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■ライバルのいないビジネス戦略への転換・・・ブルーオーシャン戦略
 
       
2014年11月25日    前月のコラムでは、ビジネス・マネジメントに関心のある人であれば誰もが一度は聞いたことがある「イノベーションのジレンマ」(クリステンセン、1997)を克服していくための具体的方法として、リバース・イノベーションを紹介した。クリステンセン氏が指摘している、業界をリードしてきた巨大企業が優良顧客を重視するが故に、破壊的イノベーションへの取り組みが遅れ、新しいプレーヤーの参入を許すという状況は、現在のビジネスにおいても日々実感されることである。特に他業種から参入する企業は、それまでの業界常識とは異なる競争ルールを市場に持ち込み、既存企業がこれまで培ってきた資産が役立たなくなるケースが多い。
 では、こうした脅威に対してどう対抗するかといえば、結局は自らイノベーティブな企業である続けるしかないわけである。常に新しいアイデアを生み出し、組織力を活かして製品やサービスに投入して顧客の高い評価を受けるのである。"イノベーションの時代"といわれる所以である。
 イノベーションのジレンマが想定する企業像は、競合に打ち勝ち成長を続けることを是とする企業目線(競争戦略)から積み上げられた理論である。だが、もし仮に「競争のない未開の広大な市場を切り開き、大きな成功を収めることのできる方法(非競争戦略)」があったとしたらどうだろうか。例えば、高い性能を求めない顧客に対して、それまで以上の低価格の製品・サービスが提供できたとしたらどうだろうか(ローエンド型破壊)。また、既存の製品・サービスが重視する性能では劣るが、今までにない特性の恩恵を与えてくれる製品・サービスで新たな市場を創造できたらどうだろうか(新市場型破壊)。前月コラムのリバース・イノベーションに続き、イノベーションのジレンマを克服するもうひとつの方法として、ライバル企業との競争を回避することによって成功の確率を高めようとする「ブルーオーシャン戦略」(キム&モボルニュ、2005)について考えてみたい。

 無駄な競争を回避するブルーオーシャン戦略
 ブルーオーシャン戦略は、欧州経営大学院(INSEAD)のキム教授とモボルニュ教授が著したビジネス書の中で述べられている経営戦略論である。
 戦略論には大きく分けて「競争戦略」と「非競争戦略」がある。「競争戦略」とは、明確な競争相手がいる市場の中で、いかに利益を上げていくのかを考えていくことである。経済学ベースの戦略論の代表格であるマイケル・ポーターの理論はこれに該当する。一方「非競争戦略」とは、新しく市場を創出して利益を上げていく戦略であり、ここには既存の競争相手はいない。この「非競争戦略」にブルーオーシャン戦略がある。
 人の人生と同様に、企業経営もトレード・オフの連続である。品質と価格、デザインと性能、利便性と安全性など次々にトレード・オフが発生する。さらに、大きいところでは現在と将来、集中と多角化などの経営のトレード・オフが存在する。ポーターにとって戦略とは選択であり、それは「.灰好肇蝓璽澄璽轡奪廚、それとも∈絞眠修?」、「〜澗里、⊇乎罎?」の2種類のトレード・オフに帰着する。戦略とは、捨てることであり、それがポーターの信念でもあった。
 しかし、戦略とは「トレード・オフ」だけではない。その実現困難なトレード・オフを乗り越えることをイノベーションと呼んでいる。高付加価値を低価格で提供するなど、実現不可能と思われる二律背反を発見し、それを解消するイノベーションはどうやったら生み出せるのか。ビジネスのサービス化とオープン化が進んでいる現在、どんなに高い技術であってもそのままでは大きなビジネスにはならない。製品やサービスのコモディティ化、価格戦争、利益率の縮小などが加速してきているからである。技術を利益に結び付けていくにはビジネスモデル自体を大きく変えていく必要がある。それが、イノベーションとなる。
 ブルーオーシャン戦略(競争のない未開拓な市場)は、既存業界の枠組み中での競争を避け、競合他社とのベンチマーキング(優良他社との比較)を行わない。その代わりに新たな需要を掘り起こすために「バリュー・イノベーション」を考える。このバリュー・イノベーションこそ、ブルーオーシャン戦略の土台である。バリュー・イノベーション(価値革新)とは、顧客や自社にとっての価値を大幅に高め、競争のない未知の市場を開拓することによって、競争そのものを無力化するのである。

