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■企業イノベーション+人材マネジメント=タレント・マネジメント

       
2013年1月27日     「イノベーションが次々に生まれる組織を作り、企業を成長させたい」というのは経営者に共通した願いであろう。2012年度版「イノベーション企業ランキングトップ50」をボストン・コンサルタント・グループ(B.C.G)が発表している。この調査レポートは、世界各国の広範な業種の経営幹部1,500名以上の回答結果と過去3年間の株主総利回り、売上の伸び率、利益の増加を考慮してランキングを作成しているということだが、多少自社(B.C.G)PRの要素も含まれているのだろう。
 イノベーションを日本語では技術革新と訳されることから、どうしても技術分野における発明や画期的な新製品開発を連想するが、経済成長の創案者といわれるヨーゼフ・シュンペーター氏(「経済発展の理論」1937.岩波書店)によると「生産要素を全く新たな組み合わせで結合し、新たなビジネスを創造する」ということからすれば、イノベーションは技術の分野に留まらない。新製品開発や新生産方法だけでなく、新市場の開拓や新しい仕入先の獲得、独占の形成やその打破(新組織の実現)もイノベーションである。
 イノベーションを起こしていくには、新たな創造性や発明が必要だが、それを顧客価値の創出に結びつけ、実際の市場に導入し顧客に喜んでもらい、消費行動(社会)に変化を起こす(市場の創造と拡大)ことの方がはるかに重要だ。つまり、一人の天才より、多くの異能の人材を共同作業にあたらせ、顧客から直接フィードバックを受けて試行錯誤によって組織を鍛えるのである。そうした中で、期待される結果を引き出す効果的な手法として注目されてきたのが「タレント・マネジメント」である。

 イノベーションを生み出す活動
 イノベーションを生み出す組織を構築する上で、経営者が理解しなければならないことは、組織の学習には「探求(発明)」と「活用(結合)」の2つがあるということである。前者の探求は、全く新しい知識や発想、アプローチの方法などの知識創造であり、未知の分野の開拓や実験、常識にとらわれない活動を必要とする。一方、後者の活用は、既存の知識や技術やノウハウを共有し、それらを連結することで、既存の価値の中に変化を生み出す活動のことである。もちろん、この2つの活動(学習)は完全に分離することはできない。なぜなら、探求はゼロから1を生み出し、活用は生み出された1を100に創り出すからである。探求により新しい商品や技術を生み出すことは大変だが、それ以上に生み出された商品や技術を新しい事業に育てていく活用がないと、イノベーションは起こらないのである。
 イノベーションは、社会に起こっている変化を新しい価値へと導くことであるが、今月のコラムでもP・F・ドラッカー教授に登場してもらおう。(「イノベーションと企業家精神」上田惇生訳、1985年ダイヤモンド社)
 まずイノベーションに成功した企業は、どのようにしてその機会をとらえてきたのか。あくまで機会であるから、その機会を手にしたらイノベーションが起こるわけではないが、イノベーションを起こすヒントを提供してくれる―というわけだ。
 ドラッカー教授のいうイノベーションの7つの機会とは、〕輯せぬこと、▲ャップ(不調和)、ニーズ(プロセスニーズ)、せ唆塙渋い諒儔宗併唆箸隼埔譴旅渋ぁ法↓タ邑構造の変化(人口動態、人口統計学データ、デモグラフィック)、ηЪ韻諒儔宗頁Ъ韻箘嫐づけや雰囲気の変化)、Э靴靴っ亮院平靴靴ぅ淵譽奪検法△任△襦この7つの機会の順番には意味がある。つまり、イノベーションは業務の中で気づく「予期せぬこと」から最も起こりやすく、「新しい知識(ナレッジ)」からの成功の確率は高くないというわけである。また、,らい牢覿箸篁唆箸涼罎如↓イらГ牢覿箸篁唆箸粒安Δ砲ける事象だということである。つまり、成功確率の高いイノベーションは、日常の仕事において顧客や取引先などに真摯に向き合っていれば、その機会に出会うことができるというわけである。

