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■個人の能力とリーダーシップを開花する・・・タレント・マネジメント
       
2014年6月26日     最近の企業人事における変化の一つは、「人」に対する概念(価値)が大きく変ってきたことである。従来の人事管理(Personnel Management : P.M)では、業績を挙げるためのコストや一生産要素として捉えられていた人材が、無限の可能性を秘めた人的資源管理(Human Resource Management:H.R.M)へと変わってきた。そして今、それは事業戦略を実現するためのタレント、すなわち人的資本管理(Human Capital Management : H.C.M)という概念に変化してきている。
 人材マネジメントにおけるタレントとは、事業戦略の実現に不可欠な能力・スキルを持った人材、あるいは投資や教育を行って戦略に必要な能力やスキルを持った人材育成を指している。すでに先進的な日本企業では、タレント・マネジメントをビジネス戦略の中核にすえ、さまざまな取り組みを行っている。しかし世界各国の企業と比較して、日本の企業はタレント・マネジメントを重視しない傾向があるようだ。労働市場の流動化の高まりや労働人口減少が指摘されているなか、日本の企業は社外から有能な人材を獲得することよりも、社内での人材発掘・育成を重視しているようである。
 そこで、タレント・マネジメントの背景を探るとともに、これを実現するための考え方や課題について紹介したい。

 なぜタレント・マネジメントなのか、その背景
 タレント・マネジメントの仕組みを持っていない米国企業は26.5%(2009 調査)にすぎない、というASTD(米国人材開発機構)の調査(2009)がある。米国企業の間では、かなり広く知られた取り組みのようであるが、日本においては導入に踏み切った企業でも「社員データベースの構築段階」でしかない。また、タレント・マネジメントとは、いったい何をすることなのか、その本質や要件が何であるのかも明らかにはなっていない。
 先の調査を行ったASTDによると「ビジネスゴールと調整の取れたタレント(人材)獲得、開発、配置のプロセスを通じて、組織文化、組織への愛着心、組織能力、許容力を構築することにより、組織が短期および長期の成果を獲得することを可能にする、全社的な人的資本最適化のアプローチである」と定義されている。抽象的かつ曖昧な内容で、よく意味が解らない。だが、米国における人材マネジメントは、効率的な労働力の活用により、企業の競争力を高めていくことを目的として発展してきているだけに、どんな背景があるのだろうか。
 米国でタレント・マネジメントが求められてきた第一の背景に、労働力人口の減少がある。米国労働省は、今後20年間に4,600万人の知識やスキルをもったべビーブーマーが退職すると予測している。そうしたなか、今ある人材の能力を最大限に発揮させ、また現在の労働力を失わないようにする人事施策が必要になってきている。
 第二の背景に、人材の長期的育成をはかる必要性が挙げられる。これまで人材の流動性の高さを理由に、人材育成にかかるコストに消極的であった。また、社外から獲得する人材には、即戦力・短期成果を求めてきた。だが、即戦力人材は組織に定着せず、加えて短期成果が企業の長期成長を保証するものではないことを考えると、内部における人材育成が不可欠になった。
 そして第三の背景に、多様性への対応が挙げられる。環境変化のスピードが速まり、業務の複雑性が増す中で、企業が求める能力・スキルは短期間で変わり、一方では労働者の価値観も多様化してきている。そこで、社員一人ひとりの関心や価値観に個別に対応できる、多様性を活かす方法を模索せざるを得なくなってきた。
 以上、労働人口の減少、人材流動化の高まり、働く者の価値観の多様化という、内外環境の変化に対応し、企業の長期的成長を実現していくためには、戦略的な人材の確保・育成と活用(成果を含む)、さらに優秀人材のリテンション(引き留め)をはかるタレント・マネジメントが求められているのである。

