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■なぜ日本の企業からイノベーションが生まれないのか

       
2013年2月26日     今年の春闘の幕開けは、昨年と同様に経営側は定期昇給の凍結すら唱えていた。ところが、円安による業績の上方修正の動きと安倍晋三首相の賃金引き上げ要請が追い風となったのか、ここにきて労組の賞与への期待が膨らんできている。デフレの脱却に賃金が鍵を握るのは間違いない。
 だが、今月に公表された総務省(平成24年12月分労働力調査=製造業就業者数が51年ぶりに1000万人を割り込む)と財務省(平成24年国際収支速報=貿易収支が2年連続の赤字拡大)の2つのデータを見ると、労組の期待たおれに終わりかねない。
 今、日本の雇用や賃金で必要なことは、低付加価値製造からより付加価値の高い製造業にシフトし、製品を途上国に輸出して稼ぐことだ。新素材、高級鋼材、自動車部品、電子部品、ロボットなど、競争力を持つ高付加価値の製造業は沢山ある。こうした技術を組み合わせて新しい高付加価値製品を生み出し、低付加価値分野で失った雇用を製造業の高付加価値化で取り戻すのである。また、製造業の高付加価値化への取り組みは、製造業の雇用だけでなく、学術・研究や情報通信など第三次産業の雇用も創出することになる。
 確かに為替の動向も重要だが、イノベーションは待っていても生まれてこない。企業が新たな戦略を達成するためには、戦略に必要な組織能力を開発していくことである。

 イノベーション・グローバル化は個人より組織に依存する
 わが国では、イノベーションが企業成長の鍵を握るといわれ、社員に「行動変容や意識改革」を訴える経営者は多い。では、イノベーションは、個人の能力や行動によって引き起こされるのだろうか。先月のコラムで述べたように、イノベーションを成功させていくには、仝朕佑アイデアを出しやすい環境にあるかどうか、また△修離▲ぅ妊△鬚匹里茲Δ淵廛蹈札垢魴个匿靴燭併業へと繋げていくのか、この2つが重要である。
 また現在、多くの企業で経営のグローバル化への対応策として、語学研修や外国人の採用が行われている。だが、そうした試みはあまり巧を奏していないようだ。経営の現地化とは、企業の理念や文化、仕事に対する考え方を浸透させ、共感と行動に結びつけ、現地社員が他の現地社員を指導できるようになってはじめて、その企業の文化がDNA化していくことになる。
 今日、会社の役員室で盛んに議論されているイノベーションやグローバル化の問題は、個々の人材に依存した対策より、組織力に依存する要素の方が大きいのだ。企業がイノベーションを興し、経営のグローバル化を進めていことするならば、それを可能にする組織力を開発していくことだ。それには、まず経営者や管理者は「組織として、どのような能力が必要なのか」を期待・行動基準として明示し、各組織レベルで計画的に取り組んでいくことが求められる。それが、根拠があまり明確でないノルマ的な人材マネジメントと区別された、現代的な組織開発(活性化)だといえる。