 イノベーションと人材マネジメント
 イノベーションを行うのは人である。その意味から人材育成は企業の競争力の源泉となる。しかし、日本の多くの企業はバブル崩壊後のコストダウンで、人材への投資を減らしきた。それと引換に、真の顧客指向でグローバルに通用する新しい事業も創造されていない。こうした反省からか、ここにきて採用を再開し、育成投資を復活する企業が増えてきている。
 長期にわたって組織能力の蓄積を怠ると、企業の競争力が削がれてしまうという認識(大赤字への転落)にようやく辿り着いたようだ。だが現在は、人材育成を行う企業内外の環境は大きく変わってきている。これまで日本企業の人材育成は、現場でのO.J.Tに依存してきた。O.J.Tとは、「モノづくり」という観点から、上司や先輩がこれまで獲得してきた知識や技術(スキル)を後輩へ継承するものであるが、変化のスピードが速く、新しいスキルが必要になってきている。
 その結果、これまでのように先輩が自分の持っているスキルを後輩に教えるという姿勢から、一緒に新しいスキルを考えるという環境づくりが必要になっている。つまり、これまでの知識やスキルを伝承するための仕組みだけでなく、働く者が、自己の能力を高め、新しい知識を継続して学習したいという仕組みづくりである。その意味では、学習環境の整備という枠を超えて、人材マネジメントのあり方に関係してくる。
 イノベーションに必要なのは、長期的なキャリア形成を通じた人材の育成である。従来の1つの職場だけに必要とされる知識やスキルだけでは、限界がある。関連する複数の職種を経験し、訓練によってそれは初めて可能になる。企業にとって必要なのは、複雑で高度の能力であり、そうした人間をどれだけ抱えているかが、企業の見えざる資産である。とはいえ、企業にできることは、人材育成を通じて個人のキャリア形成を支援し、人材としての価値を高めていくことだけである。今後の人材マネジメントで大切なのは、仝朕佑亮律を促進し、▲ャリア形成にどれだけ本人の意思が反映できるか、そのための仕組みをどのように構築するか、の3点である。

 イノベーションを加速させるタレント・マネジメント
 タレント・マネジメントとは、採用から配置、育成、キャリア形成といった一連のプロセスを、効率的(一元的)に管理、支援していく仕組みである。そして、組織における個々の能力を最大限に引き出し、企業の競争力を上げていくことを目指している。それには、個々の能力やスキルを把握するのと同時に、企業の求める「タレント(期待人材像=資質・才能)」を現場のニーズに則して、明確に定義していくことが求められてくる。
 従来のオペレーション中心の人材管理では、人事部が新卒者を一括採用し、入社教育を施し、一度配属するとその人材を如何に教育し使うかは各部署の判断に委ねられてきた。そのため、潜在能力を保有していても、配属された職場の指導者によって、その後の育成や能力活用は大きく左右されてきた。つまり、働く人が自己のキャリアを高め、継続して学習したいという意欲を持たせる仕組みがなかったのである。
 イノベーションに必要なキャリア形成は、多分に個人的なプロセスであるだけに、人材マネジメントは働く人のスキル開発、キャリア形成へインセンティブを与えるものでなければならない。タレント・マネジメントは、これまで各部門がバラバラに行ってきた人材に対する取り組みを、全社的に一本化するために、人材要件を明確にして個人の情報を共有することで、人材の育成(キャリア形成)と活用(貢献)を連動させていくための仕組みである。それには、個人の関心や希望を尊重し、個々の強みを生かし合う組織文化を醸成し、組織と個人の関係性を高めていくこと(エンゲージメント)が、より重要になってくる。
 コラムの最後に。タレント・マネジメントは、欧米での普及が先行し、日本国内においてはグローバル展開している大手企業を中心に導入が始まっている。だが、キャリア形成の体系化や組織と個人との関係性、横断的な相互支援体制等の仕組みを構築せずに、IT企業のパッケージソフトに飛びついたり、人事情報のシステム化だけを急ぐことは厳に慎みたい。それでは過去に経験した、一時的なブームで消え去るだけである。

 <今月のコラムに関連する過去のコラムの紹介>
2011.07 多様化時代の人材育成(9プロセス・マネジメントと人材育成)
2011.12 日本的経営と専門職制度と複線型人事制度(供

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