 バリュー・イノベーションに重要なツール
 バリュー・イノベーションを成し遂げれば、「価値とコストはトレード・オフの関係にある」という、競争戦略の常識から開放される。つまり、差別化と低コストを同時に実現するのである。ここで、短時間で低価格のヘアカットを提供するQBハウスを運営しているキュービーネットの事例をみてみよう。
 QBハウスは「一般的な理髪店は時間がかかって高い」という不満を持つ多くの顧客に対して、「短時間で低価格」という新しい価値を提供したことによって、一般的な理髪店から顧客を奪い成長を続けている。だが、考えなければならないのは「QBハウスでなければいけない」という顧客ではなく、たまたま自分のニーズに合致したから顧客となったという点である。もし仮に、より短時間で低価格のヘアカットを提供する理髪店が近所にできれば、そちらの店にスイッチすることもまた十分に考えられる。
 つまり、ブルーオーシャン戦略で切り開いた非顧客をつなぎ止めておくことは非常に難しく、イノベーションが起こって自社製品を上回る価値を提供する企業が現れれば、たちまち顧客を失うリスクも高くなり、ブルーオーシャンの終焉につながっていくということになりかねない。したがって、ブルーオーシャン戦略を実践する上で最も重要なのは、バリュー・イノベーションという考え方で市場の境界線を引き直すところにある。そのために「アクション・マトリックス」と「戦略キャンパス」が重要なツールとされている。
 アクション・マトリックスは、どのように変化をもたらせればブルーオーシャンを創造できるか、「取り除く(業界の競争要因のうち取り除くものは何か)」「増やす(業界標準と比べて増やすべき競争要因は何か)」「減らす(業界標準と比べ減らすべき競争要因は何か)」「付け加える(付け加えるべき新たな競争要因は何か)」という四つのセグメントに、業界や他社の取り組みを当てはめ、自社の事業を再整理するためのツールである。
 もうひとつの戦略キャンパスは、競争要因を横軸に、縦軸にそのレベルを取り、自社の取り組みと他社の取り組みを比較するためのツールである。各競争要因の点を結び合わせた線が、他社の線と大きく異なる場合は、新たな市場を創造できる可能性が高いことを確認することができる。

 ブルーオーシャン戦略を実行する人と組織
 現状の経済状況を見るかぎり、ブルーオーシャンを切り開く必要性は高まっているが、イノベーションを起こすときには、必ず「既存勢力」からの抵抗があることを想定しなければならない。そこで重要になってくるのが、バリュー・イノベーションを支える、「ティッピングポイント・リーダーシップ」と「フェアプロセス」の二つである。
 ティッピングポイント・リーダーシップとは、バリュー・イノベーションを推進していく過程で表れてくる、’Ъ韻離蓮璽疋襦↓経営資源のハードル、士気のハードル、ぜ卞眄治のハードル、を乗り越えていくために発揮されるリーダーシップのことである。信念を抱き、熱意を傾ける人の数が一定数を超えると、それが大きな流れになる場合がある。ポイントとなるのは、大きな影響力を持つ人達を見極め、そこに労力を集中させることである。
 ティッピングポイント・リーダーシップでは、〜反イ剖い影響力を持つ中心人物に接近(働きかけ)する。中心人物の優れた行動や問題点を目立つようにし、変革を推し進める。8帖垢亮勸の仕事と関係づけられるまで目標を細分化して、一人ひとりのブルーオーシャン戦略の遂行責任を明確にし、各人に委ねる―ことで士気を高め、低コストかつ迅速にティッピングポイントを生み出すことができる。
 また、戦略を実行していくためには、「公正なプロセス」がポイントになる。経営トップから現場に至るすべての従業員が新しい戦略に共感し、同じ方向を向いて取り組んでいく必要がある。それを担保するのが「フェアプロセス」である。それを実現するには、ヾ慷拭Ю鑪を立案するプロセスに参加する機会を用意する。∪睫澄Ю鑪決定の道筋、理由をすべてのステイクホルダーに説明し、理解と納得を得る。L晴な期待内容:社員に対し何が期待されているのかを明確に提示する―ことが不可欠となる。
 ブルーオーシャン戦略では、バリュー・イノベーションに関心が集中しがちであるが、それを実行していくためには、必ず人と組織のサポートが必要になってくる。ビジネス・パートナーである人事部門が戦略に疎いと、せっかくのバリュー・イノベーションは不発に終わることになりかねない。

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