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■人事考課を職場の人材育成と業績向上につなげる考課者研修(訓練)
       
2013年10月23日    上半期が終了した今月10月は、多くの企業で人事考課が実施される。人事考課は、会社が定めた評価ルールや評価基準に基づいて、考課者(管理者)が部下を評価することをいう。したがって、公正な人事考課を行うためには考課制度を確立し、考課者が制度の仕組みと評価のルールをマスターした時にはじめて、公正な評価結果を得ることができる。
 ある採用系人事情報会社の調査(2012年2月調査)によると、過去5年以内に人事考課制度を改訂した企業の割合は4割で、改訂予定も加えると全体の57%になるそうだ。改訂の中身は給与制度、等級制度に関わるものが多く、明確化と簡素化というキーワードが目立っているようだが、今後は人材育成と業績につながる制度変更という意見もみられたようである。
 一方、考課者の評価能力を向上するための考課者研修については、人事考課制度導入企業の70%弱(労務行政研究所調査)が実施している。しかし、研修内容と方法および継続実施という観点から見ると、相当のバラツキがあるようだ。これまでのコンサルタント活動から感じられる印象では、短時間で評価制度の仕組みを一方通行で説明するか、評価エラーの解説およびケーススタディによる演習にとどまっている企業が多いようである。
 そこで、人事考課を人材の育成や業績向上に結びつけていくための考課者研修はどうあるべきなのか、そのポイントを整理してみたい。

 なぜ考課者研修は定着しないのか
 考課者研修は、管理監督者研修の範疇でいえばアドバンスコースとしての位置づけと役割をもっている。つまり、管理監督者研修で学んだマネジメントについての基礎知識と技法を職場マネジメントにどう結びつけたらよいか、いわば実践・応用コースともいえるのが考課者訓練である。
 時代はすでに年功・能力主義から業績・成果主義へと移行している。社員一人ひとりを見つめ、一人ひとりを強くする業績・成果主義のマネジメントは、なによりも、部下の育成をはかり、成果に結びつけていくことが管理監督署の職責の第一である。
 では、実際にどういう考課者研修を行ったらよいのか、研修の企画と実施とフォローについては、管理監督者研修ほど成熟していないように思われる。なぜだろうか?考課者研修は一応の広がりをしながら、それが評価に必要な知識と技術の習得に終始して、仕事の改善や人材育成の職場マネジメントに結びつかない理由は、一体どこにあるのだろうか。まず、これからの考課者研修の充実と浸透を図るために、幾つかの解決課題を挙げてみたい(考課者研修の企画を立てるときの大切な材料になる)。
研修の場は、各考課者の人間観や価値観がぶつかり合う討論が展開されるので、それをまとめることが難しい。
研修では、考課者(管理者)に自らの管理能力について、謙虚に振り返ることが求められる。それだけに、上位の考課者に対して、人事スタッフないしトレーナーが研修しにくい。
考課者研修の使いやすいテキストや格好なプログラムが見当たらず、研修トレーナーの養成それ自体が困難である。
研修の場で、会社の人事問題に対する質問や不満等が持ち出され、研修が混乱するのではないかという危惧がある。

 考課者研修の特徴はなにか
 「人事考課は人事部門の手伝いをさせられている」と考えている考課者は意外と多い。だが、考課者研修は評価に必要な知識と評価技術を学び、かつそれを職場マネジメントに応用できるように評価能力を向上していくことを研修目的においているはずだ。それにもかかわらず、賃金をはじめとする「処遇に差をつけることが人事考課である」というイメージを持っている人が多いのも確かである。
 先の調査では、考課者研修を「毎年実施」45.5%、「新たに管理職に就任したとき」69.1%(あらかじめ決められた特定の時に実施76.4%のうち重複回答)が実施している。それでも、処遇のための人事考課というイメージが払拭できないのはなぜか?その結論は簡単である。「公正処遇を実現するための考課者研修」が行われているからである。最近では、フィードバックの方法を研修に取り入れる企業も増えているが、それは考課者が評価した結果を説明し、部下の納得を得るためのものが多い(評価結果を説明しても、納得を得るのには限界がある)。今後の育成計画について上司が提示し、それを上司と部下が話し合うものになってはいない。
 では、こうしたイメージを払拭して、「人材の育成・活用や業績向上のための考課者研修」へと人事考課のイメージを変えていくにはどうすればよいだろうか。その一つの方法が、人事考課の「結果」と「活用」の分離である。つまり、「処遇の差」は人事考課の結果の活用であって、本来は第一のねらいではない(人事考課は、部下の業績や能力を正しく把握し、それに応じた活用を行おうとするもの)という考え方である。そのへんの明確な区分を考課者が認識できるように考課者研修を企画することが大切である。
 その場合の研修方法は、講義中心では不十分である。なぜなら、研修で学んだからといって、そのとおりに考課者が部下を評価するとは、必ずしも期待できないからである(人間は知ったことと、行動することとは必ずしも一致しない)。したがって、考課者研修は考課者の「態度づけ」ができるまで、繰り返し継続的に行うことが必要である。講義で学んだ知識と技術を、実際の部下の評価に正しく活用し、その結果を部下の育成・活用に応用活用していくための研修手法を工夫することが求められる。
 それは、考課者研修の応用コースとして「評価結果から部下の計画的O.J.Tへ」の研修、「計画的O.J.Tをフィードバックする」考課面接研修に広げていくことであり、考課者研修がアドバンスコースであるという意味は、そこにあるといえる。

