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個人の主体性を活かし、集団力を高める・・・成果主義の人材マネジメント
 
       
2015年2月27日    バブル崩壊後の人員削減・成果主義の浸透、そして近年の景気回復による人材不足。企業と個人を取り巻く環境は、この二十年の間に大きく変化した。
 しかし、どんな時代においても企業が競争力を持ち、業績を確保しながら成長を続けていくためには、経営環境に適合したビジネス・モデル(儲かる仕組み)を創出し、そのビジネス・モデルを個人や職場によって確実に遂行していくことに変わりはない。そのためには、各種の制度や業務プロセス(組織運営上の仕組み)を整備し、適切に運用することが求められる。これは組織経営の基本であり、普遍的な原理でもある。
 因みに、成果主義を導入した企業の中には、「社員のモチベーションや職場のモラールが低下した」等の問題を抱えていることは否めない。確かに、職場のメンバーがお互いに支援し合う風土や雰囲気があったり、個々の社員が仕事を通じて生きがいや自分自身の成長を実感できたりすることは大事なことである。だが、その一方で、職場のメンバーがお互いにサポートし合う風土づくりや社員の働く意欲の向上に注力し、業績を伸ばしている企業も多い。同じ成果主義であっても、その違いは一体どこからくるのか。成果主義の適切な運用について考えてみたい。

 成果主義の真のねらいは「柔軟性」
 一段と企業間の競争が激化する中、日々の仕事の中で成果主義に翻弄され、様々な問題に突き当たっている企業は多い。例えば、「目先の成果だけにとらわれ、長期的な目標に目が向かなくなっている」。または、「個人プレーに走る社員が増え、チームワークが失われている」。そして、「人材が育たない」という深刻な問題がある。
 そもそも日本企業が成果主義を導入した目的は人件費の削減であり、中長期的に人を育てようという観点は抜け落ちていた。その背景には、短期志向の強い欧米企業で普及している制度であるから、「成果は短期的な業績結果」と狭く捉えてしまったことがある。だが実際は、人材輩出企業として定評のあるゼネラル・エレクトリック(GE)など成果主義を徹底していると思われている米国企業でも、短期的な結果業績だけでは評価していない。もっと社員の人間としてのありようを含めて評価している(例えば、9ブロックによる適材適所:GE )。このように社員の人間性(バリュー)や結果(業績)を生み出したプロセス、努力といったものを加味して評価しなければならないのに、日本企業の大多数は単に結果業績(目標達成度)だけを評価して処遇に結び付けてきた。だが、成果主義には「環境変化への柔軟な対応」という本来のねらいがある。
 グローバル競争が激化する中で、企業はイノベーションを起こしたり、組織を変革したりすることを絶えず求められている。イノベーションを起こすためには、従来とは異なる知識や技術が必要になる。さらにイノベーションや組織変革の結果、企業内に新たな仕事が生まれたり、仕事の重要度が変わったりする。従来の人事考課制度のままでは、新しい事業や仕事に携わる人を評価したり、仕事の重要度の変化に応じて社員の賃金を増減させたりすることはできない。
 もっとも、すべての日本企業がここまで戦略的に成果主義の導入を進めたわけではない。多くの企業は「同業他社が採用したから」という理由で取り入れた会社もあった。さらには、人件費の総額を抑制する目的で導入した企業もみられた。
 問題は、社員のモチベーションや職場モラールが低下しても、手を全く打たずに長引かしていることである。今日の企業間の業績格差拡大は、制度そのものよりも間違った運用にあることを経営陣は認識する必要がある。

 モチベーションとモラールの違い
 労働人口が減少するなか、社員の就労価値観の多様化も進んでいく。また多様な雇用形態の人材を擁し、環境変化に適応しながら、業績を確保し成長していくには、職場のチームワークのあり方や個々人へのやりがいの与え方が、企業にとってますます重要になっている。つまり、成果主義が目指す組織や人材育成を実現するためには、個人のモチベーションと職場モラールをいかに高めていくかが成果主を運用上のポイントである。
 ところで、モチベーションもモラールも「働く意欲」を意味するが、両者は同一のものではない。日本語に訳すとモチベーションは「動機づけ」、モラールは「士気」となるが、モチベーションは、自分の行動を自分で決めるという「自己決定感」や自分が役に立っていることを認識できる「有能感」といった、自分自身の心の中で発生する充足感や働きがいといった感情から発生する(内発的動機づけ)。一方のモラールは、職場の労働条件や労働環境、人間関係や帰属意識などに影響されて生じる意識をさし、どちらかといえば集団的な感情や意識に対して使われる概念である(外発的動機づけ)。
 職場モラールはたぶんに他律的であることから、個々人の持続的なモチベーションの下支えがないと永続することはない。したがって、活性化された職場を作るには、まず個々を動機づけることが必要になる。そのためには、会社のビジョンや期待する人材像等を明示し、新たな能力学習の機会(企業戦略につながる人材の活用、成果まで含めて)を提供する必要がある。
 これに対してモチベーションは、個々の社員の心の持ちようで変わることから、成果主義の下でも工夫次第で向上する余地がある。例えば、自己の意思と適性に応じて将来の進路を選択するとか、キャリアカウンセラーを設置したり、評価のフィードバックを充実したりしている。ポイントは、人によってモチベーションの要因は異なるということである。社員の一人ひとりにきめ細かく対応するために、個別管理を充実していかなければならない。

