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■企業のパフォーマンスを向上させイノベーションを実現する・・・組織開発
 
       
2015年12月25日    近年、日本において「組織開発」への注目が高まっている。昨年あたりから学会やセミナーで組織開発という言葉を聞くようになってきた。だが、シニア世代の方々はご存知と思うが、1970年代後半から1980年代前半にかけて日本企業は、「組織開発 (organization  development: 略してOD)ブーム」と呼ばれた時代があった。この時代の組織開発は、個人の感受性を高めることを目的とした「感受性訓練(ST:sensitivity training)」と呼ばれ実施された。自己の感情が他人に与える影響や他人との交流の仕方などを、体験を通じて学び取っていく人気の研修であったが、直接フィードバック(主に自己否定)による特殊な研修であるため、精神的に変調をきたす者、さらには自殺者を出すなどして、その後は徐々に衰退していった。
 そして今日、日本の企業も人材のダイバーシティ(多様性)が進み、働く人の価値観が多様化するなかで、組織の健全さ、効果性、自己革新力を高めるためのツールとして、第二次ODブームを迎えている。多くの企業が米国流のアプリシエイティブ・インクワイアリー(AI)やワールドカフェなどを実践しているが、その目的や向上したい組織能力を明確にして組織開発を行っているだろうか。
 そもそも組織開発は、「人間尊重の価値観」「民主的な価値観」「当事者中心の価値観」をベース(背景)に、“何を行うか”よりも、変化を促進するための“関係構築に向けたあり方”が大切だと考えられている。それだけに、OD実践者にはチェンジ・エージェント(変革推進者)として、人々(クライアント)や組織にどんな価値をもたらすことができるかが求められている。

 組織開発の背景と変遷
 組織開発には大きな流れが二つある。一つの流れは、グループ・ダイナミックスで有名なクルト・レヴィンのTグループ(training groups)からチームビルディングへの発展、そしてもう一つの流れが、「システム4」を提唱したレイシス・リッカート(ミシガン大学)による「サーベイ・フィードバック」からの発展である。
 Tグループ(1947年誕生)は合宿形式で行われ、8〜15名程度のメンバーが一つのグループになり、互いの関わりの中で起こるプロセス(対人関係性・コミュニケーション等)にトレーナーが働きかけ、その体験から学ぶ(内省)というトレーニング方法である。このトレーニング方法のポイントは、プロセス(ヒューマン・プロセス)で起こっている「コミュニケーションに焦点をあて、コミュニケーションを改善する」という「内省(再帰性)」にある。それゆえに、この方法は「臨床的」になる傾向があり、概念は理解できても、実務として現場で何がなされているかは、全く一様ではない。つまり、「組織開発」という「一つのラベル」のもとで、「全く異なる実践」が長期間にわたって取り組まれ、その効果に疑問が呈され、問題化する時期もあった。このTグループの発展に携わったメンバーに、ダグラス・マグレガー(X理論・Y理論)、クリス・アージリス(組織学習論)、ブレーク&ムートン(マネジリアル・グリッド)、エドガー・シャイン(キャリアアンカー)などの著名な研究者がいる。
 組織開発のもう一つの流れ「サーベイ・フィードバック」は、組織で起こっているプロセス(たとえば、社員のモチベーション、互いの関係性やコミュニケーション、風土や組織文化など)について調査を行い、その分析結果を回答者にフィードバックして、それをきっかけにしてお互いの間に起こっているプロセスについて話し合い、解決策を合意するという方法である。これは、組織開発の基本的な進め方(OD Map)の基礎となっている。
 1960年代に米国で始まった、組織内部にOD部門を設置し、そこに内部OD専門家を配置するという仕組みは、「多様なバックグランドを持った人を集めても、なかなか組織として動けるわけではない」という、米国ならではの社会的背景と無縁ではない。米国では、前述したように組織開発の存在意義について議論が行われながらも、組織開発の新しいアプローチが登場し、組織開発は発展し続けている。現在では、OD部門を独立して置く組織、タレント・マネジメントの機能と融合してTMOD(Talent Management & Organization Development)部門を設置する組織、HR部門の下にODグループやチームを置く組織など、さまざまな形態がある。

 「対話型組織開発」と「診断型組織開発」の新しいアプローチ
 多様性(働く価値観や就業形態等)のマネジメントを求められるようになった日本企業でも、米国での成功例に習って組織開発の考え方を取り入れることで、企業競争力を維持できるのではないかと考え始めている。しかし、そもそも組織開発は価値観の実践であって、手法を前面に出すことはあまり好ましい話ではない。とはいえ、日本企業は「何をするか」という手法に関心が向きやすく、手法の説明がないと組織開発を具体的にイメージしにくいことから、最近の新しいアプローチの方法について簡単に紹介する。
 その一つは、「ラージグループ介入(Large scale interventions)」である。組織内の多くの人々を一堂に集めて、現状の問題に焦点づけ(気づき)、今後の方向性と行動計画(取り組み)に合意していく、大規模なミーティングをしていくアプローチである。これに含まれる手法として「フューチャーサーチ」「ワークアウト」「オープン・スペース・テクノロジー」などが挙げられる。こうした全体のシステムをミーティングの場に創り出すアプローチは「ホール(全体)システム・アプローチ」と呼ばれている。
 もう一つのアプローチは「アプリシエイティブ・インクワイアリー(Appreciative Inquiry:AI)である。組織開発での基本的なアプローチでは、組織の課題や問題点に焦点づけ、それらを改善するために取り組むが、AIでは組織や個人の強みや潜在力に光を当て、その潜在力を発揮するための将来を探り、行動計画を立て、実行していく。環境の変化が激しく、複雑性が増す中で、組織が成長に向けて変革していくには、組織を機械的に捉える従来のアプローチ方法では、対応が難しくなっている。そこで、肯定的な問いや探求(インクワイアリー)により、個人や組織の価値や強みを認め(アプリシエイティブ)、それらを最大限に発揮する仕組みを生み出すアプローチである。肯定的な質問により強みを発見し、可能性を拡張させるアプローチは「ポジティブ・アプローチ」と呼ばれている。
 ホールシステム・アプローチやポジティブ・アプローチでは、参加者同士の対話を通して、現状や将来を探求するが、この新しいタイプのアプローチを「対話型組織開発」(ブッシュ&マーク 2009)という。一方で、伝統的な組織開発の取り組みでは、OD実践家がデータ収集を行い、分析後にフィードバックをする、という組織診断のフェーズが行われる。このようなOD Mapで想定されている組織開発の進め方を「診断型組織開発」として、二つのアプローチは大別されている。

