社員分類制度設計/人事考課制度設計/賃金制度設計/その他人事諸制度設計/研修・講演講師
成果主義を実現する人事考課
成果主義を実現する人事考課 成果主義を実現する人事考課/お問合せ
  MCO マネジメント・コンサルタント・オフィス  
TOPコンサルティング各種研修考課者研修企画見積書公開活動コラムリンク集サイトマップ
MCOサイト内を検索
■グローバル化の時代に求められる人材マネジメントの新動向
 
       
2015年9月28日     ますます「フラット化する世界(著者:トーマス・フリードマン)」で、グローバリゼーションの波は国や企業のグローバル化に止まらず、必然的に人材(個人)のグローバル化を推し進める。また、少子高齢化が進み先進国の労働人口が減少するこれからの時代、企業は国境を超えて有能な人材を求める必要性に迫られている。
 ところで、日本企業の人材マネジメントは新しい変化の流れ(環境や法規制等)に柔軟に対応できているのだろうか。例えば、新興国における経営の現地化や現地従業員の人事・処遇制度において、いまだに国内の年功制を引き摺り、硬直的な融通の利かない人事制度を運用し、無用な摩擦を生んではいないだろうか。
 グローバル人材マネジメントとは、国際間で展開される事業の最適化(時差を利用して24時間業務が可能)に対応し、グローバル人材を惹きつけ(アトラクション)・つなぎ止め(リテンション)るために「グローバル・グレード制」の導入や「報酬パッケージ」の構築にある。その一方で、環境や文化などそれぞれの国・地域の人々の価値観に合った競争力ある報酬水準を維持していくことが重要となる。
 加えて日本企業は、少子高齢化や人口減少社会のトレンドを前提にすると、国内市場だけを頼りにした企業活動はもはや限界である。また、企業の人材も広く海外市場を視野に入れていく必要性が出てきていることは確かである。しかし、国内市場に安住し、人事や人材マネジメントに割く時間や労力を惜しみ、後手に回っている企業は決して少なくない。そこで、これからの人材マネジメントについて最新の動向を整理してみたい。

 新しい「エンプロイヤーブランディング」という概念
 就職を考えている人にとって、「職場イメージ」というのはその企業に応募するかどうかを判断するポイントの一つである。エンプロイヤーとは雇用主、雇用者のことであり、企業という職場をブランディング(イメージアップ)していくことを「エンプロイヤーブランディング」と呼ぶ。つまり、企業が優秀な人材の採用、確保にあたって、職場環境や企業の雰囲気などが魅力的であることをアピールするための方法である。
 人材が企業の「持続的競争優位の源泉」となることが広く認知される一方、職場の雰囲気、文化、一緒に働く人との相性などは、「入ってからでないとわからない」ものである。しかし、ソーシャルメディアの発達によって、企業が採用活動のためにFacebookページを開設したり、採用動画をYouTubeにアップする企業が増え、すこしずつ状況が変わってきている。
 アメリカGlassdoor社が発表している「従業員が選ぶ職場ランキング50」もその一つである。Glassdoorのサイトでは、従業員が職場をレビューするサービスがあり、そのレビューの結果を元にランキングしている。また、他の企業のFacebookページでは、応募者を顧客としてとらえ、ユーザーの声を聞き、24時間以内に返答するようにし、企業の文化や募集中の仕事、ニュース、イベントなどを配信している。こうした情報発信は、世界的なソーシャルメディアだけでなく、国別のローカルソーシャルメディアも活用して行われている。
 人材採用にソーシャルメディアを取り入れるという新しい活動に対して、その成果をどう評価するかということは、多くの企業にとって共通する課題でもある。採用活動のROI(Return of Investment)についてのデータが出ているところも注目に値する。ソーシャルリクルーティングにおけるROIとは何なのか、またリターンを新規採用だけととらえていいのか、ということについても考え、品質と量の両方の観点から投資した費用、時間に見合う価値が得られたのかどうかを評価している。
 企業の評判やイメージは企業が発する広告などのメッセージよりも、その企業に関わった顧客や生活者、取引先などが決めるという側面が強くなっている。企業の職場環境も同じ。いくら立派な求人広告を出しても、実際に働いている人が不満を抱えていたり、離職者が多ければ、その会社のメッキは簡単にはがれてしまう。その意味では、エンプロイヤーブランディングとは、まずは実際に働いている従業員の満足度を上げることから始まる。
 サービス残業や低い報酬、経営者や管理者からのパワーハラスメントなど、ブラック企業は関連キーワードで簡単に表示され、スキルや能力の高い人材を採用するのが難しくなっている。つまり、エンプロイヤーブランディングとは、従業員が自ら企業を人に薦めたくなるくらいに魅力的な職場を作る努力をすることである。日本の企業経営者は、人材不足・人手不足を嘆く前に、自分の企業の魅力度について、振り返ることが求められている。

