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■高パフォーマンスに必要な動機づけと人材マネジメント
 
       
2015年8月28日     今月22日から30日までの9日間「世界陸上北京大会」が開幕した。200以上の国と地域から選抜されたトップアスリートが47種目を競い合う。日本からは高校生でありながら世界陸上に抜擢された期待の新人・サニブラウン選手が注目を集めている。7月に行われた世界ユース陸上競技大会では、100m・200mともに優勝し、200mではあのウサイン・ボルト選手を上回る大会新記録を残している。
 一般的にアスリートとは競技選手のことをいうが、人が何かを目指すときには、大きく分けて2種類の方向性があるといわれている。1つ目は「人よりも良くありたい」という、他人と比べての方向性である。スポーツでいうと、大会で優勝したいとか、あの選手に勝ちたいとか、「誰か他の人より秀でていたい」という方向性で、これを"エゴオリエンテーション"という。2つ目は「前よりも成長していたい」という、過去の自分と比べる方向性である。これは、前よりもタスク(仕事)ができるようにという意味で、"タスクオリエンテーション"という。
 もうお気づきの方もいるかと思うが、この2つは心理学の分野における2つの動機づけ(外発的動機づけと内発的動機づけ)の関係と非常に良く似ている。「勝利至上主義」といわれるエゴオリエンテーションに傾きすぎると、外発的動機づけと同じく、リスクが大きくなる。勝っているときは「自分は人として優秀だ」と思い、負けたときは「人としてダメだ」となってしまう危険性がある。これに対してタスクオリエンテーションは、内発的モチベーション(純粋に楽しむモチベーション)と強く結びついている。「どれだけ頑張り、どれだけ成長したか」に焦点を当て、それを評価する傾向が強いと、内発的モチベーションと同様にリスクが少なく、メリットも多くある。
 だが、両者は二者択一の関係ではなく、「勝つこと」に目を向けるエゴオリエンテーションと「成長すること」に目を向けるタスクオリエンテーションの両方に焦点があたっている場合は、エゴオリエンテーションのリスクが激減するといわれている。つまり「勝ち」も「成長」も追及することで、競技(仕事)を楽しみながら高いモチベーションレベルを保ち、かつバーンアウト(燃え尽き)や柔軟な思考の阻害といったリスクを受けずにパフォーマンスを伸ばしていくことが可能になる。では、そのためにコーチ(管理者)がすべきことは何か。人材マネジメントのフレームワークについて考えてみる。

 短期と中長期の2つのモチベーション
 企業はより高いパフォーマンスを目指し、「人材マネジメント」を通じて、多様な従業員から就労意欲を引き出すために様々な取り組みを行っている。しかし、実際には企業が期待するほどの効果が得られないところも少なくない。なぜ、期待する効果が得られないのか。
 個々のパフォーマンスを伸ばしていくためのモチベーション(動機づけ)には、大きく分けて2つのタイプがある。数ヶ月や1年単位といった短期的なモチベーションと、数年単位の中長期的なモチベーションの2つである。短期的なモチベーションを高める主な要因は、「仕事そのものを楽しめる」ということである。どんなにハードな仕事の状況であっても、仕事を楽しんでいる人は沢山いる。つまり、自分の内から湧いてくる仕事に対する興味やその達成感、充実感などがモチベーションに大きく影響するのである。逆に、エドワード・デシ氏の実験結果では、お金(金銭的報酬)などの外部的刺激がモチベーションに与えるマイナスの影響(お金が仕事を苦役に変えてしまう)について述べている。短期的なモチベーションを高めるには、心の中に満足感を与える内発的動機づけが必要となる。
 しかし、内発的動機づけは非常に分かりづらく、どんな施策が各人の動機づけを高めるのかは、個人差があって断定しづらい。それとは逆に、称賛や罰則などの外発的動機づけは非常に分かりやすく、具体的な施策にも落としやすい。そのため、外発的動機づけが従業員のモチベーションに逆効果であると分かっていても、職場では信賞必罰の外部的動機づけが繰り返されてきた。これが、企業の期待する効果が得られない大きな原因でもある。
 一方、内発的動機づけの有効性を説明しているのがポジティブ心理学のミハイ・チクセントミハイ氏が提唱した「フロー理論」である。ここでの「フロー」とは、スポーツ等に集中し、「目の前の活動に完全に没頭し、楽しさを感じている状態」を指している。ミハイ・チクセントミハイ氏はフロー発生の条件として、〔棲里蔽成目標の存在、活動の難易度と能力の発揮具合の適度なバランス、L槁犬箍歛蠅紡个垢訶切かつ即時的なフィードバック、の3つを挙げている。こうした環境を形成することで、「やりたいことをやって、価値を創造する」ことを容易にすることができると提唱している。
 ガードナー氏の創造性理論では、価値を創造するには「特定のドメインで10年間没頭することが必要」という考え方があるが、その「没頭」概念はチクセントミハイ氏の「フロー」の考え方に大きな影響を受けている。