 組織開発の真のねらいは何か
 企業の経営者であれば、イノベーションが成長の源泉であることは百も承知である。「イノベーションが生まれる組織に変革したい。ボトムアップの意見は大歓迎だ」と多くの経営者は声を揃える。しかし、現場の声を聞くと「失敗したら減点されるに決まっている」「自分一人が改革の犠牲になりたくない」というのが本音である。
 一般職、管理職、経営層、各階層にはそれぞれ違った役割がある。お互いが密接に連携しなければイノベーションは起こせない。イノベーションは人を介するものであり、組織にとって大切なのは「暗黙知」であり、この暗黙知を形式知に展開することで「新しい知」が生まれ、それがイノベーションへとつながっていく。戦後の日本企業は、同質集団で暗黙知を形成し、阿吽(あ・うん)の呼吸で業務を遂行し、世界で成功した。この暗黙知こそ日本人の得意とする「知」だといわれる。その一方で、新しいことを起こすと、古いものを壊し、痛みを伴う人がでてくる。それは同質集団であるがゆえにできなかったともいわれている。
 では、バブル経済が崩壊し、会社を立て直すために日本企業は何をしてきたか。戦略を作り、成果主義を導入し、組織構造を変え、リストラの断行、といった「ハードな改革」が多く実施されてきた。しかし、そういった改革を一通り行っても、結局、組織は良くならなかった。働く人のモチベーションは下がり、業績も回復することはできなかった。結局、ハードな側面での改革だけではうまくいかないということに、多くの日本企業が気づいたのである。
 その後、ハードな側面だけでなく、人や関係性に関する「ソフトな側面」の対応として、リーダーを対象としたコーチング、ファシリテーション、ダイアローグなど、コミュニケーションや人々の関係性に焦点をあてる研修が導入された。だが、残念ながら大きな変化はなかった。そこで、ソフトな側面である関係性や人の潜在性を発揮させるための新たな方法が求められるようになり、「組織開発」が注目されることになったのである。
 なぜ、このように変化したというと、「仕事の個業化・高度化」、「社員の多様化」が挙げられる。I.T化や成果主義の導入の影響で、一人で仕事をすることが多くなり、また、担当者本人しか分からない仕事が増えている。みんなで取り組む仕事が減ったことで、チームでまとまって仕事をしようとする風土がだんだん薄れていった。
 また、社員の多様化には、価値観の多様化と就業形態の多様化という側面がある。働くことや生きることの価値観は世代によってかなり異なってきている。また、職場のさまざまな雇用形態は、モチベーションや会社へのコミットメントでの違いが大きくなってきている。
 これまで、チーム力を高めるには、リーダーに研修を受講させるといった方法がとられてきた。しかし、前述した通り、そのやり方だけでは限界がある。リーダー自身を変えていくとともに、チームや風土全体にいかに働きかけていくのかが、重要になっている。
 「人と関係性のマネジメント」といわれる組織開発は、往々にして経済的価値との間にジレンマが生じる。しかし、関係性を大切にし、社員のモチベーションを高めていくことで、最終的に経済的な価値も高まるというのが、組織開発の考え方なのである。

 組織開発の進め方
 最後に、組織開発をどのように進めていけばいいのか、また、その際に人事部はどう関わっていけばいいのかなどについて、整理してみたい。
 1.日本企業では、企業全体の経営戦略は決まっていても、部署や部門ごとのビジョンや長期的な目標が決まっていないというケースが多い。そこで、部署のビジョンを自分たちで作ること、あるいは自分たちが今期取り組むべき目標を、数値目標以外で作ることである。
 2.人の関係性を改善するために、リーダー(部課長クラス)を支援(パートナー型)するための環境を整備(例えば、組織開発を担当する部署や現場担当人事を専門とする人材の育成など)することである。
 3.リーダーとなる人達には、業績や目標達成のことばかりを考えるのではなく、「関係のマネジメント」の重要性や素養を持たせるために、組織開発部を経験するキャリア・パスを用意して、会社のメッセージとして伝えることが重要である。
 4.短期的な目先の利益をどう上げるかばかりではなく、戦略を実行できるような体質を組織の中でどう作るかを考えてもらうために、まず、組織開発に投資して成功したケースを皆に知ってもらうことが必要である。
 5.ワールドカフェなど、ただ行えばよいということではない。そこで起こっていることにどのように対応していくか、目的は最低限おさえておく必要がある。まずは手法ありではない。

<このテーマに関連する資料>
職場の活性化と組織の成功循環モデル
   


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