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■新時代のモチベーションのあり方
       
2013年12月23日    今年も1週間を残すだけとなったが、今年に話題となった新語・流行語は過去最多の4語同時受賞となった。中でもTBSドラマ「半沢直樹の倍返し!」は、バブル期入社の銀行マンが、理不尽な会社組織や上司に真っ向から立ち向かっていく物語で、勧善懲悪的な主人公の奮闘に溜飲を下げた視聴者も多かったと思う。月曜日の朝の通勤電車内は、半沢直樹に成りきった会社員で、さぞかし仕事へのモチベーション(やる気)もアップしていたことだろう。
 モチベーションといえば、米国の心理学者マズローの「欲求5段階説」やハーズ・バーグの「動機付け・衛生理論」が広く知られているが、組織メンバーのモチベーションをできるだけ高めたいという思いは、管理者や経営者であれば誰しも強く望むことである。たしかに、メンバー一人ひとりのモチベーションを高めることは、人材マネジメント(知的資産経営:Intellectual Assets)の根本課題の一つであり、すでに欧米企業ではさまざまな取り組みが開始されている。
 だが、一時期の成果主義(結果主義)のように、あまり行き過ぎると"操作の罠"に陥り、逆効果になるだけでなく、下手をすると人間を物や機械のように操作しようとして「人権無視」になりかねない危険性をはらんでいる。バブル崩壊以降、日本の企業は日本型経営といわれる愛社精神を支えてきた仕組みをことごとく捨ててきた。その結果、会社への帰属意識は一気に低下し、個人と組織はドライな関係になったといわれている。
 いったん失われた愛社精神は一朝一夕に取り戻せるものではないが、「人はどうしたら動機づけられるのか」新しい時代に求められる動機づけのあり方について考えてみたい。

 動機づけ理論の系譜
 モチベーションという言葉は主に心理学で用いられる専門用語であるが、最近ではスポーツやビジネスでも使われ出し、もはや一般用語となっている。モチベーションは、"動機づけ" "やる気"と訳されるが、「人は何によって動機づけられるか(やる気にさせるものは何か)」を解明しようとする"コンテント理論"と、「人はどうやって動機づけられるか(やる気を喚起させるものは何か)を解明しようとする"プロセス理論"の2つの考え方がある。
 人が行動を起こすのは、その人が何らかの欲求(動因)を満たしたいからであり、この欲求を捉えようとしたのがコンテント理論である。この理論の代表的なものにA・マズローの「欲求段階説」、F・ハーズ・バーグの「二要因理論」、D・マグレガーの「X理論・Y理論」がある。これらの三つの理論はモチベーション理論としては古典派に位置づけられているが、モチベーションを考える上での基本的枠組みを明らかにした点で大きな功績があり、今なお世界中で引用され、その後のモチベーション理論の形成に大きな影響を与えている。
 その後、モチベーション理論は、C・マクレランドの「欲求理論(人の行動は達成動機、権力動機、親和動機、回避動機のいずれかの欲求に引きずられる)」、ロックの「目標設定理論(目標設定の違い:困難・明瞭な目標設定とフィードバックがモチベーションの違いをもたらす)」、V・ブルームの「期待理論(魅力的な目標・成果を提示すれば、遂行力は上がり、業績はアップする)などの外発的動機づけ(義務、賞罰、強制などによる動機づけ)に推移していく。

 モチベーション理論を組織活性化に活かす
 A・マズローやF・ハーズ・バーグの研究成果を基に、最初にモチベーションの仕組みを明らかにしたのがV・ブルームの期待理論(1964年、その後にポーターとローラーにより発展した理論)である。この理論はモチベーションの過程に注目し、 目標結果の誘意性(Valence)× 達成手段の用具性(instrumentality)×達成確率の期待(expectancy)=モチベーションの高さ―とされている(頭文字のイニシャルをとってVIE理論とも呼ばれている)。
 ブルームの期待理論は、「人はなぜ頑張るのか?」「どんなときにヤル気になるのか?」という質問に、ほとんど説明することができ、今日でもしっかりと生きている。,量槁犬鳩覯未陵彊媽を高めるためには、昇進・昇格、昇給や賞与、個人・チームの目標などがあるが、これらは企業側から求める目標であるだけに、できるだけ個人目標と一致させていく必要がある。そのためには、経営理念・ビジョンの浸透、事業計画の周知と進捗状況の公開、職場および個人の役割の理解促進などに加えて、仕事をする意味や働く目的は何か、自己の成長のためには何が必要か、これらを明らかにすることにより、企業の目標が本人にとっても価値あることを理解させていく必要がある。
 また△涼成手段の用具性を高めるには、目標が明確であること、目標の達成手段が明瞭で誤りがないこと、結果が客観的にフィードバックされること、必要に応じて支援が得られることなどがあげられる。これらの具体的な対応策としては、人事考課制度や目標管理制度の整備、キャリア開発ができる仕組みが整っていることなどがあげられる。
 さらにの目標達成の確立を高める方法として、成功体験を積ませて自信を持たせること、競争力のある製品サービスを提供して顧客満足度を高めること、O.J.TやOFF-JTによる人材育成・能力開発が行われていること、などがあげられる。
 このように、それぞれの要因における対応策はいずれも一つではなく、また日々刻々と変化しているし、一人ひとりの個人差も考慮していく必要がある。こうした対応策の巧拙が社員や組織のモチベーションの高低を決めているのである。