 人事考課は人事処遇への活用だけでない
 人事考課の活用目的を大別すると二つある。その一つは「人事諸制度への活用」であり、それは人事諸制度を運用していくための人事情報としての活用である。活用の場面は、一般的に昇給配分・賞与配分・昇格および昇進の判定といった「適正な人事処遇」と、適性開発と配置(ジョブローテーション)・能力開発ニーズの把握(研修計画の企画立案)などの「能力開発と育成」への活用である。
 人事考課と人事諸制度が、評価結果の活用を通して相互の機能的関係をより強化していくことは、今後の人事管理を考えていく上で極めて重要である(近年、ダイバーシティ・マネジメントやタレント・マネジメント等を検討・導入する企業が増えている)。そのためには、考課者研修の継続的な展開と、人事諸制度の改訂による制度の充実化が平行して行われる必要がある。考課者研修の対象者は管理監督者であり、人事制度と人事考課の担当は人事部門であるから、人事考課の人事諸制度への活用目的について、両者の理解と協力体制づくりは今後ますます重要な意味を持ってくる。この点についての経営幹部の役割は極めて大きいといえる。
 人事考課の活用目的のもう一つは、管理監督者が職場で行う「仕事の改善や部下育成等への活用」であり、それは考課者研修の中で大きなウェートを占める。なぜなら、人事管理を実践する場は職場にあり、実践するための具体的ニーズを提供するのが評価結果であるからである。
 だが、現状の考課者研修では、管理監督者が評価結果を用いて「部下の意欲づけと計画的O.J.T」にどう活用していくか?また「仕事の割当や仕事の改善」にどう役立てていくか?というテーマについては、あまり取り上げてはいない(評価結果を人事諸制度の運用に活用する部分の中で、その考え方と概要について説明するのが一般的である)。そのために、人事考課が単に部下を評価するだけでなく、管理監督者が自己の職場マネジメントを実践する上で必要なものであるという受け止め方が、どうしても定着しない大きな原因になっている。それが、前述した「人事部門の手伝いをさせられている」という言葉となって表れている。

 人事考課の職場での活用例
 人事考課の職場マネジメントへの活用について、さらに理解を深めてもらうために、ここでは評価結果からO.J.T計画へ、さらにフィードバック面接への活用について紹介したい。その前に、被考課者から管理者に対してしばしば出される意見を列記してみたい。
上司が能力不足のために、職場の業績が上がらない。そのしわよせを部下の方に持ってきて、業績評価が悪くなるのでは納得できない。
上司が職場のチームワークづくりやコミュニケーションに欠けているために、職場全体に活力が出てこない。それを部下のせいにして、執務態度評価に影響されたのではたまらない。
上司が部下の能力や適性を見抜く力を持っていないために、部下の能力を引き出す対策が立てられない。そのために、部下が能力を十分発揮されないで能力評価が行われ、低く評価される傾向がある。
 「会社の社員の第一の幸せは、良い上司に恵まれることだ」とよくいわれている。勿論、部下の評価が悪いのは、上司の管理能力の不足が原因だとはいえないが、管理監督署は謙虚に自らを振り返り、考えてみる必要がある。
 それでは、人事考課の職場メネジメントへの活用の仕方について以下に紹介しよう。
 考課者は考課表への記録が終わり、上司(二次考課者)に提出すると、すべてが終わった気分になりやすい。だが、そこからが管理監督者としての本来の仕事である。つまり、評価結果からO.J.T計画を作成し、これからの部下指導の大枠を描くことになる。O.J.T計画は作成することが目的ではなく、フィードバック面接を通じて次の効果をねらいとしている。
O.J.T計画について、上司と部下がじっくり話し合うことで、今後の能力育成のポイントや能力目標を示すことができる。さらに仕事の目標設定やその具体的遂行計画についてアドバイスすることができる。
上司としての育成計画を示すことによって、本人の適性・興味・関心あるいは問題点などの情報を収集し、それを日常のマネジメントや部下育成に役立てていくことができる。
部下育成の具体的指導内容を示すことによって、部下本人を取り巻く周囲の環境(チームワークに関わる人間関係等)などを多面的に話し合うことで、相互理解と信頼関係を高め,上司との連帯感を持たせることができる。
 近年、人事考課の結果を本人にフィードバックする企業が増えてきた。しかし、ここで留意したいのは、従来のような人事考課の結果をそのままフィードバックしても有意義ではない。フィードバックするからには、部下が自分の可能性を仕事の中から見出し、自分の能力を自からの努力によって高められるよう、O.J.T計画を設定し、これを活用する面接の充実が必要だと思われる。そのためには、人事考課の職場活用という視点から考課者研修企画を見直しする必要があるではないだろうか。

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2012年8月 自律型人材育成と経験学習モデルとパイプライン・モデル


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