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組織活性化と自律型人材育成・・・メタ認知能力の鍛え方
 
       
2015年3月29日    今月18日の主要企業の春闘回答では、賃金水準を底上げするベース・アップ(ベア)が昨年を上回る高水準の回答が相次ぎ、労使双方から「日本経済に好循環が生まれる」との声が聞かれる。その一方、好業績の追い風となった円安や原油安が今後も続くとは限らず、政府が目指す実質経済成長率2%を実現するには、この賃上げの流れが中小企業にも広がり、来年以降も継続することが重要といった指摘もある。いずれにしろ、企業は賃上げの原資である企業収益・生産性の向上に向けて人材を育成し組織を活性化させ、労使が協力してイノベーションを実現していく必要がある。
 ところで組織活性化とは、企業が置かれている環境と自社の戦略とを照らし合わせ、より高いレベルで戦略を実現できるように組織力(自ら変革し結果を出し続けていく力)を向上させることを意味する。そのためには、ー社の戦略をきちんと理解し、それにそったスキルを社員が備えること(遂行能力)。さらに、企業にとって必要なスキルは環境変化や戦略の変更に応じて変化することから、組織は常に学習することが求められている(戦略能力)。一度身につけたスキルや能力が、いつまでも通用する時代ではない。それが「組織活性化」の概念であり、「人材育成」が重要と叫ばれる理由でもある(組織力=戦略能力×遂行能力)。
 なにより戦略に必要なスキルを学ぶことが重要で、その結果、人は育つ。しかし、組織が生き延びていくためには、学ぶだけでなく、学び続ける力(組織活性化)こそ、もっとも大切である。そこで、「自分は何ができ、何ができないか」や「どの程度できるか」といった自分の能力を見極め、足りない部分や弱点を客観的に捉えるメタ認知能力の鍛え方について考えてみたい。

 新たな価値を創る自律型の人材と組織
 経済のグローバル化やIT活用の一層の進展により、企業を取り巻く環境は大きく変化している。それと同時に、競争環境もますます厳しさを増し、過去の成功体験や経営手法にこだわっていては、成果を出し続けることが困難になっている。現代の企業が必要としているのは、社会構造の変化に合わせて、新しい価値を創造し続けることである。
 そのためには、従来の枠にとらわれず、臨機応変に動くことのできる「自律型」の人材や組織が求められる。では、自律型とは具体的に何を指すのか。
 自律型人材とは、「自ら方向性を定め、目的意識と責任感を持ちながら仕事を進めていける」人材を指している。つまり「自己管理ができて、自主的に課題を探し、行動力で解決する」社員が「自律的人材」である。従順で勤勉に働き、定年まで長く勤め上げることが理想だった時代とは、明らかに求められる人材像が変わっている。自分のスキルや問題解決能力を磨いて能動的に働き、自分の頭で考える人材が求められているのである。
 自律型人材を増やすには、デービット・コルブ氏が提唱した、「経験学習モデル(経験→省察→概念化→実践)」が参考になる。それは、同じ経験をしても個人差がでてくるのは、その後の「内省・省察」「概念化」「実践」を行わないと、その経験は成長にはつながらない―というプロセスの違いによってである。経験の結果を振り返り、「なぜ上手くいったのか」「なぜ失敗したのか」などを自らに深く問いかけることが大切になるが、このようなプロセスを業務の傍らで行うのは容易ではない。日々の仕事にどっぷりと浸かり切った状態では、なかなか自分自身を客観的に振り返れないからである。したがってこのプロセスでは、直属の上司やマネジャーなど、本人の成長をサポートする他者の存在が重要になってくる。
 ここで大切になってくるのが、「フォロワーシップ」である。上や前から引っ張るリーダーシップに対し、フォロワーシップは下や後ろから支える行為を指す(サーバンドリーダーシップ)。リーダーのフォロワーシップは、フィードバック面接やミーティングによって部下の長所を引き出す行為が該当するが、同時に役職に関係なくメンバーが組織を引っ張り、リーダーがそのメンバーを支えるという組織も考えられる。走りながら考える不確実性の高い現代社会では、リーダーが常に正解を持っているとは限らず、メンバーから最適解が出されることも十分にあり得る。それだけに、権力をリーダーに集中させる組織ではなく、個々が持っているプランやアイデアをひとつの形にしていく自律型組織が求められてくる。「自律型組織」とは、自律した人材が集まって、分散型の意思決定をし、それぞれがリーダーシップとフォロワーシップを発揮して目標が達成できる組織を指している。

