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■人材のやる気を高める組織マネジメント・・・パフォーマンス・マネジメント
 
       
2015年10月27日    ラグビーW杯イングランド大会1次リーグで、日本代表は3勝(1敗)を上げたものの惜しくも目標としていた8強入りを逃した。しかし、俊敏な動きで強豪国の大型選手を苦しめた日本流ラグビーに対し、海外メディアからも称賛の声が相次いでいる。
 早くも2019年に日本で開催される次回大会への期待が集まっているが、今大会限りで退任が決まっているエディー・ヘッドコーチは「日本には優秀な選手がたくさんいるが、高校・大学・トップリーグでも高いレベルでパフォーマンスする指導ができていない。規律を守らせるため、従順にさせるためだけに練習をしている。それでは勝てない」と、日本ラグビー界の問題を指摘している。そして、陸上選手を引き合いに出し「足の速い選手に中距離選手の練習をさせたら、彼のスピードは失われる。ウサイン・ボルトはマラソンランナーのような練習はしない。ラグビー選手を育てる練習をしないといけない」と、日本ラグビーを強化するための展望を述べている。
 個々の強みに焦点をあて、それを活かすことが高いパフォーマンスを生み、成果に結びつくことはスポーツの世界だけの話ではない。仕事でも「優れたパフォーマンスを発揮させるには、弱みを克服することではなく強みを見極めて成長の土台とし、抜きんでることだ」と、人の強みについての著作(「さあ、じぶんの才能に目覚めよう」日経出版社2001年)で知られているマーカス・バッキンガム氏は指摘している。個人や自社の強み・特徴を活かした経営は、経営の基本中の基本といわれている一方で、活かしきっていない個人・企業が多いのも事実である。
 近年の米国における人的資源管理論の中で注目を集めている「パフォーマンス・マネジメント(以下PMと略)」について、その概要を整理してみたい。

 パフォーマンスとは
 長きにわたる景気停滞の下、後輩や部下を持つことがなかった人達が急にマネージャーになって戸惑っている。新人とその上司とのジェネレーションギャップ(世代間格差)は大きく、「キャリア開発」に夢を抱く若い新入社員は、育成経験がない上司の下でストレスチェックを利用する。一方で、グローバル化の波はいや応なしに押し寄せているが、こと「人と組織の育成」のことになると、現場・現地に任せっきりで、本社ではまったくコントロールできない。
 企業における人材育成を考えるとき、その最終目的は人と組織のパフォーマンスの向上である。わが国では「パフォーマンス」の定義が曖昧であると感じることが多い。欧米では、成果主義のことを「Performance-based Pay System(パフォーマンスベース・ペイ・システム)」というが、結果を改善するために、どのように現状を改善するべきなのか、何が課題なのかをフィードバックすることが成果主義の基本とされている。この基本的考え方が、きちんと理解されていないと、結果だけが求められて人材育成もせず、短期的視点での評価(例えば目標評価制度)が行われることになる。
 パフォーマンス・マネジメントでは、社員のやる気と潜在能力を引き出し、その結果として、顧客満足、業績アップを狙っている。社員の自律を支援(コーチング)することで、判断力と責任感を養い、顧客対応の迅速化、個別対応が可能になる。更には、人材育成・人材開発により、社員のキャリア意識を高め、潜在能力を100%以上活用することを目指すのである。
 個々人のパフォーマンスを高めるために、現状の進み具合(プロセスを含む)を把握し、これを改善することで、よい結果を促す。そのために、仝果的なフィードバックとコーチングを心がけ、業務目標だけでなく、成長目標も持って将来の夢やキャリアの実現を支援することで、主体的に動けるよう動機づけと意識づけを行い、職場の経験者をメンターとして、支援する仕組みをつくる―ことがパフォーマンス・マネジメントの必須条件となる。

 パフォーマンス・マネジメントのサイクルとは
 パフォーマンス・マネジメントのサイクル(こちら参照)は、日常的にフィードバック(観察)及びコーチング(OJT)とメンタリングを実施し、自己評価と上司の評価を比較して、その違いを十分理解してもらい、組織的な支援を含む改善計画、個人の成長に必要な支援計画(メンターをつける、個別研修に参加する等)を実施する。
 結果や業績ばかりを追求するのではなく、各メンバーの強みを把握し、その能力が発揮できる機会をつくり、仕事を通して各メンバーの能力開発を行い、チームとして最大のアウトプットを出せるようにマネジメントすることが要諦である。そのために、メンバーの強みはできるだけ多くの視点から見ることが求められる。例えば、不測の事態や緊急対応が生じたとき、新しいことに取り組むとき、チームで行うとき、プロジェクトリーダーになったとき、提案や交渉などで攻めるとき、どんな行動をとる傾向にあるか、普段の様子と比較すると、より強みを見つけることができる。この時に注意することは、不得手なところに目を向けてはならない。できるところやパフォーマンスを発揮するところ、周りにポジティブな影響を及ぼすところに注力すると、強みが比較的みつかりやすくなる。
 また、メンバーの評価をする場合は、個人の業績だけをみるのではなく、どんな点で成長したのかのプロセスやチームにどれだけ貢献したのかを含めて、判断することになる。それと同時に、個人の成長目標の達成が、組織の目標達成にどれだけ貢献しているのか検証する必要がある。メンバーが組織に貢献するには、できるだけ多くの機会を提供する必要があるからである。加えて、メンバーの自己評価と上司評価の違いを明確にして、人事考課を見直し、より納得性のあるものを目指すことになる。
 今更ながらだが、「人」の育成には時間がかかる。だが、世界中が縮小気味の今であるからこそ、「投資」としての人材育成を行うことは重要である。期待成果を明確にし、その効果や達成指標をどのように設定し改善していくべきか、という組織マネジメント(P・D・C・Aのサイクル)を実践するパフォーマンス・マネジメントの手法を人材育成の仕組みとしてしっかりと取り入れていくべきではないだろうか。

