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■努力すれば賃金が上がり、やる気が出る成果主義の仕組みづくり
       
2014年3月26日     「デフレ脱却」を目指す政府が経済界に強く迫った「官製春闘」がヤマ場を迎えた。連合によると、集中回答日となった12日に集計した43労組のベアの平均月額は1,950円と、01年以降で最高額となるそうだ。経済の好循環を生み出すためには、賃金が上がり消費が活発化することが欠かせないが、一部の大手企業とはいえ賃上げに踏み切る経営判断を下したことは歓迎すべきであろう。ただ、地方や中小企業、非正規労働者の待遇改善にどこまで波及するかは不透明だし、本業で業績が回復しなければ今回の昇給分は賞与時に相殺され、増税や物価上昇という負担だけが増すことになる。とはいえ、現行の成果主義の下で働いてきた「中間層」にとっては、今回のベースアップは、これまでの苦労やマイナス面(昇給がない、賃金の格差が広がったなど)に対しての"夢(賃金上昇の期待)"を生んでくれるのではないか―と期待する大きな要因ともなる。
 バブル崩壊後の企業は、社員の賃金を上げることに力を注ぐのではなく、賃金を下げること、収入に格差をつけることに尽力してきた。現行の成果主義の賃金は、賃金を上げて社員のやる気をモチベートすることとは全くかけ離れたシステムであったといえる。しかし、企業の業績も良くなり、ベアの実施ができたところで、そろそろ賃金が上がる仕組みに変えていくべきである。
 それは、社員が企業の求めるキャリア形成を通じて、自分の価値を高め、自己の処遇を向上させるというタイプの仕組みである。つまり、企業がやるべきことは、戦略の実行と実現に不可欠なキャリア形成を通じて、社員の処遇を上げていける仕組みを作ることである。

 成果主義が職場に及ぼしたマイナス影響
 バブル崩壊から現在まで、企業は成果に基づく評価制度を導入し、仕事や人材に関して"柔軟性(フレキシブル化)"を高めることに専念してきた。非正規雇用、中途採用・即戦力人材の活用も盛んになったが、日本の職場ははっきりと変わってきた。確かに、企業の業績は向上し、人事管理も効率化されてきたが、逆に「働く人は元気を失い」「現場力の低下」が指摘され、今後も現状のままで企業が競争力を高めていけるかどうかは疑問である。
 企業は人件費の削減と変動化を主題とする成果主義を進めてきた(経営の視点)が、そのウラで何が起こっていたのか(人の視点)を、人事は真剣に考えなくてはいけない時代になってきた。人事はもっと人の視点からの「働きがい」について、本格的に取り組むべきである。そういう意味では、人事も原点回帰(人が利益の源泉)の時期に来たのではないだろうか。では成果主義の導入によって、職場にはどのようなことが起こっているのか。それは、概ね三点指摘できる。
 その第一が「人材育成の劣化」である。人材育成というと研修やセミナーなどが頭に浮ぶが、実際はそのほとんどが職場で行われている。上司が部下に、先輩社員が後輩社員に対してといった日常の作業を通じて(OJT)育成が行われてきた。それが、組織のフラット化によって劣化してきたのである。また、教育費削減による傾斜配分という要因もある。早期選抜者には優先的に教育費をかけても、それ以外の人には教育投資が減っている。
 第二は「職場機能の衰退」である。従来の職場には「育成」「協働」「癒し」といった、共同体を維持するための基盤機能があった。それが成果主義によって、「選別」「競争」「ストレス」といった機能に置き換わっている。プレィング・マネージャーである職場リーダーは自分の仕事に忙しく、部下の気持ちや職場の人間関係に目が届かなくなっている。
 そして第三が「働きがいの低下」である。これまで職場機能が果たしてきた、仕事を共有する喜び、成長できる喜びといったものを社員は感じられなくなっている。この働きがいの喪失こそが、もっとも大きな問題である。
 そもそも人事管理の命題は、働く人の視点に立って(働きがいのある職場づくり)、経営に寄与する人材を確保する(経営目標の達成)ことである。この働く人の視点(自己充足と自己主張)と経営の視点(生産性向上を推進する人材活用)の二つのバランスをとっていくのが人事の役割であり、今後は人の視点へのテコ入れが必要になってきている。