 自律型人材をつくる「個別管理」のススメ
 人事管理(人材マネジメント)の基本は、個別管理である。つまり、一人ひとりの意思や適性や能力に応じて、一人ひとりを育成し成長させる人事を個別管理という。個別管理が最も如実に表れるのが、異動や配置の場面である。一人ひとりをどの部署に異動させるか、なにが強みで、なにが弱みか、また異動に伴いどのような配慮が必要となるのか。人材を新しい職場に配置する際には、与える仕事のチャレンジ度と失敗によるリスクの判断が重要になる。それによって、社員の意欲のレベルや職場の成果が大きく影響されるからである。
 かつての日本企業の人事管理の特徴は、異動の場面における判断にあった。多くの企業では、仕事の割り振り、昇進・昇格などの多様な意思決定を、個人の意思や将来性、家族状況までも加味して総合的な観点から判断して行ってきた。今日における人材の選抜、適材適所、リーダーの育成・開発といったタレント・マネジメントの基盤が出来上がっていたのである。
 だが、事業部制やカンパニー制などによる企業構造の細分化が、社内の個別人材に関する情報の流通を妨げ、個別管理が行き届く範囲を狭くしているのも事実である。人材に関する情報は以前に比べて、質・量ともに格段に低下した企業が多く、そのため個別的な判断がだんだんと難しくなってきている。
 また、評価・処遇制度だけを変更した成果主義の影響も見逃せない。一般的には、成果主義は個別主義・業績主義といった方向で、新しい変革が進められると考えられてきた。すなわち、一人ひとりの成果や企業への貢献を評価し、それをベースに仕事の割当や上司の指導・支援のあり方を考え、成果につなげていく――それが成果主義だといわれてきた。
 だが実際に進んだのは、早期選抜型人事やハイパフォーマーへの賃金・教育費の傾斜配分などであり、それ以外の人達にはできるだけ抑制する人材マネジメントなのである。いわゆる、優秀人材とそれ以外を明確に区分し、前者には個別管理、後者は集団管理を進めた企業が多い。その結果、後者のモチベーションが低下し、職場全体のモラールも著しく下がり、何となくいつもイライラ・ギスギスした「不機嫌な職場」が増加しているのである。

 忠誠心(ロイヤリティ)から愛着心(エンゲージメント)へ
 「社員エンゲージメント」とは、社員それぞれが、会社が実現しようとしている戦略や目標を理解し、腹落ちして、そこに向かって、自らの力を発揮しようとする自発的な貢献意欲のことをいう。
 2000年以降のデフレの長期化、実質賃金の減少、管理職ポストの削減など、さまざまなマイナス要因が絡んだ結果、「組織のためにがんばることが自分のやりがいだ」と、言いきれなくなっている。また、社員に課される目標があまりに短期的になったことで、社員一人ひとりが目標や希望を持ちにくくなっている。なおかつ上司自身も短期的な目標に縛られている上に以前ほどの裁量はなく、さらに高い報酬を得ているわけではない。よって以前ほど管理職が魅力的に見えなくなり、昇進意欲を失うことにも直結している。昇進しても何もいいことがないと思われては、モチベーションが低下するのは当然である。
 また、「プレイング・マネジャー」が増え、部下とのコミュニケーションに十分な時間をさけない上司が増えたことも、社員の士気低下の一因として考えられる。今の上司は、部下の仕事ぶりを見る時間と余裕を失っている。上司から自分を評価してもらい、周囲からも承認してもらう環境がなくては、モチベーションは上がりにくい。
 そもそも人は最終的に、自分がやっていることが世の中や他人に、どう役に立っているかを実感できないと、やる気が湧いてこない。ところが今の日本の仕事のあり方では、あまりに細かく責任範囲を区切り、自己の有能感を感じにくくなっている。では、具体的にどうすれば、社員のモチベーションを高めていけるのだろうか。
 そもそも、企業が一定の範囲を超えて成長・成功を達成するためには、社員の自発的な貢献意欲(=エンゲージメント)が求められる。そして、その一要素となるのがモチベーションというわけである。先進国の成熟社会において社員が持続可能なエンゲージメントを実現するには、_畩蠅壁蘆瓦なく、心身共に健康的に働ける活気ある職場であること。⊂綮覆簔膣屬箸隆愀犬良好で、仕事に必要な情報が行きとどき、ある程度の裁量や権限が与えられた、生産性が高い職場であることが、大前提になる。
 反対に、上司や仲間とのコミュニケーションがうまくいっていない、といった職場では社員のエンゲージメントは上がりようもない。また、自分のやっていることが社会の役に立っていると実感できない職場では、働くための動機づけができないのだ。従って「あなたの仕事は、世の中のために、こう意義がある」と示すことが、人事や経営や上司の大切な役目になっている。
 もっともモチベーションの源泉には、当たり前だが個人差がある。ましてや昨今の企業は多様な人材を抱えていることから、単一のモチベーション・アップ施策には限界がある。「企業の業態や業種、職種、年代、性別などによって、エンゲージメントのドライバーはさまざまだ。たとえ同じ企業内でも、開発職と営業職では、働く動機づけが異なる。だからこそ昨今の職場では、「現場の上司が部下一人ひとりを個として扱い、観察し、承認することが求められているのである。


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