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■サービス業の生産性が、今後の春闘のあり方を変える

       
2013年3月26日     2013年の春闘は、13日の大手企業の一斉回答で一つの大きなヤマ場を越えた。政権交代後の円安・株高の流れを受けて、去年の実績を上回る回答が相次いだが、その展開は異例の連続でもあった。
 異例の第一は、これまで春闘のリード役を果たしてきた自動車大手の労働組合は、業績の良し悪しに関係なく、従来の賃金改善要求(ベースアップ)から一時金(賞与)を含めた賃金総額の底上げ(年収のアップ)に交渉方針を転換したことが確認されたこと。第二は、本来労使間で決まるはずの賃金交渉に、デフレからの脱却を掲げる安倍政権が介入してきたこと。第三は、その安倍政権の賃上げ要請にいち早く応えたのは流通業界、特に消費者に近いコンビニ各社であったこと。こうした一連の動きは、いったい何を意味しているのか。
 それは、グローバル化の進行によって、すでに就業者数が1000万人(就業者全体の16%)を割っている製造業(特に自動車、電気業界)が、そのまま春闘の先導役に留まってきたことが、我が国の賃金を低下させてきたのではないか―という仮説である。労働力人口の減少に加えて、企業活動のグローバル化(海外売上比率の上昇)が、人件費の抑制につながり、労働分配率、つまり賃金を低下させてきたのである。
 生活必需品から娯楽・通信へ、そして交通・通信から保険医療・教育へと消費構造は変化している。この消費構造と産業構造のミスマッチが現在のデフレの原因でもあり、そこから脱却するには、今後の春闘はどうあるべきか考えてみたい。

 春闘と長期デフレの関係
 わが国の賃金交渉(春闘)は、ヨーロッパのように産業別、技能レベル別に国あるいは地域レベルで賃金が決定されるのではなく、個別企業の労使交渉によって行われている。それだけに、個々の企業の事情が賃金に反映されやすく、また他の国に比べて賞与(一時金・業績賞与)の年収に占める割合が高く、企業業績によって年収が大きく変わる特性を持っている。また、企業内労働市場を基盤としているだけに、企業がいったん経営危機に陥ると、労働組合は雇用を守るために賃金カットに応じることがある。
 バブル崩壊後、企業が低賃金を求めて生産拠点あるいは調達先の海外シフトという施策を講じたことで労働需給が緩んでくると、日本の労働組合は雇用保障と引き換えに企業の収益改善を優先して賃金の引き上げ要求を見送ってきた。だが、企業収益が改善されても賃金が上がることはなく、それだけでなく正社員から賃金の低い非正社員への切り替えが急速に進み、雇用の質の悪化をもたらした。非正社員の賃金は正社員に比べて3〜4割も安く、しかも社会保障の負担もないので、労働分配率も低下した。
 企業は賃金もコストカットの対象とし、損益分岐点を引き下げることで国際競争力の維持に努めたが、それが逆に円高を招き、さらに製品価格を引き下げなければならないというデフレ・スパイラルに陥ったのである。なぜ、こんな事態になってしまったのか。

 実質経済を成長させ賃金を高めていくには
 賃金は、マクロ的(国民経済的)には一人当たり実質経済成長率と概ね同一歩調をとる。経済成長率は全国民の所得の伸びであり、賃金は労働者の所得であるからである。したがって、一人当たり実質経済成長率を基本的な準拠指標として賃金交渉をしていくことは、労働人口が減少する今後は重要になってくる。
 ただし、就業者の中に占める雇用者の割合や分配率の動向によっても両者の関係はズレてくるし、賃金交渉は個別企業の業績をベースにして行われることから、両者は必ず一致するというものではない。とはいえ、安倍政権は今後、2%程度のインフレ目標を掲げていることから、労働者が実質賃金を維持していくためには2%のベース・アップが今後の賃金交渉の足がかりとなる。
 では、実質経済を成長させ賃金を高めていく(消費の拡大)ためにはどうしたらよいのか。
その第1は、製造業に頼りすぎている産業構造の転換を進めていくことである。先進国ではサービス業がGDP(国内生産)の約70%を占めている。過去にも日本は二度の産業構造の転換を経験している。戦前は労働集約の軽工業から資本集約型の重化学工業へ、戦後は素材産業から組立加工産業へと、日本経済の成長力の源泉となった産業は大きく変わった。日本はいつまでもモノ造り神話にしがみついているべきではない。先端技術関連の製品開発・生産や素材・部品は維持しつつも、サービス業への構造転換を図り、国際競争力を高めていくべきである。
 第2は、サービス業といってもその業態はさまざまである。高齢者の増加に合わせて、医療・介護、教育・娯楽産業を充実させていくことで、不足している需要を埋め、雇用を増やして国民経済を拡大させていくことが可能である。
 第3は、産業構造の転換を短期間に実現させていくためには、雇用を促進させ定着率を向上させていくことが欠かせない。それには労働環境や労働条件を整備していくことが必要だが、なかでも不満要因になりやすい賃金の問題は重要である。賃金が退職につながる主な要因は2つある。1つは、絶対額としての賃金水準であり、もう1つは、同じ組織(職場)内における賃金格差である。前者の問題も大切だが、それに加えて後者の問題が原因となって退職へ走らせることは多く、注意が必要だ。本人からの問い合わせに対しては、判りやすく、納得が得られるよう十分な説明が求められる。そのためには、本人のキャリアを考慮し、どう賃金が決定されるのか、個別賃金のルールを明確に定めるといった対策が必要になってくる。

