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新入社員の育成と定着を図る・・・振り返りのKPT
 
       
2015年4月28日    今月の1日、全国の企業や官公庁で入社式が行われた。入社式といえば経営トップの訓示が付き物だが、時代とともにトップが語る内容が変化してきている。その大きな転換点は、1995年5月に日経連(当時)がまとめた「新時代の日本的経営」と題する提言である。
 この提言は、日本企業がバブル経済の崩壊を受けて、終身雇用と年功型賃金を柱にした雇用慣行を破棄し、雇用の流動化を図るために正規社員と非正規社員に分けていく指針となったとされている。つまり、企業の労働者を長期蓄積能力活用型人材(ゼネラリスト)、高度専門能力活用型人材(スペシャリスト)、雇用柔軟型人材(臨時採用)の3つのグループに分けて分類し、運用では高度専門能力活用型人材と雇用柔軟型人材の2つのグループが非正規雇用となるというのが、その骨子である(32頁、図表7&8)。
 この提言を境にして、労働者は一律ではなく、入社式の訓示では「いつまでも会社にいられると思うな」の脅迫メッセージが増えていった。失われた20年があまりにも長かったので、人員を削減し、非正規社員を多用し、賃金を上げずに教育訓練費を削減することで収益を上げられると考える経営者も一部にいる。
 しかし、かつて日本が成功を収めてきた要因は、長期的視点に立った経営であり、人間中心の経営である。経済、経営環境が改善する中で、中小企業にも賃金上昇が広がり、新卒正規社員の採用が増え、企業が本気で教育訓練を再開すれば、本来の日本らしい姿になっていくものと考える。そこで、未来を担う新入社員が自分たちの今を知り、職場メンターが彼・彼女らの内省支援を行うためのフォーマット(KPT)について紹介したい。

 新入社員を育成し定着させるためのメンター制度
 新入社員や後輩を指導・助言する役割を担う先輩社員をメンター(Mentor)という。メンターは直属の上司以外の人物(入社5年位の社員)であることが一般的で、定期的に面談(メンタリング)を重ねながら、本人(メンティ)自身が課題を解決し悩みを解消することをねらいとしている。また、指導・助言を受けたメンティが次のメンターとなって支援する側にまわり、人のつながりを次々に形成していくことをメンタリングチェーン(Mentoring Chain)という。メンタリングは、1980年代にアメリカで人材育成の手法として制度化され、日本では新入社員に対する支援制度として導入が進んでいる。
 メンター制度には、〇纏をやりっ放しにせず、P・D・C・A サイクルを確実に回すことで、"活動のふりかえりから学ぶ習慣"を身につけることができる(経験学習の促進)、▲瓮鵐拭爾らのフィードバックを継続的に受けることで、自身の成長実感や自信につながり、それが次の行動への動機づけとなる(関係性の強化、動機づけの促進)、8綰攣愼海侶亳海鮴僂爐海箸砲茲蝓管理職やリーダーに求められる部下指導・育成スキルの習得につながる、ぜ禺蠎勸のモデル役を担うことで、自身のこれまでの仕事に対する意識や取組み姿勢を見直すきっかけになる(気づきや学びが生まれる)など、指導を受ける若手社員はもちろん、メンター本人にもその効果が期待されている。
 反面、メンター制度の悩みのほとんどはメンターのバラツキである。新入社員は指導員を選ぶことができず、そのためメンター・ガイド(メンター制度導入の背景やねらい、制度の概要、上司・メンターに期待される役割、具体的な進め方を整理したもの)やメンティ学習ノート(日頃の指導を通じて学習したことを記録するためのノート)などのサポートツールが用意されている。
 ここまで、メンター制度の概要について説明したが、制度をマニュアル化しシステマチックに実行しても、当事者達が「面倒な業務」として捉えたら成果は見込めない。特にメンター制度は、業務内容・知識の習得だけが目的ではないため、方法が一つではないところが難しいポイントである。では、何をすればよいのだろうか。
 新入社員のやる気を喚起するには仕事を通じて「自分が成長している」という実感を持たせることがポイントとなる。これはよく言われていることだが、問題はその方法である。

