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■デフレ脱却には企業のイノベーションが不可欠
 
       
2014年12月29日    前回(59%台)に続き戦後最低の投票率(52%台)を更新した衆議院選挙(12月14日投票日)は、自民・公明の与党が議席数を増やし、圧倒的な勝利で幕を閉じた。任期を2年余り残した時点での今回の解散・総選挙では、安倍総理が自ら掲げたアベノミクスに対する国民の信任は得られたのだろうか。低い投票率が物語っているように「暫く猶予期間を与えてみよう」というのが大方の有権者の判断ではないだろうか。なにしろ自民党の総得票数は、政権を失った2009年から3回連続して減少している。
 経済の専門家ではないが、金融政策だけで本当にデフレから脱却できるのだろうか。機動的な財政政策といっても、予算を計上(2013補正予算)しても、それを執行していくだけの国力(潜在成長力)は今の日本経済には残っていない。足元(7〜9月)の景気の腰折れ状態がそれを証明しており、とても10%消費増税どころではない。バブル崩壊からリーマンショックを経て現在に至るまで、企業の関心はもっぱらコストカットに集中し、未だに"守りの経営"から脱していない企業が多いのではないだろうか。
 賃金についても、政府が介入し「官製春闘」などと揶揄されているようだが、グローバル化が進む現在、低賃金の新興国と同じように"モノづくり"のみにとどまっていたのでは、いずれ衰退の道をたどることは必定であり、企業は賃上げどころではない。企業の将来を託された経営者の危機感はむしろ強まっている。
 では、会社を発展させ成長させていくのは、どうすればよいのか。モノ余りの時代、顧客が求めている価値はモノ(製品)そのものだけではない。その製品によって顧客にもたらされる問題解決や顧客の生産性といったサービスも含まれる。つまり、顧客の満足をどれだけ高められたかに応じて価格が決められ、企業は低価格競争から抜け出すことが可能になる。
 これまでモノの生産や流通として捉えられてきた市場をエコシステムとして捉えるべきことは、このコラムでも述べてきたとおりである。イノベーションの最終回として、現在の経済状況を俯瞰しながら、ビジネスモデルのイノベーションについて考えてみたい。

 補正予算で公共事業を増やしても景気回復に役立たない
 今年4月の消費増税後の状況について、政府や経済専門家、マスコミはさかんに「想定内」を繰り返していた。だが、7〜9月の景気は予想をはるかに上回る大きな落ち込みとなった。なぜ、予想を裏切り景気は後退したのか。その要因の一つに、日本の潜在成長力(国力)の低下があげられる。4月の増税実施に向け、政府は5.5兆円の補正予算を組んで対策を講じた。しかし、従来型の公共事業で景気対策を行っても、建設労働者不足で事業が執行できないという状況になっている。政府がいくら予算を計上しても(デマンドサイド)それを遂行するだけの供給能力(サプライサイド)が不足していたのでは、増税による直接の影響(需要不足)だけが残り、景気が後退するのも至極当然である。
 長期にわたる国内需要の低迷(実質賃金の低下=国民の能力の無駄使い)によって、中長期的な国力を示す潜在成長力(労働投入、資本投入、生産性)は低下(現状0.5%〜1.0%、IMF)を続け、政府の機動的な財政政策は景気を下支えする役割すら果たせなかったのである。潜在成長力が低下を続けている背景には、財政破綻を回避するために、財政削減と増税政策に取り組むべきだという主張がある。確かに、日本政府の借金(国債発行残高)は約1000兆円で、GDP(500兆円)の二倍もあり世界最悪といわれている。その一方、国民の金融純資産は1240兆円、対外純資産は325兆円(二位の中国207兆円の1.6倍)あり世界一の債権国でもある。日本の財政悪化が各国と比べて大幅に進行しているように見えるのは、負債の増加ペースに関わらず、名目GDPが成長していないことが大きく影響している。日本もデフレから脱却し、名目GDPでの経済成長が続いていたならば、相対的な債務負担は軽減されていたはずである。
 株価上昇や円安により業績を回復させた企業では、賞与などの臨時給与や残業時間の増加に伴う所定外給与の増加は広がりつつある。しかし、賃金より先に物価が上がる傾向が顕著になりつつあり、実質賃金の下落は現在も続いている。そのため足元では景気の減速も生まれている。それだけに、実体経済を持続的に回復させていくには、新たな成長分野への積極的な財政政策が期待されているが、果たして需要が回復しても国も企業も受注に結び付けていくだけの力があるだろうか。今はデフレギャップで財政支出によって需要を創り出すことに注力しなければならないが、需要が継続的に増えていくためには企業の供給力(稼ぐ力)も同時に高め、経済の天井(潜在成長力)を上げていく必要がある。そのためにも政府は規制緩和に取り組み、企業がリスクを取れる新たな競争ルールが生まれる環境整備が求められている。

