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女性活用は、企業の生き残りの条件・・・女性活躍推進法
 
       
2016年4月27日    4月14日に熊本県で大地震が発生した。16日未明には7.3の「本震」が起き、度重なる余震で被害が拡大している。東日本大震災以降は、地震を身近な問題として感じていたはずだが、まさか九州でこれだけの大地震が起きるとは。はからずも「地震予知」の限界が示された。常時監視体制が整っている「東海地震」でさえ、「必ず予知できるとはいえない」と専門家も認めている。そうであれば、耐震補強など減災の充実を図った方が現実的だ。
 震度7を記録した地震は、1995年の阪神淡路大震災があり、2004年の新潟県中越地震、2011年の東日本大震災、そして今回の熊本・大分。大地震の間隔が9年、7年、5年と短くなっているのが気になる。当然、九州の復興が重要だが、東北の復興も遅れているし、東京オリンピックの建設需要もある。資材不足、労働力不足が懸念される。
 労働力不足といえば、今月4月から「女性活躍推進法」が施行された。従業員301人以上の対象企業は、3月末までに本社所在地の労働局に行動計画策定を届け出るとともに、女性登用などの数値目標を一般に公表する義務がある。「男女雇用機会均等法」が施行されて以降、男女の格差がなく、女性にも開かれた職場づくりが企業の「努力義務」へと課されてきた。しかし昨年のダボス会議(11月開催)で発表された「男女格差報告(ジェンダー・ギャップ指数)」での日本の順位は、調査対象となった145カ国中101位(前年は104位)だった。依然として先進国の中で最低水準だ。
 女性活用と経済、企業業績との間には「正」の相関関係を実証する研究が多く発表されている。にもかかわらず、なぜ日本ではなかなか女性活用が進まないのか。それは、制度として(法令順守)表面上は整備されているようでありながらも、そこには根深い「男性社会」の壁(偏見)が存在している。そこで、女性活躍推進法の施行にあたって企業はどうしていけばいいのか。今回は、この古くて新しい問題にスポットを当ててみたい。
 
 女性活躍の状況仮説
 男性中心の職場で醸成されてきた働き方が、女性活用の阻害要因になっていることは凡そ想像することができる。例えば、男性の労働時間が相対的に長い企業ほど、正社員女性比率や管理職女性比率は低く、逆に男性離入職率が高い企業ほど、高いことが考えられる。
 また、賃金カーブが大きく、フレックスタイム制が導入されている企業よりも、最高給与と最低給与の比率で測った賃金分散が大きい企業、あるいは勤務地限定制度や非正規社員から正規社員への転換制度が導入されている企業、法を上回る育児・介護休暇制度が導入されている企業の方が、正社員女性比率が高いことが推測できる。
 なぜそのようなことがいえるのか、その理由について説明しよう。
 法を上回る育児・介護休暇制度などが導入され、女性が働きやすい職場環境が整っている企業では、女性が正規社員や管理職で多く活用され、女性が多いからWLB(ワーク・ライフ・バランス)施策が導入されているのである。また、非正規社員から正規社員への登用が制度的に確立されている企業では、個々の社員の能力・スキルにもとづいて人材活用をしていると考えれば、そうした企業ほど有能な女性を積極的に活用していると解釈できるからである。
 とはいえ、現在の職場の働き方に経済合理性があるならば、女性活用だけを目的に従来の働き方を変えると、かえって職場に混乱や業績低下を招くおそれもある。いわゆる低い離職率、企業内訓練を通じた効率的な人的資本形成といった日本的雇用慣行のプラス面を損なわずに、女性活用のメリットを求めていくことが大切である。