 経験学習モデルとKPT
 新入社員や後輩支援で「自分が成長している」という実感を持たせるにはメンター、つまり指導する側の物の見方や考え方を押し付けるのではなく、「あの場面で、君はこう判断をして行動したが、別の選択肢はなかったか」「結果はこうなったが、他のやり方をしたら、もっと業績は伸びていなかったか」という「問いかけ」を行うことである。必要なことは、本人自身に自分の仕事や行動に対する「意味づけ」をしっかり行わせることである。この内省(振り返り)がないと人は育たないし、成長実感を得ることもできないからである。
 こうした考え方の背景には、「経験→内省・省察→概念化→実践」という4段階の学習サイクルからなる「経験学習モデル」がある。この学習サイクルの繰り返しによって人は自らの成長を実感することができるのである。ともすると、「経験」の繰り返しに陥りやすいが、重要なのは仕事のやり方(経験)を振り返り、今後の自分に役立つものは何かという「内省」と仕事に役立つ教訓(概念化)を導き出すことである。
 この「内省」と「概念化」を効果的に実践する方法に「KPT」がある。
KPTとは、Keep、Problem、Tryの略で振り返りのためのフォーマットの一つである。仕事を遂行した後の振り返りで、Keep(続けたいこと)、Problem(問題と感じたこと)、Try(次に試したいこと)の3に分け、メンティとメンターの二人で抽出していく方法である。KPTフォーマットは、記憶が残っている比較的短い期間(2週間程度が目安)の行動を振り返るために使い、非常にシンプルだが、高い効果が期待できる。

 KPTフォーマットの目的と進め方
 KTPフォーマットで「振り返り」を行う目的は、々堝芦椎修焚善策を探し、試す勇気を得ること、△海譴泙任旅堝阿鮖廚な屬掘⊃靴燭糞い鼎を得ること、やってみて上手くいった行動を定着させること、ぢ人誉を受け入れ、信頼関係を築くこと、の4点である。
 ,任蓮現実的に行動できる改善策を見つけ出す必要があり、これによって今よりさらに良くなろうという気持ちになり、改善が進んでいく。
 △任蓮⊃靴燭糞い鼎を得るためには、過去の経験が必要となり、この経験が記憶から失われてしまう前に、思い返してみる必要がある。
 では、上手くできたことは、これからも上手くできるという自信を持ち、その行動を定着させていくことが重要である。
 い任蓮⊃兇衒屬蠅両譴鯆未犬董∨榲のことを語り、聴いて信頼関係を築いていく。本当のことを正直に話せることが重要となる。
 次に、基本的な進め方の手順についても紹介しよう。模造紙やホワイトボードを三つの区画に仕切り、左上にKeep、左下にProblem、右にTry と見出しを書く。そして、Keep、Problem、Try の順に面談によって意見を集約していく。また、このフォーマットの上部にTheme(テーマ)を書いてからはじめると、何のためにふりかえるのかが明確になり、思考のベクトルがそろいやすくなる。
 1)テーマを決める
 何のために振り返りを行うのか、最初にテーマや目的を決めておくことで、話があらぬ方向に進んで脱線するのを防ぐ効果がある。また、振り返りの終わりに次の振り返りのテーマを決めておくのも継続性の面で効果的である。
 2)思い返す
 指導が開始されてから、または前回の振り返り面談から今回の面談までに、どんなことがあったのか期間中の成果物や指導された内容等、何でもよいので思い出す。
 3)上手くいった行動を確認する
 上手くいって次も続けたいことや前回の振り返りのTryがあれば、それを次も続けるか検討する。結果だけでなく、良かったプロセスについても上げてみるのもよい。Keepが見つからないあるいは前回の振り返りで出たTRYが上手くいかなかったということであれば、Tryの出し方を改善する必要がある。
 4)問題を洗い出す
 問題と感じていることや工夫が必要と考えていることを挙げる。この場合、実際に起きていない問題を心配する必要はなく、実際に起きてしまった失敗等を問題として出すとよい。また、必要に応じてスキルと執務態度に分けて問題を洗い出すのも良い方法である。
 5)問題の原因を検討する
 問題を洗い出したら、その原因について検討する。原因を究明するのに「なぜを5回繰り返す」などの方法があるが、時間がかかるので、原因究明が必要な問題だけに絞り込むのもよい。なお、責任追及や個人攻撃をすることがないように注意が必要である。
 6)改善策を考える
 問題に対する改善策を考えるが、改善策が効果的でなければ改善がされないのは事実である。また、悪いところを良くするだけでなく、良かったところをさらに良くするというのも改善の一つである。まず多くの改善策を挙げ、その後に実行可能で且つ効果のありそうな改善策を選べばよい。
 7)試すことを選択する
 確実に試せることを選択し、力をそこに集中できるようにする。欲張ってあまり多くのことを試そうとしても実際にやりきれないことが多く、改善の効果が薄れてしまう。
 8)試すことを合意する
 何をするのか、何のためにするのか、何時までにするのか、実行に移すために一つずつ合意していく。なお、合意とは「サポートします」という意思でもあり、必要であればサポートすることを含めて合意することが大切である。これにより「行動」に結びつくことになる。
   
<このテーマに関連する資料>
自律型人材育成と経験学習モデルとパイプライン・モデル


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