 デフレの本質は国民の能力が有効に活用されていないこと
 国の財政再建の必要性を説くとき、よく一般家庭の家計(収入と支出と貯蓄)や企業の財務に例えることがある。だが、この考え方はミクロ経済とマクロ経済を混同していて、基本的に間違っている。一般家庭や企業は、収入(売上)を増やし支出を減らして貯蓄(利益)を蓄えることにある(ミクロ経済の視点)。
 他方、国・政府の役割は、国民一人ひとりが保有する能力を最大限に発揮させ、国力を増強して国民全体を豊かにすることにある(マクロ経済の視点)。つまり、国民全体を豊かにするためには(有効需要)、国民の能力を発揮させること(国内総生産、GDP)が前提となる。これを別の表現を使えば、全国民の貯蓄額と全国民の負債額は一致することになる。
(GDP=家計消費+企業投資+政府支出+輸入−輸出)
 したがって国・政府がすべきことは、産業の育成を通じて国力を増強し、国民が能力を発揮する場(雇用)を提供することである。国債残高の問題は、長期的にはインフレとGDPの増加による税収増によって、いずれバランスが取れるようになる。税収の無駄使いを無くし、消費者が喜ぶ新しい価値を創造し続けられるサプライ(供給)サイドに働きかけ、既得権益が発生しないよう市場で公正な競争が行われるよう環境の整備(特に労働市場)を行うことにある。
 つまりデフレ経済とは、国民に能力を発揮する場が与えられず、需要が供給を下回って失業者が発生する状態を指している。こうしたデフレギャップの状態が長く続くと、企業は工場等を閉鎖して生産能力を削減し、国民の能力(購買力)は低下して、国力(潜在成長力)は衰退していくことになる。そこで、政府が一時的な財政出動による景気刺激策を講じることで、GDP(一定期間内に国内で生み出された付加価値の総額)や民間消費の増加(有効需要)を押し上げ、雇用機会を創出して完全雇用状態(有効求人倍率1.0以上)に近づけための政策が必要となる。但し、公共事業等は建設業に資金が集中し、資源配分・所得配分に歪みが生じたり、公共事業に依存する産業の膨張をもたらし、経済効率を低下させる恐れがある。したがって、公共投資は現在だけでなく、将来の消費の増加に結びつく成長分野を見極めて行うことがなにより重要になってくる。