 外発的動機づけと内発的動機づけ
 人が仕事を頑張る(ギブ:give)理由の中には、見返り(テイク:take)という側面がある。昇給や賞与などの金銭的な見返りに限らず、昇進・昇格、人からの賞賛や承認、メンバーからの受容やリーダーによる配慮なども、広い意味での報酬(リワード:reward)に含まれる。これらはすべて、他の人から提供される報酬なので外発的報酬という。この外発的報酬を目的にして頑張ることを"外発的動機づけ(外発的モチベーション)"という。
 一方、達成感、成長感、有能感、自己実現など、自己の欲求にもとづく報酬を内発的報酬という。こうした自己の欲求に突き動かされる状態を、内発動機あるいは内発的モチベーションという。人をやる気にさせるには、内発と外発のいずれのアプローチの方法が優れているのか、モチベーションの世界では今日でも長い対立論争が続いている。
 人の習慣や学習効果を高める方法にB・F・スキナーの"オペラント条件づけ(強化理論)"という学習理論がある。これは子供のしつけや飼育動物の訓練などに古くから用いられてきた学習プログラムの一種で、例えば―お母さんの言いつけの(弁別刺激)お手伝いをすると(行動)、お小遣いがもらえる(随伴結果)―ということを繰り返すと、子供の方からお手伝いがないか積極的に働きかけてくるようになる(行動の学習)。この行動(お手伝い)と結果(お小遣い)との関係を"結果の随伴性"という。この結果のタイプには、お小遣いのようにプラスの結果(正の強化)だけでなく、罰というようなマイナスの結果(負の強化)もある。欲しい物を得るために頑張ることもあれば、罰を受けないために頑張ることもある。こうしたオペラント条件づけ、結果の随伴性は子供だけにあてはまるのではなく、会社で頑張る大人の説明、つまり短期の成果主義(結果主義)の説明にも使うことができる。
 しかし、前述の期待理論でも触れたが、人は報酬のためだけに頑張るのだろうか。確かに半沢直樹での大和田常務や伊勢志摩ホテル羽根専務のような人もいる。だが、「人と人とのつながりを大切にし、ロボットみたいな仕事だけはしてはいけない」という言葉を直樹に遺す父親や直樹の友人の渡真利のような人だっているではないか。仕事をする一つの大きな理由は、生活の糧の原資となる報酬を得ることで間違いない(昇給や昇進を無視することはできない)が、それに振り回されることなく、自己調整も可能であることを考えると、どうやら外発的動機づけだけで説明しきれない頑張りもあるようだ。

 動機づけの新たな流れ
 内発動機づけで有名なエドワード・L・デシは、内発的動機づけによる行動を「人が仕事に従事することにより、自己を有能で自己決定的であると感知することのできるような行動である」と定義している。つまり、自分の行動を自分で決めるという「自己決定感」と、その行動の結果、自分が役に立っていることを認識できている「有能感」、そして重要な他者からの受容感の「対人交流」の三つを挙げている。そして、デシは「金銭など外発的な報酬は、内発的動機づけを低下させる」ことを学生のパズル実験によって実証し、その後多くの研究が生まれている。最近では、マネジメントの手法として、「相手をほめよう」「部下の話を聞こう」「質問をしよう」と言った、ハウツーを多く見聞きする。だが、その真意・背景を理解せずに、表面的なハウツーだけを真似ていると、かえって逆効果になることも少なくない。では、人はどうしたら自らを動機づけ、行動しようとするのだろうか。
 最近、話題に上ることが多いのがダニエル・ピンク氏の「モチベーション3.0(大前研一氏訳)」は、デシの理論をさらに発展させたものである。ピンク氏は、モチベーション1.0は「生存や安心に基づく動機づけ」、モチベーション2.0は「信賞必罰に駆り立てられる動機づけ」だと定義し、「内面から湧き出るやる気」に基づくモチベーション3.0こそが、創造性を必要とする知的業務に携わる現代の重要な「やる気」の源泉だと主張している。
 モチベーション3.0を構成する要素は、「自立性」「熟達」「目的」であり、自律の反対は統制であるが、統制は人を従順に導くが、自律は関与(エンゲージメント)に導く。個人が仕事に関与することで、熟達につながる。だから、創造性を必要とする仕事では、自律は組織的な行動、チームプレーにおいてこそ必要になると指摘している。この考え方はマズローの欲求段階説と対比すると、よく理解することができる。先進国では、すでに複雑な仕事が多くなり、モチベーション2.0というOSが機能しなくなっていることを強調しているが、現実的にはブラック企業が社会問題化しているし、非正規社員も増加して、ますます働く上での不安要因は増えている(労働環境の退化か?)。
 指示や命令ではなく、また飴と鞭による賞罰ではなく、社員自らがその仕事の重要性を理解し、自発的に目標を設定し、同僚と協働しながら、成果を築いていくこと。ヒューリスティック型業務(発見的手法業務)が増加するにしたがって、マネジメントにも革新が求められているが、日本企業はどこまで変わることができるだろうか。


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