 求められるのは「自律性」と「多様性」
 組織開発とは、もともと異なった考え方や行動をする個人を集めて、組織として機能させるための施策をいう。つまり、バラバラの人材を「協働」を通じて、1つのまとまった集団に作り込んでいくプロセスを組織開発という。職場のQC活動はその典型例である。
 最近はわが国でも、組織開発の重要性が説かれているが、概念も進め方も統一されているとはいえない。組織構造の変革であったり、教育訓練の一環とみている企業も意外と多い。しかし、欧米では重要な経営機能として認識され、人材マネジメントは組織開発の一部として捉えられている。
 では、日本の企業に求められている組織力とは何か。それは、イノベーションの開発力とグローバル経営を推進していくための内部組織の統治力ではないだろうか。具体的には、_饉劼伴勸とが一体となって、双方の成長に貢献をし合うエンゲージメント(信頼、約束)の能力と、⊃雄爐梁人誉(違い)を受け入れ、それを組織の活力や企業競争力の源泉にしていくダイバーシティーの能力である。エンゲージメントとは、社員の成長を支援することで、自律した個人の貢献を引き出す能力であり、またダイバーシティー(多様性)とは、異質性を統合して新たな方向性やイノベーションに結びつけていく力である。
 まずエンゲージメントの能力である。エンゲージメントは「満足度」と混同して使われることが多いが、現状の環境や仕組み(時間や賃金等)に対する満足の程度とは違う。会社は社員に成長(キャリア)の機会を提供し、社員は自己の「働きがい」の見返りに主体的に組織に貢献する―ことを互いに約束するのである。残念なことに、多くの企業は人をコスト(人件費は経常利益と同様に付加価値である)と捉え、エンゲージメントされておらず、それが社員のモチベーションを低下させている。欧米では、エンゲージメントは人と組織の活性化に繋がる重要な経営施策とされているのだ。
 もう1つは、個人の持つ多様性を活用していくダイバーシティーの能力である。すでに国内でも価値観や意識の多様性は、世代間や属性間で大きなギャップが生まれている。若年層の早期離職、女性活用の遅れ、さらには全体最適に背く部分最適の優先など、今、問題となっている多くの経営課題の背景には、ダイバーシティーを活用する能力不足がある。組織の一部の人間や日本人同士でなければ通じない「暗黙知の経営」では、経営のグローバル化に対応していくことはできない。新卒者の早期離職の対応や女性の人材活用が進まない組織が、優秀な外国人をリテンション(人材流出防止)できるはずはない。ましてやダイバーシティーの中で知的創造力を確保して、人材マネジメントを進化させ、イノベーションの基盤となる組織力を強化することなどとてもできない。現在は、本格的な組織力の競争時代に突入している。

 職場リーダーの育成と支援がポイント
 個人に成長の機会を提供し、これを支援していくエンゲージメントの高い組織と、個々の違いを受容し、その中から組織の新たな方向性を見出していくダイバーシティーを成功させる上で、鍵を握るのは職場のリーダーである。しかも、今の日本の企業に必要なのは、組織としてのまとまりや一体感だけではない。戦略を遂行するために、組織として持つべき強み、それに必要なさまざま能力を職場に作り込んでいくのである。人材の流出を防ぎ、部下を育成して、目標達成に必要な仕事を割り振り、さらに自分の後継者を育てられるリーダーが必要とされている。
 だが、現状の組織を見回しても、該当する職場リーダーは多くない。自律した個人と組織の重要性が高まる中、企業は職場リーダーが育つ組織を作っていかなければならない。その組織づくりのポイントは、以下の4つ。
自ら課題を明確にし、解決策を考える組織であること。
仕事の目的に照らして現状の仕事の手順や方法について、より良いやり方がないか改善策を考え、実践する―経験学習が行われる職場づくり。
権限委譲と上司支援のバランスがとれていて、目標が達成される組織であること。
仕事のやり方にかかわる権限を委譲しながらも、任せきりではなく、上司のサポート体制がとれている職場づくりを行なう。
仕事の結果がフィードバックされる組織であること。
何が十分にでき、どこが足りないのか、部下の具体的な行動をとらえた評価の説明や将来への期待をきちんと伝え、コンセンサスが得られる職場を作る。
部下が育っている組織であること。
目標を達成するために、周りの人と協働しながら自律的に行動でき、上司に批判的にかかわることができる―部下が育つ職場づくりを行なう。

 上記の職場づくりで大切なことは、組織全体として職場リーダーを支援していく体制をどう整えるかである。職場リーダーを継続的に育成していくためには、リーダーを支える部下を育成したり(学習する職場風土の醸成)、リーダーに任せることと、経営が判断すべきことを明確に区分(職務権限等により責任守備範囲を明確にする)するなど、会社が取り組むべきテーマは多岐にわたる。
 企業経営はいま、大きな転換期を迎えている。新たな顧客価値の創造が競争力の源泉になる時代には、従来とは異なる組織・人材が求められてくるのである。

 <今月のコラムに関連する過去のコラムの紹介>
2012.03 グローバル経営と本社力の強化(複線型人事と業績連動型賃金制度)
2012.06 職場の活性化と組織の成功循環モデル
2012.08 自律型人材育成と経験学習モデルとパイプライン・モデル
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