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■新たなマネジメントとしての育成・活用型人事考課の経穴(ツボ)

       
2013年8月26日    前月コラムに続いて育成・活用型人事考課では、上司(考課者)は部下各人に対し、職場の目標と方針を明らかにしたうえで、育成・活用シートに記入、提出をさせる。シートは今期、あるいは今年度に部下各人が挑戦する目標(=職務遂行基準、以下同様)や、目標の達成方法について具体的に記述するもので、それによって、部下がどんな仕事をどの程度、どのようにやろうとするのか、また、どのような能力をどのように向上するのかを明らかにしたものである。(前月コラム参照)
 この育成・活用シートを部下に記入して提出してもらうねらいは、今期、今年度の部下各人の職務基準や能力開発目標について面接を通じて、上司と部下双方の合意と納得を経たうえで決定し、確認し合うことにある。したがって、シートを部下に記入してもらい、それを提出させるにあたっては、目標設定の仕方や、目標達成過程の自主管理などについて、あらかじめ部下に理解させておかなければならない。
 ここでは、目標による管理(MBO)を導入しているいないにかかわらず、どんな点に留意しなければならないのか整理してみたい。

 具体的で現実的な目標はSMARTに
 職場における個人目標の設定ポイントは、大きく分けて2つある。1つは、「どうすれば各個人の働きを職場の成果に結びつけることができるか」であり、いま1つは、「どうすれば個人のヤル気を引き出し、その能力を最大限に発揮させることができるか」である。ここで大切なことは、この2つのポイントのうち、どちらか一方に偏ったものはダメである。同時に、2つのポイントを満足するものでなければ、目標とはいえないのである。
 一時期、目標評価制度を高くつき始めた年功制度の代替物と捉える動きがみられたが、そもそも目標評価制度は人件費抑制の一手法などではない。そのせいかどうかはわからないが、目標評価制度を導入した企業で、役員の目標はもとより、社長の目標さえ明らかになっていない企業が多く見られたのは残念なことである。上位者から一方的に与えられる「ノルマ」は、下位者にとっては苦痛以外のなにものでもない。ヤル気のカンフル剤になると考えているようだが、かえって個人の活動を制約し、職場の成果にはマイナスに作用することになる。
 そうならないためには、トップから下位の社員まで目標が体系化されていることが必要である。したがって、まず、トップが目標と方針を定め、それに連鎖するように、個人の目標が設定されていなくてはならない。そのためには、上司は自己の目標や方針を決めるときには、部下と協議、検討することが必要である。その理由は、自己の目標や方針を部下とともに協議、検討することで、部下に参画意識を強く持たせ、「自発的な目標設定」に結びついてくるからである。その際に注意したいのは、上司の目標や方針(どんなやり方で達成していくか)を達成するには、どのような問題(現在起こっている問題、将来に起こるべき問題)があるかを明らかにし、それらの問題に優先順位(重要度・緊急度)をつけることである。そうすることで、職場が取り組むべき問題の認識と、部下相互間の目標を互いに確認することができる。
 加えて、(個人)目標はブライアン・トレシーの「SMARTの法則」が参考になる。つまり、〔槁犬話が見ても判るように個別的・具体的でなければならない(Specific)。¬槁犬蓮△任るかぎり計測可能な指標を導入しなければならない(Measurable)。L槁犬蓮部下と同意されたものでなければならない(Agreeable)。ぬ槁犬浪,敬佞韻蕕譴燭發里任覆、本人が本当に望んでいる(達成可能)ものでなければならない(Realistic)。ヌ槁犬蓮△い弔泙任肪成させるのか期日が設定されていなければならない(Time‐related)。
 経営陣や上司が無理やり押しつけたノルマなど、人事制度や会社への信頼を失墜させるだけである。最終結果だけでなく、それを達成する道筋が討議されなければならない。それが、育成・活用型人事考課の要諦でもある。