 春闘のリード役が、なぜ交代したのか
 これまで春闘は、自動や電気などの輸出企業が先陣を切って労使交渉を行い、そこで合意された相場が他の業界や企業に波及するのがこれまでのパターンであった。だが、今年の春闘では、内需型の流通業が相場づくりのリード役を果たし、急速な円高是正によって業績が改善された自動車各社もこれに引きずられる形で、産業界全体に賃上げの流れが広がっていった。
 では何故、春闘の先導役が変わったのか。本来なら、内需企業であっても収益基盤にマイナスに作用する賃上げには、慎重であるはずである。
 その背景には、賃上げをすることで消費を喚起し、業績を本格的に拡大していきたいという流通業界の思惑がある。2000年以降、輸出企業はグローバル化によって厳しい国際競争にさらされてきた。当然、恒常的なコスト増につながる基本給の引き上げには慎重で、大半の企業は一時金で業績改善分を還元する。労働側も海外移転が進むので雇用維持を優先し、交渉当初から賃金改善の要求を見送らざるを得ない。これを内需企業も見倣ったので、物価が下落する中で実質消費も減少するというデフレの悪循環に陥ることになったのである。
 日本の物価上昇率は2000年以降マイナスの年が多いが、この消費者物価指数(CPI)を構成する品目は、モノとサービスに大別される。モノは国際貿易を通じて自由に移動するので、国によって価格が大きく変動することは少ない。したがって、できるだけ低い賃金に収斂する動きとなる。しかし、公共料金や交通費、家賃などのサービス業は、移動が国内に限定され、しかも労働集約的であることから賃金とサービス価格は連動することになる。したがって、賃金が上がらなければ、消費は縮小しデフレから脱却するのが困難になる。こうした事情が春闘のリード役が交代した1つの理由である。
 だが、賃金主導で政府が目標とする物価上昇を実現していくには、今回だけでなく中小企業も含めて持続的に賃上げが行われる必要があり、かつ全雇用者の3分の1を非正社員が占めている現在、ここにも賃金の引き上げを広げていくことが必要になっている。

  サービス業の生産性を高めるには
 就業人口の約7割を占める「サービス業の低い生産性が、日本の国際競争力を弱めている」ということを耳にする。なぜサービス業は生産性が低いのか。生産性が高い製造業とはどこが違うのだろうか。
 製造業はF・A化が進み、機械がほとんどの製造現場で活躍し、人間の作業割合が減っている。その結果、一人当たりのCDPは向上する。最近ではサービス業でも、人間がコンピュータに置き換わってきてはいるが、コンピューターの使い方が遅れているために、うまく活用できていないのだ。その原因は、業務の標準化ができていないために、せっかくコンピューターを導入しても人員削減につながっていなかったり、一人ひとりの職務編成(仕事の割当)にムリ・ムダ・ムラが生じているのである。今後、労働生産性を高めていくには、人間に依存しすぎている業務をコンピュータに任せたり、人の多能化を進めて職務編成を見直していかなければならない。そのために必要なのは、職務調査である。まず職務調査をして、人に任せるものと、コンピューターに任せるべきもの(定型的な仕事)を分けることだ。この作業ができていないから生産性があがらないのだ。また、この区分けができていないと仕事を改善したり、ビジネス・プロセスを変革していくことはできない。
 さらに、労働集約型のサービス業は一人ひとりのモチベーションが、ダイレクトに業績に反映される。それだけに、自ら考えて行動できる=自律型人材が求められる。自ら課題を明確にし、解決策を考え、主体的に行動するで、周囲を巻き込んで実行できる人材である。それには、自らの意思と適正と能力に応じて、自己と組織との関わり、つまり自己の将来の進路を選択できるように複数のキャリア・プログラム(=複線型人事)を用意し、公正に評価して処遇に反映できるしくみが必要になる。
 また上司は、部下と事前に話し合って決めた目標を部下が達成できるように、情報の共有に努め、支援を通じて信頼関係が高めるサーバンド(奉仕する)・リーダーシップを発揮することが重要になる。サービス業の労働生産性を向上し、業績を高めることが、持続的に賃金水準をアップすることに結びついてくる。