 労働生産性を高めて実質賃金を向上する
 マクロ経済における最大の需要は個人消費(GNPの約6割)、つまり家計消費である。したがって、家計の購買力である実質賃金が増えていかなければ、持続的な景気回復の実現は困難である。このため、昨年から政府も加えた「政労使会議」が開催されている。しかし、4月の消費増税と円安による輸入価格上昇の影響で、賃金より先に物価が上がり、実質賃金の回復は必ずしも順調ではない。
 では、実質賃金を上げていくには、なにが必要になるのか。これまで日本の実質賃金でも、おおむね労働生産性に応じて決まってきた。例えば単純化すると、労働時間当たりの実質GNP(仮に5000円)の内、時間当たり実質労働コスト(仮に3000円)が労働に分配されているとすると、労働分配率は60%(3000/5000円)となる。実質賃金が労働生産性の上昇率を上回って配分されると、労働分配率は上昇する。労働分配率の上昇は企業の資本利益率を低下させることになるから、このような賃金上昇はいつか限界がくる。実際に労働分配率の動向を見ると、不況期には労働コストが相対的に大きくなり、見かけ上は高くなる傾向にある。また、非正規労働者の増加といった労働市場の変化や、相対的に労働生産性の低い非製造業に労働力がシフトすると実質賃金は低下する。
 今後、少子高齢化の進展で労働力人口の減少が見込まれている日本経済は、一人当りの生産性を向上していく必要がある。それには付加価値の高い仕事を増やしていくためにイノベーションに取り組むことが大切になる。それと同時に、新たな成長分野を開拓して雇用機会を拡大し、人材を育成していくことが持続的成長の実現に貢献する。そのためにも政府は、規制緩和や人的資源の活用(教育制度の充実)、新規競争者の市場参入の加速を確実に推し進め、企業は「儲けの仕組み」である自社のビジネスモデルを再考していくことが求められる。

 なぜ今、ビジネスモデルのイノベーションが注目されているのか
 ビジネスモデルという言葉には明確な定義がないが、ここでは「顧客に満足を与え、その対価として企業に利益をもたらす仕組み」と理解しよう。日本の企業は"モノづくり"に目がいきすぎ、固定的なビジネスモデルから抜け出せないでいるといわれている。また逆に、「モノが売れないから、コトで儲けよう」と短絡してしまうケースが少なくない。
 企業のイノベーションには、プロダクト(製品開発)、プロセス(生産方法や業務プロセス)、ビジネスモデルの三つがあるが、IBMの「グローバル2006レポート」によれば、ビジネスモデルのイノベーションが企業の成長に最も大きな影響をもたらしている。また、成功したビジネスモデルのイノベーションのいずれも自社中心主義でなく、エコシステムやオープンイノベーションなど産業や業界を越えた社会的関係性(ネットワーク)を志向している―という共通点があるそうだ。
 世界中でビジネスモデルの革新に"なぜ注目が集まるのか"、その理由を「ホワイトスペース戦略」(マーク・ジョンソン、2011)では、競争基準の変化をあげている。競争基準の変化とは、製品が市場に導入された初期の段階では、機能的な価値を提供するだけで市場を独占することが可能であるが、その機能が当たり前になってくると品質などの信頼性へと競争の基準が移ってくる。さらには、製品の機能・品質のコモディティ化が進んでくると、使い易さなどの利便性へと競争の基準が移り変わる。この基準に競争が差し掛かると、「技術では勝っても、事業に負ける」という事態が発生してくる。そこから脱出するには、「事業のやり方を変えるしかない」ということで、ビジネスモデルに注目が集まる―ということである。
 「競争の基準が変わる」ということは、顧客価値提案と同義であり、「そもそも顧客が求めているのは何か」を理解することが求められる。また、顧客価値提案を変える際には、単に販売するだけでなく、販売方法や生産方法といったプロセス、さらには社内の規範、価値観まで変える必要がある。つまり、顧客や市場の理解という「社会問題」と「社内問題」という二つの問題に取り組むことになる。社会問題への取り組みにあたっては、,修發修皀咼献優好皀妊襪箸浪燭鮖悗垢里?現在の顧客は果たして新たな価値提案を待っているのだろうか?それとも、今の製品をより改善して欲しいのだろうか?い匹ΔいΔ箸にビジネスモデル・イノベーションが求められているのか?これらの問いに対する理解が必要とされる。


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