 部下の自己統制と上司支援
 育成・活用型人事考課のもとでは、目標を決める際の上司と部下の役割分担は、上司が8割で部下が2割からその逆までさまざまである。なぜなら日本の企業では、目標設定といっても上司は「対前年比売上高○%増」「シェア率○%アップ」といった、従来ながらの数値目標しか出せないことが多いからである。これらの数値目標ももちろん重要だが、中には従来の手法の延長では実現の可能性がない目標もある。例えば、「粗利益率の倍増」「納期の半減」といった目標は、営業の努力だけではなく、工場や物流部門まで巻き込んだ既存の枠組み(業務や部門役割など)の再構築が必要となる。各部門がこの最終目標を共有していれば、育成・活用型人事考課制度によって組織の動き全体を統合することが可能になる。
 それには、従来の管理方法と異なった管理を行うようにしなければならない。従来の管理方法は、部下に対して細かい指示・命令を行うなど、積極的に干渉することが多く、部門や部下の自主性に任せることがなかった。しかし、育成・活用型における管理の方法は、目標の設定によって職場や部下の目標達成度、すなわちどの仕事をどれだけやればよいのかがハッキリしているので、上司はいちいち指示・命令を与えずに、部下個人の責任に任せ、意欲を持って積極的に創意と能力を発揮して仕事をやってもらうことになる。言葉を変えると、部下個人の自主的管理すなわち自己統制に任せるのである。したがって一般的には、個々の職場や部下の目標の大枠を決めるところまでが上司の役割である。もちろん部下の経験に応じて、目標を達成するための道筋の作成(目標達成プロセスとその時期、関連先等)まで上司が関与しなければならないが、その実施段階では部下の自己統制によって仕事を行わせることになる。
 一方、上司は部下の仕事を傍観するだけでない。部下が目標を達成できるように、部下の必要に応じて助言・助力を与え、その達成過程において以下の役割を担うことになる。
目標の達成に必要な権限(意思決定)を委譲し、部下の自由裁量のもとに仕事をさせる。
部下の業務量の調整や対外的な関係の調整を行う。
部下から自発的な定期的な報告を受ける。
目標達成過程で、部下の意欲づけを行う。
部下の目標達成に必要な情報を早く、正しく、しかも多く流す。
自己統制と放任の違いを部下に理解させ、緊急時には必要な措置を講じる。
部下からの要望事項をできるだけ努力して整える。
 育成・活用型人事考課制度は評価期間が終った後に、人事考課をするためだけにあるのではない。そうではなく、全社目標・職場目標達成のために、個人目標を達成させることにこそ意味がある。期初に作成した育成・活用シートをもとに、四半期に一回は進捗状況を上司と部下の両者で見直す面接を設けなくてはならない。解決が必要な部分を早期に発見して、必要な上司支援を与えていくのが、育成・活用型人事考課を有効に機能させる鍵である。

 目標の達成度評価と人事考課の違い
 個人目標は半期や年度の始まりに設定される。まず経営陣が事業予算という全社目標の設定に合わせて、その目標を達成するための重点戦略や各部門の目標を設定する。続いて、その部門目標を達成するための個別の目標が、一人ひとりの部下に割り振られる。この割り振りは、職場管理者と部下との面接を経て決定され、それが育成・活用シートに反映される。
 そして半年・一年後には、目標に対する達成度の確認が管理者と部下との間で行われ、再び育成・活用シート(今後の指導と支援の項目)に残される。これと同様に会計制度でも、期が始まる前に予算という目標が決めら、半年・一年後に決算という形で達成度が評価される。育成・活用型人事考課も会計制度も概ね同じものと理解すればよい。
 だが、育成・活用シートの目標達成度評価=人事考課(職場への業績貢献)として認め、それに応じて、直接処遇を行うことは問題がある。なぜなら社員が担当する課業目標の中には、上司(職場)の目標と関連し、しかも本人の等級レベル(評価基準)に比べて高い課業目標と、そうでない課業目標(標準的或いは標準以下)が混在している。したがって人事考課では、挑戦的な課業目標(育成・活用シートで1ランク評価アップのCマークが記入)とそれ以外(LマークまたはUマーク)とを区分して考課することになる。つまり、人事考課では課業目標の達成度だけでなく、その困難度も考慮して評価するのである。そうすることで、たとえ挑戦的な課業目標が達成できなくても、人事考課がマイナスになることはなく、自己のキャリア形成に向けて仕事への挑戦意欲をふるい起こさせる要因となる。これが社員の市場価値を高める非金銭的報酬であって、組織を活性化させることになる。

 制度の導入に必要な取り組み
 このコラムの最後に、実際に育成・活用型人事考課を導入する際、直面する問題点をまとめてみたい。いずれの問題点も経営システムや組織マネジメントとして統合されていなければ機能しないことを示唆している。
夢のあるビジョンを描き、そこに至るための方向性を社員に与える。
誰にでもできる製品を、いかに早く安く作るかだけでは、優秀な人材を引き付けることはできない。世の中を変える「何を」創造するのかを示せる経営者が要求されている。
変革のための真のリーダーシップを発揮し、企業目標を達成する仕組みを提供する。
明確な企業目標を確立するだけでなく、これを実現させるための組織、人事、教育といった仕組みを作り、社員に提供されなければならない。
管理者の役割は、部下に「目標を達成させる」と同時に、「成長」を図ることである。
部下の失敗は管理者の失敗であり、それは部門の失敗でもある。そして部門の失敗は企業目標の未達成につながる。部下を成功させる、それが管理者の新たな役割であることを部下にも明確に示していくことが要求される。
管理者に求められる高度な能力
常に部下より優れた見識を示し、職場全体を目標へと動かしていけるようどんなテーマでも部下と議論できる能力が求められている。
 育成・活用型人事考課制度は、選別と人件費の削減が第一の目的であると社員に受け止められたら失敗である。導入にあたっては、制度の内容や評価基準をブラックボックスにすることなく、十分なコミュニケーションを社員ととって、プラス面を強調していくことが何よりも大切である。

<このテーマに関連する資料案内>
2013年1月 企業イノベーション+人材マネジメント=タレント・マネジメント
2013年6月 人事考課の三大原則と育成・活用型人事考課制度
2013年7月 育成・活用型人事考課制度の鍵を握る育成・活用シートの重要性


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