。
 仕事と生活の調和=ワークライフ・バランス(以下「WLB」)が日本でも一般に認知されるようになったきっかけは、2007年に策定された「仕事と生活の調和に関する憲章(内閣府)」である。近年では、企業の人事政策の中でWLB施策の推進を掲げるケースが増えているが、それは女性活躍推進や育児・介護の責任を担う女性が対象であることが多い。また、一律残業をカットして生活=ライフ時間を増やすための取り組みであるという見方もある。このような取り組みを推進しようとすると、現場の抵抗は非常に大きくなる。
 そもそも働き方の問題(働きがいのある人間らしい仕事=Decent)を議論する際には、企業の経営の視点を欠かすことはできない。働き方の仕組みを構築し、それを運用するのは企業組織であり、導入メリット以上に導入や運用のコストが大きければ、定着を期待できないからである。WLBは多様化するマーケットや経済のグローバル化に対応していくうえで、一律的な働き方がむしろ足枷になるという戦略を明確にして、企業の中に多様な働き方を定着させることが重要である。
 そのためには、‖人佑焚礎祐僉∪犬方、ライフスタイルを受容できる職場づくり(多様性を受容する職場風土)∪度の導入と制度を利用できる職場づくり(必要性の認識)所定労働時間を前提とした仕事の管理・働き方の実現(職場マネジメントと社員の働き方)、の三つがWLBを進めるための条件となる。日本のWLBは、長時間労働を是正するために∪度の設計・導入に重点が置かれているが、職場のパフォーマンスを向上するにはFき方の柔軟性を高めることが大切である。
 ここで重要になる職場の管理職に対しては、その働き方に懸念材料がある。プレイニング・マネジャーが多い日本の管理職は、職場マネジメントに集中できていない可能性がある。働き方の柔軟性を高めるには、コミュニケーション能力や業務管理・部下育成の能力がこれまで以上に求められることを企業は認識する必要がある。また、管理職の労働時間について、適切なマネジメントが可能かどうか、モニタリングしていくことが求められている。ビジネスパーソンのライフスタイルを変えていくには、経営戦略と人事戦略、さらに働き方の改革が一貫した政策として位置づけられなければ取り組みは進まないのである。
   


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