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■多様な社員のインセンティブと動機づけ・・・戦略的人材管理
       
2014年1月26日    2014年が明けた。2013年度も引き続き労働市場の環境は厳しく、世界的にも失業率があまり改善されずよい年ではなかった。我が国も例外ではなく、ワーキングプアや非正規雇用の増加、ブラック企業、ロック解雇や追い出し部屋などに話題が集中した。就任後初来日したILO(国際労働機関)のガイ・ライダー事務局長は「成長戦略という煙幕の後ろに雇用不安と仕事の質の劣化という真の危険が潜んでいる」とアベノミクスに警告を発している。
 今年4月には、消費増税の実施が控えている。消費増税については安倍首相自らが、財界に対して過剰介入ともいえる賃上げ要請を行っているが、そもそも賃金は企業活動の結果であって、所与の条件ではない。政府が期待する景気回復、すなわち雇用・所得を増やし、個人消費を回復させ、企業の設備投資を誘発して自律的な景気回復を実現していくには、なにより企業の付加価値創出力を強化していくほかにない。それには、グローバル化した現地・現場の実情に合わせて自律的に判断し行動できる人材をいかに確保し、育成し、働かせ、処遇するかという課題が提起されることになる。
 そこで、企業の付加価値創出力を強化していくための人材マネジメントの最近の動向について整理し、今後の日本企業の課題について考えてみたい 。

 伝統的な人事管理から人的資源管理へ
 国際社会のボーダレス化が進行するなか、先進国の人事・人材マネジメントは人をコストと考える伝統的な人事労務管理(Personnel Management)から、人を重要な資源と捉える人的資源管理(Human Resources Management)へ、さらには持続的な競争優位の源泉とみなす戦略的人材管理(Strategic Human Resource Management)へと変化してきている。
 では、従来人事労務管理といわれていたものが、なぜ人的資源と呼ばれるようになったのか。その根拠を整理すると、市場がグローバル化し企業が多国籍化していること、生産が多品種少量化していること、規模の経済に変わりスピードの経済性が協調されるようになったこと、それにともなって企業の組織構造もピラミッド型からフラット型に転換してきていること、これらは高度成長期とは異なった経営の仕組みを企業に求め、新しい仕組みに基づく人事労務を必要とするようになったからである。つまり、
 ―祥茲離屮襦璽ラーだけでなく、ホワイトカラーの生産性が企業の業績を大きく左右するようになり、ホワイトカラーの意思や感情を企業に惹きつけていくための新しいマネジメントが必要になった(人を消耗品としてではなく、開発すべき貴重な資源と捉える)。
 企業が多国籍化し、雇用形態も多様化して、社員の価値観も多様化(動機づけのための誘因)することから、人を単に技術的な能力だけでなく「創造力や責任ある行動、自己規制的で自己管理ができる能力」が重視されるようになった(社員の満足が業績を向上するのではなく、組織への貢献や業績の向上が、労働意欲の向上と満足をもたらす)。
 6般海寮賁膕修進行し、管理の力点が集団管理から個別管理に比重が移行した(人材の開発は各人で多様であるから、企業や職場との関係も各人で多様となる)。
 じ従貂邏箸蘯分で情報を収集し、それを駆使して自分で判断することが求められるようになってきた(社員を単に参加させ情報を共有するだけでなく、組織の意思決定や組織効率を改善させ、具体的な成果をあげさせる必要が生じてきた)。
 IT技術の登場は、これまで作業員の反復作業だった生産ラインを自動化し、内外の状況に合わせてフレキシブルに働かせるようになってきている。限られた仕事を定められた手順や上司の指示を待って働くのではなく、組織や職場の目的に対する「責任と権限(=役割)」を果たすことが期待されている。また、生産と販売が国境を越えて地球的規模で展開されるグローバル化の状況下では、可能な限り効率的な企業経営が要請される。つまり、賃金の高い国はそれを相殺できる付加価値の高い企業経営が求められるし、逆の場合は低賃金の優位性を武器とした企業経営が追求される。それには、雇用の多様化(非正規社員の拡大)の推進と正規社員の仕事のフレキシブル化を可能にする教育訓練が求められる。人的資源管理はこうした課題に応えるために生まれてきたのである。