 自律型人材に不可欠なメタ認知能力とは
  組織の中には、知識が豊富で、さまざまな資格を持ちながら、なかなか成果が上がらない人がいる。こうした部下を救うには、上司が部下にどう向き合えるかが問われてくる。一般的に業績が下がる、または上がらない部下の上司は、目標の達成度や業績結果しか気にしない傾向がある。「どうしてこんな業績なのか」と叱り、「もっと頑張って結果を出せ」と命じる。
 しかし、成果が上がる部下や常に業績上位の部下の上司は、部下が仕事をするプロセスに寄り添い「どこに問題があるのか」と訊ねて一緒に確認し、次はどう進めたらよいかを部下に考えさせるよう指導している。
 では、上司は具体的に部下とどう向き合えばよいのか。できる上司が口をそろえるのが、仕事の習慣をつくる手助けをすることだ。例えば、どんな環境でも結果を出すためには、結果から逆算してどう行動するかにかかっている。つまり「逆算思考」ができるかである。逆算思考ができる人は、与えられた目標レベルや期限から逆算して、現時点で何をすべきか、考える習慣がある。仮説を立ていろんな人に相談し、自分が立てた仮説を修正していくのである。
 逆に、目標が達成できるかどうかは分からないが、自分のやれる範囲で頑張ろうとする人は、一見頑張っているように見えるが、過去の経験や知識にとらわれ、失敗を恐れて挑戦的な行動がとれなくなる。過去の経験によって作られた「自分の殻」に閉篭もり、「自分なりに考え、頑張ったのだが・・・」と後で言い訳をするのである。
 このようにメタ認知(知覚、記憶、学習、思考など)能力とは、過去に習得したもろもろの知識・技能(能力全体を構成する要素)をさまざまに組み合わせ、「その場」で求められている成果を出そうと努める能力を指す認知心理学の専門用語である。経験学習モデルで確認したように、我々は仕事を通して色々な知識や技能を身につけていく。しかし、俗に言う「仕事のできる人」というのは、そうした個別の知識や技能をたくさん持っている人ではない。どんな役割や目標が与えられても、内面に蓄えた個別の保有能力を自在に組み合わせ、着実に成果に結びつけられる人材である。つまり、メタ認知能力の高い人は自分自身を客観的に見ることができ、「何ができ、何ができないか」自分の能力を正しく評価することができるため、無謀なことに挑戦して失敗(リスク)したり、慎重すぎて機会(チャンス)を逸することがない。また、メタ認知能力が低い人には、自分を実際以上に過大評価する自己陶酔型人間と、その逆の自己否定型人間が多いようである。面白いのは、例えば過去の仕事のやり方が通用しなくなったことに気がつかないと(メタ認知能力の衰え)、他者とのコミュニケーション能力も低くなり、極端になると他人と上手く付き合うことが難しくなるようである。おそらく自分自身が理解できないと、他人の心を理解することはもっと難しいのであろう。

 メタ認知能力を身につける方法
 目的を達成するための手段である「仕事力」とは、自ら学び、自ら考える―といった本人自身の主体性がその根底にある。つまり、本人自身が自分の知識や技能等についての学びの過程(キャリア形成)や結果を価値づけ(評価)、望ましい自分へと変えていく方策が必要である。
 その一つは、自己を分析し「自分は何ができて何ができないか」や「どの程度できるか」といった自己モニタリングする力である。一般的に、「振り返りカード」や「自己評価カード」、「自己評価表」などを活用することが多くみられる。自己の行動や結果を振り返り、次の行動に活かしていくという過程がメタ認知を高める上で重要になる。
 もう一つは「自分の心と行動を制御すること」で、自己をコントロールする力である。やるべきことがわかっていた時代には、決められたことに真面目に取り組むだけで成果がでた。しかし、今の難しい時代には常に新しい状況への対応が必要になる。場合によっては、自分の発想や行動パターン、チームメンバー同士の関わり方を変える必要があるかもしれない。そのためには、自分とチームがどんな取り組みをしているか俯瞰し、客観視することが不可欠となる。具体的には、自分を見ている「もう一人の自分」を意識したり、思考を文章や図にして「見える化」することが有効である。自分が無意識の内に何かの衝動に駆られていないか意識し、それが何なのか自分自身に気づかせることが必要である。

 メタ認知能力の鍛え方
 メタ認知能力を鍛えると、自己中心の考え方から卒業し、周囲の人の気持ちも反映した考え方ができるようになる。では、どうすればメタ認知能力を鍛えることができるだろうか。以下は、メタ認知能力の鍛え方である。
 ,任るだけ多くの知識を身につける。
 物事を考える際には、自分の感情や体験だけでなく、知識も必要になる。知識が多ければ、それだけ幅広く問題を捉えることができる。また、問題解決の方法についても、一つの方法だけでなく、多くの方法を考えることができる。場面に応じて誰もが納得できる最適な考え方を選ぶためには、知識が必要不可欠である。
 ⊆分で考える習慣を持つ。
 人は他人の意見やその場の空気など周囲の影響を受け、それを自分の意見と思い込むことがある。しかし、これは単に周囲に流されているだけであるから、周囲の意見が変われば自分の考え方も変わる可能性が高くなる。八方美人と思われないためには、自分自身の頭で考える習慣を持つことが大切である。
 B梢佑琉娶にも耳を傾ける。
 どんなに自分が正しいと思っても、人の数だけ違った意見があることを忘れてはならない。人の意見を聞くことで、新たな気づきや知識・情報を得ることもできる。自分とは異なる意見であっても、まず相手の意見をしっかりと聴くように心がけたいものである。



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自律型人材育成と経験学習モデルとパイプライン・モデル


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