 グローバル時代の人事の方向性
 グローバル化の時代を迎え、「現地への適応」と「グローバルでの統合」というのは古くて新しい議論である。各市場特有のニーズに応える上では、国や地域ごとで独立した意思決定を行い、適応していくことが重要となる。一方、経営資源を最適配置したり、規模の生産性を追求したりする上では、中央集権的に意思決定を行い、拠点ごとの活動をコントロールしていくグローバル統合が必要になる。
 人事においても国や地域ごとの戦略、労働市場のあり方や有効なリーダーシップスタイルが異なる以上、その違いを踏まえた人事政策を行っていくことが必要になる。その一方で、組織としての一貫性や拠点間の人事異動など、人のつながりや共通の考え方(クレド)を作っていくことも必要になる。つまり、「現地への適応」と「グローバルでの統合」は人事においてもやはり重要な観点だといえるのである。
 これからは、ビジネスも人材マネジメントもボーダレス化と働くことの価値観の多様化が進む。これに伴って、グローバルに活躍する社員を処遇するための報酬パッケージとそれぞれの各国や地域で競争力を持つ報酬水準と賃金制度の設定・変更が必要とされている。具体的には、人材のグレード区分の整備である。それぞれの企業のビジネス状況によって、当然その内容は異なってくるが、その一例を示すと以下のようになる。
 その一つは、国境や地域の枠を超えて職務を遂行する人材(グローバル人材)。二つ目は、特定の国や地域内で職務を遂行する人材(リージョン人材)。三つ目は、基本的に異動を伴なわない特定の事業所や地域の中で職務を遂行する人材(ローカル人材)など、全世界を統一した人材区分(等級制度)を導入し、その中でそれぞれの人材を処遇するのである。このように今後は、人材の明確な定義と社内における処遇条件について、きちんと整理しておく必要性がでてくる。
 こうした人事制度構築の目的は、―抄醗のやる気を高め、個人の頑張りを引き出し、△修慮朕誉果を企業業績の向上に繋げるという望ましいサイクルを作り上げ、長期的な企業の発展を実現することである。そのためには、「経営目標の達成と経営戦略の実現」という経営連動型人事であると同時に、従業員のやる気、思いや感情といった要素を上手く取り入れた制度でなければならない。この二つの要素をどうバランスさせていくか、そこが人事制度再構築の最大のポイントとなってきている。

 成果主義賃金から総合賃金制度(トータル・リウォーズ)へ
 欧米企業をはじめ世界の人材マネジメントはすでに変化してきている。変化の一つは、報酬の公平性(ペイエクイティ:同一職務同一賃金)に関する法規制の強化である。男女の給与格差是正(EU諸国)や米国ではエグゼンプト(Exempt:時間外支給の非対象者)とノンエグゼンプト(Non-Exempt:時間外支給の対象者)の区分けの厳格化の動きも見られる。このように、欧米では労働者保護の観点から法規制が強化されつつあり、企業は、社員に支給する「報酬・処遇の公平性」の説明責任を負うことになった。報酬の公平性に関する規制は今後、アジア諸国にも広がる可能性があり、企業としてペイエクイティの説明責任を果たすためにも、グローバル共通の制度の導入は加速していくものと予想される。
 もう一つの変化は、人材のアトラクション(惹きつけ)とリテンション(つなぎ止め)である。わが国でも、単純な成果主義人事に対する批判が高まったが、欧米企業ではすでにペイフォーパフォーマンス(Pay for Performance:成果主義処遇)からトータルリウォーズ(Total Rewards:各種報酬を総合的に組み合わせた処遇)へと変化しつつある。
 わが国だけでなく、先進諸国でも確実に高齢化が進んでいて、企業の健康保険等の負担が重くのしかかってきている。企業は「限られた原資(人件費)をより有効に再配分し、リテンションを高めなければならない」という難しいテーマに取り組まなければならなくなったのである。そこで提唱された考え方が、「トータルリウォーズ」である。
 トータルリウォーズは、〃醂稍其癲併埔譴膿綵爐決められる必須プログラム)と⊂叉襦賞与・ストックオプション等(全社戦略と一体化させる業績連動型プログラム)の金銭的報酬と、キャリア・昇格、学習・トレーニング、ワークライフバランス、柔軟な就労時間や場所など(アトラクションとリテンションに重要なキャリアと職場環境プログラム)の非金銭的報酬の三つのカテゴリーに分けられ、これら処遇・報酬の最適な組み合わせ(ベスト・ミックス)を考え、リテンション効果を高めることがトータルリウォーズの目的である。
 第1の必須プログラムが、社員全員に対して「共通」して支給されるものであるのに対し、第2のプログラムである「業績連動型プログラム」は、社員個々人の業績・成果に応じて、「個別」に支給されるものである。これは、会社戦略とのアラインメント(Alignment:一体性)を図るために用いられるプログラムである。しかし、どれだけメリハリの利いた制度を導入したとしても、そのことをもってモチベーションを高めることは難しいのが現実である。むしろ社員のモチベーションを低下させる事態にもなりかねなく、業績連動型プログラムをいくら充実させたとしても、リテンションにはあまり効果がなかった、という学びが欧米企業にはでてきている。
 そこで、第3のプログラムである「キャリアと職場環境プログラム」に注目が集まっている。第3のプログラムは非金銭処遇であり、昇格・昇進、教育・トレーニング、キャリアパス、異動、職種転換、オフィス環境、勤務時間管理などが社員に支給・提供される。キャリアと職場環境プログラムは多岐にわたり、それに要するコストも膨大な額になっている。
 欧米企業は現在、他社と差別化ができて独自性のあるキャリアと職場環境プログラムを構築しようとしている。多くの日本企業においても、成果主義の次となる人事制度のあり方の模索期でもあり、このトータルリウォーズの視点は次のあり方を考えるうえで参考になるところが大きいと考えられる。
   


ページトップへ
MCO 有限会社マネジメント・コンサルタント・オフィス
〒232-0036 横浜市南区山谷72-1-710 Tel:045-334-7680(代表) Fax:045-334-7681