社員分類制度設計/人事考課制度設計/賃金制度設計/その他人事諸制度設計/研修・講演講師
成果主義を実現する人事考課
成果主義を実現する人事考課 成果主義を実現する人事考課/お問合せ
  MCO マネジメント・コンサルタント・オフィス  
TOPコンサルティング各種研修考課者研修企画見積書公開活動コラムリンク集サイトマップ
MCOサイト内を検索
■日本型ダイバーシティの現状と課題と今後の流れ・・・リバース・メンタリング
       
2014年4月25日    若葉マークの新入社員を職場に迎える4月。今年の新入社員のタイプを表すネーミングは「自動ブレーキ型」と日本生産性本部(「職業のあり方研究会」)が発表している。その特徴は『知識豊富で敏感。就職活動も手堅く進め、そこそこの内定を得ると、壁にぶつかる前に活動を終了。何事も安全運転の傾向がある。人を傷つけない安心感はあるが、どこか馬力不足との声も。どんな環境でも自在に運転できるようになるには、高感度センサーを活用した開発(指導、育成)が必要。』なのだそうだ。また日本生産性本部は、今年の「自動ブレーキ型」新入社員について『新入社員の皆さんには、背伸びをせずに、ローリスク・ローリターンの安全運転もいいが、リスクを恐れずに、前向きに挑戦する失敗から学ぶ経験もしてほしい』などと助言している。(『 』内は発表内容から引用)
 しかし、ともすれば単一的になりがちな新入社員教育。あまり一つの枠を押し付けると、個人の持ち味や個性が失われてしまうだけに注意が必要である。そう、最近注目されているキーワードは「ダイバーシティ経営」である。本来、ダイバーシティとは、個人の持つあらゆる属性(年齢、国籍、民族、性別、雇用形態等)の違いを指しているが、わが国ではジェンダー(社会的・文化的な性のありようの違い)の違い、つまり女性活用の促進に関する取り組みが大部分を占めている。
 2012年から経済産業省は、「ダイバーシティ経営で企業価値向上を果たした企業を表彰」する、「ダイバーシティ経営企業100選」を選定しているが、これは一時期の成果主義のように一過性の流行で終わるのか、それともグローバル経営を進めていく上での経営課題なのか、日本企業の現状の取り組み内容と課題について考えてみたい。

 女性就労支援と機会均等の日本型ダイバーシティ
 今日、多くの企業がダイバーシティへの取り組みを開始しているが、その多くが女性の就労支援(ワーク・ライフ・バランス)と採用・管理者登用などの機会均等の両方を狙ったものに大別される。先の経済産業省の100選に選ばれた企業の具体的な施策でも、女性のライフイベント(結婚、出産、育児、介護)に合わせた各種制度の導入などワーク・ライフ・バランスに関するものと、男女機会均等(特に女性の管理職登用)に関するものが多いように思われる。
 わが国の企業における女性管理職の少なさが指摘されて久しいが、管理職に占める女性の比率は2011年で7.3%に過ぎず、国際的にも日本は女性の登用が進まない国と見られている。過去には国連女子差別撤廃委員会から雇用分野における女性の参画促進のための特別措置の促進が勧告されている。このこともあって、政府は女性管理職の数値目標(2015年までに女性管理職の割合を10%以上とする)を設定し、2010年末に閣議決定されている。このような背景もあって、女性管理職人数の向上を目標に掲げる企業が増えてきているが、問題は女性社員の絶対数を増加させること(量の確保)、それと同時に管理者にふさわしい人材の比率を高める(質の確保)ことが必要となる。だが、この質と量のバランスをとることは容易ではない。
 そもそも日本の企業は女性を管理者候補として育成してこなかった。その結果、社内にロールモデル(リーダーシップ開発手法の用語:学びたい人を選定→その行動特性を表現する→行動を真似して、実践的に体得して、理解する)となる優秀な女性リーダーが少ない。それでもダイバーシティのブームに乗って女性管理職を増やそうとすると(女性を逆差別的に管理職に登用)、プレーヤーとして優秀者の中から管理者を登用することになる。準備がないままに数合わせのために登用された女性リーダーは、周囲からの期待や不安というプレシャーにより、ますます達成指向が強化される傾向がある。「失敗は許されない」「部下に負けられない」「自分でやったほうが早い」と部下に任せず自らプレーヤーとして動き、仕事を抱え込んで余裕がなくなる。周囲とは仕事以外の会話が少なくなり、指示をする場合は短時間で済ませるために一方通行のコミュニケーションが多くなる。その結果、対人理解力やチームワークが低くなる―といったパターンに陥りやすくなる。
 こうした状況を回避するには、女性若手社員にも男性と同様に幅広い職務経験を積ませ、早期のリーダーシップやキャリア開発に取り組む必要がある。また、女性だけの問題としてとらえず、周囲の男性も巻き込んだ活動を展開することである。いずれにしてもダイバーシティに関しては、女性だけを対象にするのではなく、人材開発、評価制度、登用制度などをトータルな人材マネジメントの仕組みに変えていくことが成功の秘訣である。