 <ワークショップ開催のご案内>
このコラムでも紹介した「複線型人事・業績連動型賃金設計のワークショップ」の開催が以下の通り決定しました。関心のある方は、是非、参加されることをお勧めします。
新時代の扉を拓く
複線型人事・業績連動型賃金制度設計のワークショップ
人を活用し組織を活性化させて新たな顧客価値を創造する
2013年7月19日(金) 横浜市内
 ワークショップ参加の申し込み

<参加対象>
・人事、総務部門責任者
・経営企画責任者
・企業経営者

<ワークショップのねらい>
自分の能力や個性が活かせ、面白い仕事ができる(会社選びの変化)
いくつかの会社に所属し、それぞれから自己のキャリアを手に入れる (労働観の変化)
これまでの自前主義による人材ストックの人事施策を改め、契約社員やパート社員等の人材ミックス施策を進めたい(期待する人材の多様化)

これらは多様な働き方や企業と個人との新たな関わりを必要としています。
従来の集団主義をベースに、全社員をストックし同質的な一元的管理をしていく人事制度では、社員の労働意識や行動様式の変化、企業の人材ニーズに応えていくことはできません。
個々の社員の自律性を活かし、キャリア形成を支援していくことで、各人の自己充足と経営力の強化という両面を満足させていくことができます。
本セミナーでは、同一企業内に複数のキャリアコースが並立する多元的な人事制度と、生産性や業績との関係で賃金水準を設計していく業績連動型賃金制度に関する考え方と手順を実践的に習得することを目的としています。


開催日時 2013/07/19   9:30 〜 16:30
申込期間 2013/04/01 〜 2013/07/12
主催会社 (有)マネジメント・コンサルタント・オフィス
参加定員 20名
参加金額 15,000 円
開催場所 ・会場名: 横浜市技能文化会館
・住 所: 横浜市中区万代町2−4−7 TEL045(681)6551
・交通アクセス: JR関内駅南口から徒歩5分
市営地下鉄伊勢佐木長者町駅出口2から徒歩3分
講   師 MCO  森 英一  (有)マネジメント・コンサルタント・オフィス代表
プログラム
【プログラム概要】
1日(9:30〜16:30)
1. 新時代における複線型人事制度の目的
・自ら考え行動する自律型組織への取り組み
・自律型組織への要件とは
・複線型人事と生涯賃金ビジョン
2. 複線型人事制度の設計と運用
(1)複線型人事のフレームづくり
・人材群と職群の編成基準
・育成と活用のための進路選択コースの設計
・役割等級制度のフレーム設定のポイント
(2)進路コースの選択と変更の基準
・意思と適性による選択と変更の基準
・進路変更の機会と制限
・意思と適性の把握方法
(3)企業と個人の新たな関係づくり
3. 複線型人事に対応する業績連動型賃金の設計と運用
(1)賃金の計画化
・賃金計画の意義とねらい
・わが国の賃金計画の流れと特徴
・企業の支払能力と総額人件費の上限
(2)業績連動型賃金(年間賃金政策)の設計
・賃金の構成と範囲
・賃金体系の整備と進路間の賃金設定
・管理職、専門職と役割給
・複線型人事と賃金ビジョン
(3)成果分配システムとしての業績賞与のしくみと留意点
 
※内容は変更される場合があります。また、進行の都合により時間割が変わる場合があります。あらかじめご了承ください。
お知らせ
  MCO会員 12,000円/1名

会員外 15,000円/1名

※資料代と消費税が含まれますが、昼食代は含まれておりません。
   
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