 タレント・マネジメントの基本サイクルとその目的
 では、タレント・マネジメントの具体的な取り組み(基本サイクル)から、その目的についてみてみよう。
 タレント・マネジメントは、)椰佑らの上司支援の申告とすり合わせ(パフォーマンス・マネジメントツール)、評価結果および今後の開発課題の確認(タレント・レビュー)、新しい目標や仕事・課題の提示とその実施、ど要な能力・スキル開発プログラムクの作成と機会の提供、の四つのプロセスから構成されている。
 ,離僖侫ーマンス・マネジメントツールには、業績、本人の強み、開発の必要がある弱み、キャリア志向(キャリアゴール)、キャリア形成のための一年間の成長目標、等を本人が記入し、上司との面接で内容を精査し、互いの合意形成を行うことになる。
 △離織譽鵐函Ε譽咼紂爾蓮⊃場管理者(一次考課者)とその上司(二次考課者)および人事担当者によって、職場管理者の全部下についての話し合いが持たれる。その内容は、本人から提出されたパフォーマンス・マネジメントツールの内容確認、評価結果の決定、次の目標・仕事・課題の確定、必要な能力・スキル開発プログラムの作成、等である。異動を決める場合には、その後任を誰にするか、ということもこの場で決められる。
 は、タレント・レビューを受けて、新しい目標・仕事・課題を本人に提示し、それを実施する期間となる。
 い任蓮▲織譽鵐函Ε譽咼紂爾侶覯未ら、部下一人ひとりに対して必要な能力やスキル開発のプランニングが行われ、そのプランにしたがって、各個人は研修プログラムに参加したり、スキル向上の場の提供が行われる。
 この基本サイクルによって、部下がより良いパフォーマンスを行うには何が必要なのか、上司は個別に考えてそれを提供していく。その際、個々が持つ特性はそれぞれに異なることから、その人の強みを活かすことを前提にして考え、やる気を引き出していくことがポイントになる。小事務所の考課者訓練でも、評価した結果から今後の育成計画を作成し(OJTコース)、それを基にフィードバック(F・Bコース)を行うためのプログラムを実施しているが、個別育成計画書の作成は参加者が最も苦労する場面である。
 タレント・マネジメントでは「一人ひとりは、皆違う」ということを大前提に、ハイ・パフォーマーにはハイ・パフォーマーに必要な、ロウ・パフォーマーにはロウ・パフォーマーに適した内容でチャレンジを与えていくことになる。そうすることで、年功序列は完全に意味を失ってくる。そして、最も重要なタレント・レビューでは部下にチャレンジさせるだけでなく、「どうやったら上手く目標達成ができるのか」上司と人事は様々なサポートや機会を提供することになる。
 以上から、タレント・マネジメントとは、一人ひとりの個人の能力をできるだけ早く開花させ、より高い組織目標を達成するために、上司と本人と人事による成長促進のプロセスといえる。

 日本企業のタレント・マネジメントへの取り組みポイント
 日本の企業はバブル崩壊後、グローバル競争、イノベーション、人件費の変動化、等のいろんな経験をしてきた。その結果、現在起きていることは圧倒的な人材不足である。さまざまな経営課題に対して、本当に必要な人材が供給できているかどうかが問われている。例えば、企業は「イノベーションとか、新規事業だ」といっているが、それを担う人材がいるかといえば、現場も人事も経営者も口を揃えて「いない、人材不足だ」という。これは、これまでの人材マネジメントが失敗だったことを現している。日本の企業が人員削減や人件費の変動化に取り組んでいる間、海外の企業は必要な人材をどうやって供給するか、本気になって取り組んできた。それ結果、辿り着いたのがタレント・マネジメントである。
 人件費の削減や変動費化も大切ではあるが、企業にとってもっと重要なのは「隠れた人材コスト」である。人を充分に使いきれていないことによるコストのことである。その主な要因は「不活性人材」と「不適切配置人材」である。若い優秀な人材を充分に活用せずに、昔貢献した年配者に重要なポストを与えていないだろうか。もしそうであれば、若い優秀な人材はモチベーションが上がらない。キャリアにも不安を覚え、働きがいを喪失して、退職に結びついてしまう。これからの時代、そうした状態を放置して企業はやっていけるだろうか。
 タレント・マネジメントは、戦略を実現するための人材の極限活用であり、隠れた人材コストを減らし、企業にとって必要な人材の能力を開花させることである。今、日本の企業に求められているのは、一人当たりの付加価値を向上することであり、そのためには企業の人事が変わらなければならない。社内で人材について考えるべきなのは、ほかならぬ人事だからである。
 では、日本の企業がタレント・マネジメントを行うには、具体的にどうすればいいか。そこには五つのポイントがある。
 その一つは、人材マネジメントにおける区分である。優秀人材・普通人材・劣る人材に区分し、それぞれに応じてマネジメントを行うことである。放って置いたのでは人材は育たない。優秀な人材だけでなく、それぞれに適した育成が必要である。
 その二は、適材適所を徹底することである。年功序列に配慮して、ポジションを決めていないだろうか。徹底した見直しが必要である。
 その三は、人材への投資である。最近の日本企業は自己責任を理由に、人材への投資が少なくなっている。人材への投資をしないことは、それだけで隠れた人材コストを高めていることになる。
 その四は、リーダーシップの育成である。リーダーは戦略を推進して、実現させる力を持っている。その根幹はリーダーシップである。
 その五は、職場の活性化である。優秀な人材だけでなく、普通の人材をいかに活性化させるかは重要である。それも無理やりやらせるのではなく、普通に頑張れる環境をいかにつくるかである。
 海外企業のタレント・マネジメントは、優秀な人材の引き留め策(リテンション・マネジメント)といわれているが、比較的に流動性の低い日本企業では、今いる社内の人材を活性化させることを重視すべきである。本来タレント・マネジメントの主体は現場のリーダーであるが、これまでリーダーに求めていなかったし、教育・指導もしていない。人事がその役割を担い、本気で取り組む必要がある。小事務所は、これから人事を変えていきたいと願う企業の強力なサポーターでありたいと考えている。


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