 ワークライフ・マネジメントで長時間労働の削除
 ワークライフ・マネジメントとは、「働き方を見直し、単位時間生産性の向上を実現して、その結果として長時間労働を削減する」ことをいう。具体的には、_疣による健康障害の防止(過労死、過労自殺、メンタルヘルス不全等)、育児・介護等による時間的な制約のある社員の戦力化、9い視野を身につけるゆとりの創出と自己啓発支援、ぅ廛薀ぅ戞璽箸僚室造隼纏以外の価値観の創出、を推進することである。これらに取り組む上でのポイントは、「最小のエネルギー(労働)投入で最大の成果を上げる」ことである。これがまさに生産性の向上であり、単位時間生産の向上を意味している。そのために必要なのは、「創意」と「工夫」による「働き方の見直し」だ。
 今日、ワークライフ・マネジメントが求められている背景には2つの要因がある。
 その1つは、少子高齢化が進展し、現役世代には仕事と介護の両立が求められている。育児に介護が加わることで、女性だけでなく、男性にも時間的制約があり、これまでのように持ち時間を100%仕事に振り向けることができない労働者が増えている。
 2つ目に、企業は「顧客ニーズの高度化・多様化」、「グローバル競争の激化」といった厳しい環境下で、変化に迅速・柔軟に対応し、より一層付加価値の高い商品・サービスを市場に提供し続けることで企業としての競争力を維持・向上していくことが求められる。
 今でも日本人の「ものづくり」は世界から高く評価されている。しかし、高い品質を求める仕事文化は、長時間労働を招き、ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)とは対立する。そもそも「仕事の8割は2割の時間ででき、残り2割の仕事に8割の時間がかかる(パレートの法則)」といわれているように、長時間労働には経済合理性を伴う部分と伴わない部分とがある。
 また時代は、品質の高い商品を作るだけでなく、顧客が喜ぶ商品、付加価値の大きいイノベーション性のある商品が求められている。それを可能にするのは生産現場だけでなく、研究開発スタッフやマーケティング担当者などのホワイトカラーの人材である。これらの人材は、生産現場のように残業と業績は比例しない。労働時間より仕事のプロセスが鍵を握る。だが、日本の組織は生産現場以外の人材を管理するための革新的方法を生み出してはいない。実際に諸外国と比べても人材の管理や有効活用のための取り組みは遅れている。それが日本の生産性が低迷している真の理由でもある。

 縮まらない男女の賃金格差
 減少する労働力人口対策として、政府と産業界が一緒になって女性の活躍を進めようとしている。その一方で、約6割の女性が出産・育児で退職していくという現実がある。働き続ける女性の場合でも、その年収は272万円(26年国税庁「民間給与実態統計調査」)と男性514万円の半額程度の水準のままだ。女性の就業率は35歳から39歳を底に再び上昇に転じるが、その大半がパート・アルバイトなど非正規での就業だ。当然ながら正社員が多い男性とは、賃金格差が縮まることはない。
 ダボス会議で有名な世界経済フォーラム(WEF)が毎年発表する「世界男女格差レポート」では、日本の全女性雇用者のうち、非正規雇用者は33.4%。これに近いのはイタリア(31.1%)ぐらいで、「平等度上位国」のフランス(9.7%)やフィンランド(16.4%)とは大きな開きがある。
 また、仕事と家庭の両立が困難なことから、昇進を望まない女性が多いことも賃金格差のもう1つの理由である。管理職になれば多忙になり、個人を犠牲にせざるをえないことを女性はよく知っている。実際に女性管理職の7割は子供がいないという調査もある。
 「世界男女格差レポート」では、日本の管理職に占める女性の割合は、この10年で1ポイント低下し、わずか9%である。この数字はあまりにも低く、これを35%にまで引き上げないと世界の50位にさえ届かない。
 男女格差是正のためには、男性正社員を中心に長時間労働が当たり前という働き方の転換と、キャリア形成への意欲を喚起する職場環境の整備が求められている。
 では、最後に日本と米国の男女の賃金格差を比べてみたい。
 アメリカの労働局のデータでは、男性の何割の年収を女性が得ているかを1979以降、調査している。1979年に62.3%だったのが、2012年には80.9%まで伸ばしている。それに比べて日本は、1979年で51.1%、2012年53.3%とわずか2.2%しか増えていない。

 重要なのは男女差よりも個人差
 そもそも社会人や職業人としての能力やレベル、スキルにおいて「個人差」はあっても、「男女差」はないはずである。
 わが国では少子・高齢化が進む中、労働力人口が急ピッチで縮小している。これに対応するには人口の約半分を占める女性の就業率を高めることが重要なカギとなる。となれば、女性の戦力化を推進し、女性に活躍の場を与え、女性が働きやすい環境づくりのための環境整備に取り組むことである。「男だから」「女だから」という発想を捨て、個々人の能力・成果に基づいた評価・処遇を行うことで、女性が活躍でき、経営成果も良好な優良企業になることができる。
 優良企業に共通する特性は、|暴間の勤続年数格差が小さい、∈童柩兩がある、女性管理職比率が高い、などである。これらは単に女性比率が高いから、利益率が高いという単純なことではない。そうではなく、女性も活躍できるような人事・労務管理を行っていること、すなわち女性が活躍できる「風土」を持っていることが、真の要因であるということである。そして、それは男性においても同様だ。
 つまり、女性が働きやすいかどうかではなく、「性差」にとらわれず「個人」の成長に期待し、能力を活かすことができている企業だからこそ、高い業績を上げることができるのである。長時間を前提としないシステムを整え、無駄の多い社内手続きを取り除き、エンゲージメントとそれに密接に関係する創造性とイノベーションを奨励し、モチベーションを疎外する要因をなくす。これが「女性活躍推進法」の真のねらいである。
   


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