 個人と組織のパフォーマンスを向上するための条件
 パフォーマンス・マネジメントでは、パフォーマンスを個々人の仕事の業績・成果だけではなく、個々人の仕事を達成するための行動と、そのプロセス、そして、そのプロセスから期待される結果、それらを統合してパフォーマンスとして位置づけている。また、パフォーマンスは、「個人」で成立するものではなく、チーム(個々人の仕事を達成するための一連の関係者レベル)とさらにチームの仕事を支える組織の連携があって初めて成立すると捉える。さらには、それを取り巻く企業文化と組織風土によってパフォーマンスが成立すると考えている。
 つまり、パフォーマンスは、仝帖垢龍般蛙觜塲塾蓮蔽亮院Ε好ル・態度)、業務環境(あるべき姿の基準、明確な目標達成指標、効果的な業務プロセス、組織文化・組織風土、コーチやロールモデルとしての上司の存在、キャリアパスや同じ価値観を持って行動する同僚)、6般蛙觜堝圧 淵皀船戞璽轡腑鵝砲裡海弔陵彖任ら構成され、これら構成要素の掛け算の結果と考えているのである。(パフォーマンス=業務遂行能力×業務環境×業務遂行動機)
 「掛け算」の結果であるということは、どんなによい施策(例えば、業務遂行能力を高めるための研修など)を行っていても、他のどれか一つの構成要素がマイナス(例えば、研修成果の実践が求められておらず、その体制も整っていない等)であれば、パフォーマンスがあがらないことを意味している。ここに人材と組織の育成を考えるうえで、なぜパフォーマンス・マネジメントが必要なのかの理由がある。
 人材育成を考えるとき、「研修」「OJT」「自己啓発」などがすぐに頭に浮かぶ。そもそも研修は社員の能力を高め、パフォーマンスの向上を最終の目的としている。だが、研修をしただけでは成果に結びつかないことは誰もが理解できる。いかに研修成果を現場の実務に活かすか、研修の効果をどのように見たらよいのか、頭を悩ましている人材開発担当者が多いのも確かである。

 パフォーマンスに大切な社員エンゲージメント
 会社への帰属意識が高ければ高いほど、組織の基盤は磐石なものとなり、成果を生み出しやすいことは経営者や管理者であれば誰もが考える。そうした中、「エンゲージメント」という言葉が日本企業においても徐々に浸透しつつある。単に、不満が無いという状態よりも、もう一歩踏み込み、「あともうちょっと頑張ろう」という思いを社員がもっているかどうかということである。
 基本的にはどんな会社でも社員からエンゲージメントを引き出すことは可能である。多くの会社が見落としがちな点をいくつか紹介する。
 一つ目は、「成果より、自社の社会的使命を語る」ことである。
 企業が発展していくためには、ステークホルダー(利害関係者)を満足させ、事業が成功し、そして社会的使命を追求していく必要がある。この三つの価値は、どれも他の二つの手段ではない。これをミッション経営では「三面同価の原則」という。この三つがお互いを強化しあうためには、価値に基づく評価が必要になる。財務的成果を上げるだけでなく、顧客満足を達成できる社員と社会的使命を共有できる社員がいて、企業を成功に導くことができる。
 つまり、仕事は面白くなければ続かない。→仕事は人の役に立って、面白くなる。→仕事が面白いと思える社員が多くいて、社員の満足と事業の成功が実現する。そして、技術と経営資源が社内に蓄積されるのである。
 二つ目は、「周囲の心を奮い立たせるリーダーを賞賛する」ことである。
 ハイパフォーマー人材の存在が、必ず成果に結びつくとは限らない。A評価の人材が相応の仕事ができていない話はよく聞く。成果を高めたいなら、効果的な配置と動機づけが不可欠である。配置については「優秀な人材は、優秀な上司の下に配置する」のが鍵になる。配置による乗数効果は非常に強力で、高いパフォーマンスを実現できるはずである。動機づけについては、人を鼓舞できるかが重要になる。ある調査では、周囲の人の心を奮い立たせるようなリーダーと働く人は、組織に対するコミットメントや満足度が高く、生産性も高い―という研究結果がある。人のやる気を引き出したリーダーも評価すべきである。
 三つ目は、「社員の満足ではなく、推奨を引き出す」ことである。
 「満足している」という社員が、主体的に仕事に取り組むとは限らない。満足している社員は毎日会社に来て決められた時間働き、仕事を楽しんでいるかもしれないが、必ずしも喜んで「もうひと頑張り」するとは限らない。社員エンゲージメントを測るうえで圧倒的に優れた指標は「社員が自社をどの程度、彼らの家族や友達に推奨するか」である。社員から定期的にフィードバックを集め、管理職が社員エンゲージメントや推奨度を高める行動を取るようにしたい。なぜなら、従業員推奨度と顧客推奨度は比例関係にあるため、結果としてこれが顧客ロイヤルティにも貢献することになる。
 人は誰でも、「自分を必要とし、高く評価してくれる人のために役に立とう」と思って仕事をしている。気持ちが鼓舞されれば、高いパフォーマンスで働こうとするのは当然である。顧客と社員双方のロイヤルティの向上が、結果的に企業の持続的な利益成長につながる。この好循環を実現することが、パフォーマンス・マネジメントの真の目的である。
   


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