 人的資源管理から戦略的人材管理へ
 国際的な分業体制が進み、企業の競争環境がますます複雑になると、単にコストダウンや戦略だけで差別化を図ることが難しくなり、人材が提供する(人的)資源の質や量が、企業の競争力や業績を左右することになる。その意味で、社員が差別化に必要なモチベーション(やる気)や能力などの人的資源を効果的に提供してくれる企業は、競争力のある企業だといえる。だが、経営的視点からだけの評価・処遇(主として賃金)や非正規社員の拡大といった人的資源管理では限界が生じてきた。
 単純なことだが、人材という資源の提供者は企業から自律した存在であり、どれだけ企業に資源を提供するかは個人の意思にかかっている。人視点を軽視し、経営視点からだけで仕組みを作り、それを運用しても人材から必要な資源を得ることはできないのである。従って、人材から資源を提供してもらうには、単に雇用を維持し、賃金を払うだけでなく、「働きがい」や「人材としての価値を向上する機会(キャリア形成)」を提供することが必要になる。人間として尊重され、人生を楽しむ―といったことに考慮して、はじめて人は経営のパートナーとしての人材となり、競争力のある強い企業となるのである。
 では、戦略的人材管理(Strategic Human Resource Management)を構築するときにどのような要因について考慮すればよいのだろうか。ここでは、「戦略」「外部環境」「社員の特性」の三つについて考えてみる。
 第一の「戦略」とは、事業のあるべき姿や目標であり、そこに到達するまでの道程である。一般的に戦略とは、「どのような顧客に対して(市場の決定)」「そのような商品やサービスを(提供価値の決定)」「どのような仕組みで(ビジネスモデルの決定)」の三つの要素を含む。そして、事業戦略を達成するためには「どのような人材が必要なのか」が明らかになる。戦略的人材管理の基本的な考え方は、企業の戦略やビジネスモデルに必要な人材を獲得し育成することからスタートする。
 第二の「外部環境」とは、主として法律と労働市場である。労働を取巻く法律には、労働三法をはじめ判例を積み上げた法理など、さまざまな法律の枠組みがある。法律は人事施策を制限するという重要な機能を担っているだけでなく、ブラック企業とみなされ人材確保に支障をきたすことがないよう配慮が不可欠である。外部環境のもう一つが労働市場である。労働力減少時代に入り、すでに職場の多様化が進んでいる。ダイバシティーマネジメントなど、これまで活用してこなかった人材グループを戦力化していく必要がある。
 第三の「社員の特性」とは、企業にとって必要な人材の能力・スキル(レベルが大切)とモチベーションの二つが重要となる。能力・スキルについては日常のOJTでは得られない、戦略とリンクしたキャリア・プログラム(タレントマネジメント)が必要である。また能力・スキルと関連して、社員の意識や価値観に基づくモチベーションがある。雇用の多様化に伴って動機づけの誘因も一様ではない。どんなインセンティブの提供が有効なのか、トータルリワードの問題でもある。さらに、採用した人材をどう惹き留めるかという「リテンション戦略」が重要になっている。

 人材の尊重が今後の課題
 経営的視点からだけの人的資源管理(短期的な成果主義など)は、個人と組織の関係に大きな変化をもたらした。特に、長期雇用や年功制度によってもたらされた組織への帰属意識や愛社精神は急速に薄れ(ケネクサ社調査)、今後は個人の持つ能力やキャリアを最も高く買ってくれる企業に人材が集中することが予想される。そうした中、企業の業績に重大な影響を及ぼす「社員エンゲージメント(組織への愛着心=貢献意欲)」に対する関心が高まっている。社員のエンゲージメントは、企業や職場の成功の唯一の要因ではないが、社員のエンゲージメントを高め、維持することが企業の業績にプラスの影響を及ぼすことは明白である。
 したがって、雇用モデルも事業戦略に合わせて、自社に合った人材戦略を立て、仕組みを構築していかないとならない時代に突入している。自社の戦略やビジネスモデルに最も適合した人材を確保し、有効活用していくことが競争優位の源泉となる時代なのである。これが「戦略的人材管理(SHRM)」である。
 さてそこで、企業の取り組むべき今後の課題についても触れてみよう。ここでの課題は「人材育成(キャリア支援)」と「総合的報酬(トータルリワード)」の二点である。
 第一の「人材育成」には、現状の技能習得を目的とした短期的育成(O.J.T)と企業の長期的競争力を支える長期的育成(キャリア形成)の二つがある。これまで日本の企業では、O.J.Tを通じた現状スキルの獲得が重要な役割を果たしてきたが、これからは戦略転換やビジネス環境の変化などによって、これまでとは異なる新しいスキルが必要になってくる。今後の人材育成に求められるのは、従来からの技術を伝承するための仕組みだけでなく、個人の能力を高め、新たな知識を学び、知的付加価値創造に貢献する人材を支援するキャリア形成の環境整備である。O.J.Tによる活性化だけでなく、連続したスキルを獲得するための環境の整備(タレント・マネジメント)が大きな課題となる。
 第二の「総合的報酬」については、すでに働き方が多様化し、労働市場は流動化し、企業も雇用の多様化を推し進める中で、これまでのように正規と非正規の処遇(賃金等)の二重構造という方式だけでは「企業が望む人材の確保」が困難になってきている。企業の社員への報酬には、金銭的報酬(賃金や賞与等)のほかに、仕事の面白さや働きやすい環境(虐めや嫌がらせがない)、能力・キャリア開発、福利厚生やワーク・ライフ・バランスなどの非金銭的報酬も含まれる。報酬制度は、社員に対して「会社はどういう人材を確保したいのか」という重要なメッセージでもあることから、各企業は知恵を絞って魅力的な報酬パッケージを構築し提供していくことが求められている。
 これからの人材は、単に労働力や人的資源ではない。企業経営にとって多様な資源を提供してくれる重要な経営パートナーといえる。その意味から今後の人事労務管理は、多様化した各個人の価値観や働き方を理解し、その上で各企業にあった人材戦略や仕組みを構築していかなければならない。


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