 中長期的な人材育成ニーズを把握し、モチベーションを上げる
 続いて、中長期的なモチベーションについても検討してみよう。
 「グローバル展開」や「イノベーション」といった日本企業にとって未知の世界、不確実性の高い領域に足を踏み入れるとなれば、当然に未来に対する従業員の不安は強くなってくる。将来が不安だからこそ「今、頑張る」必要があるが、人間はそのような理屈ではなかなか考えられるものではない。人のパフォーマンスには、常に感情が大きく作用するからである。
 将来への不安をプラスのエネルギーに変えていくには、「なりたい自分」や「あるべき自分の姿」を描き、それに至る道筋を明確にする必要がある。これが「キャリア開発制度」である。キャリア開発制度というと、複雑なものと捉えられるが、それほど難しいものではない。構築のための基本プロセスは極めてシンプルである。,匹鵑別魍筺別鮨Α砲あるのか、キャリア・パスを明確にする、△修譴召譴量魍笋防要な知識やスキルを明確にする、I要なスキルを獲得するためのサポートの方法(教育訓練体系)を明確にする。この3点だけである。
 しかし、キャリア開発は従業員の中長期的モチベーションを上げるためには有効ではあるが、どんな従業員のモチベーションも上げることができるという、いわば特効薬ではない。制度として有効に機能するためには、その前提として「自分の将来は、自分で切り拓いていく」という意識が必要になってくる。こうした意識がなければ、キャリア制度を構築しても活用されずに終わることになる。
 したがって、管理者は職場にとってどんな人材が求められているのか、また、メンバーの将来の方向はどうあるべきか、この点を明確にした上で定期面談を行い、従業員が自分でキャリアを設計するようにサポートしていくことが大切である。

 キャリア達成(成長)のフレームワーク
 人が自分のキャリアを達成しようとするとき、どんなステップを経て成長していくのだろうか。キャリア論で有名なMUST(やらねばならないこと)・WILL(やりたいこと)・CAN(できること)のフレームワークを用いて考察すると、\長の必要性を感じる(MUSTを知り、WILLを高める)、学ぶべきことを知る(CAN+WILL/MUSTとのギャップを知る)3惱し、それを実践する(CANをWILL/MUSTに近づける)という3つのステップを踏むことになる。
 それぞれのステップにおけるポイントを挙げると、,任蓮△いに「やらされ感」を持たせずに必要性を認識させるかである。△任蓮◆屬匹里茲Δ頁塾呂鮨箸砲弔院廖屬匹行動したらよいのか」を本人に十分理解させることである。そしてでは、必要な知識やスキルの習得を促し、実践の機会を提供することである。この,らのステップを繰り返し踏むことにより、MUST・WILL・CANそれぞれの面積が広がり、三つの輪が重なる部分が大きくなる。そして、三つの輪が重なり合った中心部分(SHALL)こそが「やるべきこと」「果たすべきこと」、つまり使命(ミッション)にほかならない。
 MUST(もとめられること)とCAN(できること)は現在(直面する職務遂行ニーズ)をあらわしているが、WILL(やりたいこと)とSHALL(やるべきこと)はともに未来(人材を育成する形成ニーズ)を表し、言葉の意味も少し違う。WILLのコアイメージ「意思を示す」は誰でも使える言葉であるのに対し、SHALLのコアイメージ「そうする(なる)」は話し手の意思や予測、意向など、使える場所や使える人が限られている。つまり、天職や天命はSHALLを積み重ねていった先にあるということである。
 できることを増やし高め、やりたいことを明確にすればするほど、応えられる期待も多く大きくなり、それにしたがって生き甲斐・やり甲斐・働き甲斐が増してくるのである。今月から新卒採用の選考が開始されるが、ここで問題にしたいのは、WILLやSHALLの存在はそんなに自明なものか、ということである。
   


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