 人事管理の基本と短期成果主義の課題
 そのためには、まず「人事管理」とはどのようなものなのかを理解しなければならない。意外とその基本的な部分が曖昧な中で、成果主義の議論が展開されているような気がする。 そもそも業績管理と人事管理は組織構造上別物であるし、人事考課と賃金管理も別の機能である。多くの企業では、年功制度と職能制度と業績・成果制度の併存型の体系を取っている。経営環境の変化に柔軟に対応できる「活力のある」組織を目指すには、この「人事管理の基本」をもう一度復習する必要がある。
 人事管理とは、「原料を受入れ、製品に転換し、市場に提供する」という経営活動が効率的に行われるよう、またそれが少ない費用で効果的に行えるように、人的資本を管理することである。そのための人事管理には、効率・効果的な人の調達と活用と最適化により組織・部門の「現状の生産性の向上をはかる」短期的目標と、変化の激しい市場の中で企業が成長し存続するための変化への対応力、つまり「有能な人材」を内部に蓄積しておくという長期的目標の二つの目標がある。ここでの「有能な人材」とは、業務に関連する高度な知識とスキルをもつ人材であって、労働意欲・会社貢献意欲が高い人材である。
 この短期と長期の二つの目標を達成するために人事管理には、仝柩儡浜(人材を確保し、配置する)、⊇業管理(人材が能力を発揮できるよう就業環境を整備する)、人事考課の管理(社員の働きぶりを見て、配置が適切であるかを評価して次の配置に反映する)」、ぁ崢其盍浜(社員の働きぶりに対する賃金を決め、労働意欲の維持・向上をはかる)」という四つの機能がある。
 人事管理を正常に機能させるには会社都合だけではうまくいかない。「会社の期待する目標」を実現するように社員に意欲を持って働いてもらわなければならないからである。そのためには、社員が「働くことに何を求めているのか」「どのような働き方をしたいと思っているのか」という働く側のニーズに応える人事管理を展開していく必要がある(これまでは会社都合の管理でも良かったが・・・)。また、人事管理は常に労働市場から強い影響を受けている。短期的には採用にも影響を与えるし、労使交渉もしかりである。長期的には女性の活用やモチベーション(やる気)も外部労働市場からの影響を受けている。
 近年の業績・成果主義の人事管理とは、業績目標を設定し、それによって部門や個人の成果を評価することを通して、効率的・効果的な人事運営をはかるための管理活動である。 この業績・成果主義人事の具体的な形態は、どのような種類の業績目標をどの程度明確に提示するのか、それに基づいて、どのように、どの程度公正に成果が評価されるのかによって規定されてくる。したがって、業績目標が細部にわたってより明確に設定され、それに基づいて良い業績と悪い業績が明確にわかるように公正な評価がされれば人事管理は強化されることになる。
 しかし、人事考課と賃金管理を改革しただけの業績・成果主義(短期的成果主義)では、人事管理の短期と長期の目標を同時に達成することはできないし、問題も残る。なぜなら人事機能のプロセスでは、はじめに人材の育成(確保)があり、そして能力と意欲が向上した人材を適性(適正)に配置し、そこで実際に職務を遂行させることになる。その後、業績・成果の評価を行い、処遇に結びつけることになる。この一連の流れが継続的に業績・成果を社員が生み出していくための基本な人事プロセスである。
 日本の成果主義は後半の部分、つまり人事考課と賃金管理の部分だけを結びつける仕組みの変化である。この結びつけを明確にし、賃金処遇の格差を大きくするだけでは社員の納得性が得られないのは当然である。したがって、前半の部分である雇用管理や就業管理にもメスを入れ、"人事プロセスのサイクル(育成→配置→評価→処遇)"がしっかり回るようにして、社員のキャリア形成による自己実現(夢)やモチベーションの確保につなげていくことが重要なのである。

 働きがいと職場を元気にする人事プロセスのサイクルを回復する
 多くの企業が導入してきた"短期的成果主義(成果の評価とそれを処遇に結びつける仕組み)"は、短期的には必ず賃金の上がらない層(勝ち組と負け組)を作ってしまう。しかし、人事プロセスのサイクルが上手く回れば、社員は自己のキャリアを通じて自分の人材価値を上げ、会社が期待する成果を出して、賃金や賞与があがる期待が持てる。負け組みが勝ち組に移る可能性が見えてくるのである。そのためにも育成と配置に何らかの改革を加えていかなければならない。ではそのために人事は何をすべきか。
 その一つは、社員が"働きがい"を感じられる環境を作ることである。そこで、成果につながる"人事プロセスのサイクル"を回す上で、極めて重要になってくるのが「仕事の配置(割当て)」を工夫することである。最近は「ダイバーシティ」という言葉をよく耳にするが、人の働きがいに対する多様性も増加している。働きがいを生み出す源泉として「成長」「達成」「安心」「公正」などのキーワードがあげられるが、今後は雇用形態の多様化によって、ますます働きがいや意欲の源泉も多様化してくる。それだけに、集団管理から個別管理(仕事の割当→公正な評価→人材育成へのフィードバック)へとシフトしていくことが必要になってくる。
 もう一つが、個人に加えて"職場力の再生"が急務となっている。人と人とのつながりを作るコミュニティ(共同体)としての職場再生である。これまでの効率経営を重視した人員の削減と環境変化に対応するための業務量の増加によって、職場リーダーのプレイとマネジメントのバランスが崩れ、部下のフォーローが十分にできていない。部下については、早急なケアが必要である。具体的には、職場の目標や方針を明確にすることであり、それはどの業務に人的資源を集中すべきかを促すと同時に、部下のやる気をどう引き出していくかの問題でもある。職場の目標や方針は、メンバーの行動判断の基準となるので、自己フィードバックが働き、モチベーションへとつながる。また、人的資源の集中がないモチベーションは、単なるガンバリズムであって、さらにモチベーションのない人的資源の集中は単に絵に描いた餅に過ぎない。
 以上から考えると、企業人事が今後一番注力すべきなのは、「人を強くして、組織を強くすること」なのである。個人に軸足を置きながら、個を強くし、職場を強くして、組織を強くする。これこそが人事の根源的な役割といえるのではないだろうか。

(P.S.)
 今月からホームページに「戦略を実行し実現する―成果主義人事制度Q&A」を掲載しています。成果主義については、その弊害や是非論がずっと論じられていますが、未だにはっきりとしていません。MCOが考える成果主義について、Q&Aで解り易く紹介しています。興味のある方は、是非訪問して下さい。


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