 ダイバーシティの罠
 今月1日は、全国の会社で一斉に入社式が開かれ、新入社員に向けた各社社長のメッセージが新聞で紹介されている。いつの時代も厳しい環境におかれた企業を支えるのは、自ら考え、行動し、その結果として成果を出せる人材であるということは、もはや異論のないところであろう。企業の新入社員の採用と育成活動は、年々その形や内容を変えているが、"大卒新入社員の3割が3年以内に退職する"という問題は改善されつつあるのだろうか。
 終身雇用が崩壊したといわれる昨今、若者の多くは長く一つ所に留まることへの価値を見出さなくなってきている。一方、社員に冷たくなったといわれる企業は、これまで以上に主体性や自律性を社員に求め、それが採用の合否を分ける1つのポイントにしている。ただ、仕事に主体的に取り組み、自律して行動する人材は、仕事以外の趣味等にも当然積極的で、若者も例外ではない。企業には、望む人材を獲得した分だけ、個人の主体性や自律性を活かす土壌が求められ、3年で辞めようなどと思わせないだけの環境の整備が求められる。
 労働市場が発達し、ただでさえ優秀な人材が流出しやすくなった昨今だからこそ、その引き留めを図るダイバーシティ、つまり「社員のあり方の多様性」にも目を向けていかなければならない。主体性や自律性の発揮は、自己決定感(自分の行動は自分で決める)や自己有能感(自分が役に立っていることの認識)に結びつき、動機づけの多様性を促進することになるからだ。
 ところでダイバーシティは「多様性」と訳されることが多いことから、女性や若手、外国人を採用・登用することがダイバーシティ・マネジメントだと考えている人が意外に多い。しかし、それによって社内が活性化するとか、新入社員が活き活き働くようになるとか、そういうことがダイバーシティ・マネジメントの目的ではない。ダイバーシティの本来の目的は、「環境変化の激しい時代に、一人ひとりの多様性を活かして、創造性やモチベーションを高め、多面的な考え方や意見を取り込みながら、市場に柔軟に適応できる組織に改革していく」ことにある。したがって、現在多くの企業で取り組んでいるCSR(企業の社会的責任)―男女雇用機会均等法等の法令を順守して多様な人材を採用し、昇進させていくという取り組み―とは、全く違う概念である。異なる属性であっても"やる気もなければ、責任を果たす意識もない"という資質や採用要件に欠ける人まで、ダイバーシティの対象にはならないのである。
 ダイバーシティについてはポジティブな情報が多いが、異質な人材は職場での摩擦を引き起こしやすく、多様性に富んだ組織であればあるほど、亀裂や混乱を生み出しやすい―というデメリットを忘れてはならない。経営理念やビジョンの浸透を図り、拡散しがちなメンバーの個性や価値観を束ねる自社固有の企業文化や行動スタイルの徹底が大前提である。

 ダイバーシティのポジティブ・アクション―リバース・メンタリング
 今日、多くの日本企業が直面している経営課題は、"グローバル化"と"イノベーション"の2つであり、このどちらもが"ダイバーシティ"を要求している。グローバル化を進める上では、現地の実情や文化に精通した人材が不可欠であるし、またイノベーションを実現していく上でも、従来の同質的人材による画一的なものの見方や考え方ではなく、多様な感性や価値観を取り入れ、新しい発想を生み出していかなければならないからである。
 だが、日本の企業では「ダイバーシティ=女性の活用促進」というイメージが強いためか、外国人の活用促進は「グローバル人事」と呼ばれることが多い。本来、性別や国籍は属性の違いであるから、同じダイバーシティ・マネジメントの取り組みでなければならないはずである。これは、多くの日本企業が「正社員の日本人男性」という極めて同質の人材を中心に組織運営を行っている証しであり、それが逆に組織内に断絶を発生させている―という認識の乏しさをも表している。その他にも、これまで認識されなかった断絶が、さまざまなところで発生している。たとえば、世代間断絶。バブルを経験しているメイドイン・ジャパンの華々しいブランド力の記憶をもつ世代と、入社してから自社のブランド力を実感したことのない世代との断絶は大きく、話が通じていない。当然、両者のライフスタイルも仕事観も全く異なる。
 こうした属性の違いによる組織内断絶に有効な概念が「リバース・メンタリング」である。これは若い世代がベテラン世代に学ぶのではなく、上の世代が若い世代に学ぶ、あるいは上司が部下から学ぶという逆方向の学習方法であり、ジャック・ウェルチ氏(元G.EのCEO)が提唱し、2013年ASTD(米国人材育成機構)国際大会において、シーリー・ブラウン氏(デトロイト最先端研究センター副代表)が基調講演を行っている。
 この学習方法は、めまぐるしく変化するビジネス現場からの貴重なフィードバックの機会でもあり、世界市場のスピードとトレンドに対応できる若い世代ならの感度を、リーダーが組織として活かしていこうとする取り組みである。それと同時に、「若い部下の気持ちを理解」したり、「仕事と子育てを両立させる部下の悩み」など、多様な状況下にある部下を理解し、適切かつ柔軟な対応策をとるために活用される。
 これからの時代、経営トップやリーダーのイマジネーションが問われる。かなり明確な自社像(職場像)をイメージできなければ、"企業の変身" を推進できない。もちろん、それができないトップや管理職であれば、存在そのものが企業変身を阻害する最大の要因になることは言うまでもない。

 <このテーマに関連する過去のコラム>
 2011年8月  多様性を競争力にする・・・ダイバーシティ・マネジメント
 2013年12月  新時代のモチベーションのあり方


ページトップへ
MCO 有限会社マネジメント・コンサルタント・オフィス
〒232-0036 横浜市南区山谷72-1-710 Tel:045-334-7680(代表) Fax:045-334-7681