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■変動期におけるフィードバック面接・・・ダブルループの人材育成

       
2012年4月23日     決算期別の法人数で最も多いのは3月末決算と知っていても、その具体的な法人数を答えられる人はそう多くないだろう。国税庁の税務統計によると、わが国の一般企業や医療法人などの普通法人の数はおよそ280万社。そのうち約20%を占める57万社が3月末決算なのだそうだ。つまり、5社に1社がこの4月から新しい事業年度をスタートしている。
 新事業年度のスタートにあたり、各企業の職場では個々人が担当する職務に対して、課業一覧表や職能マニュアル(要件書)をベースとして、加えて新年度における経営戦略や事業計画などをにらみながら個人ごとに目標や職務遂行の期待基準を設定していかなければならない。これが職場の原則である。そのためには、前期、前年度の業務目標、改善目標、能力開発目標の達成度についてどうであったか評価し、人事考課を通じて、今期の目標設定に結びつけていかなければならない。
 人事考課における評価とは、期初に期待し、要求した水準(目標)をどういう点で満たしたか、どのような点が満たしていないかを判断していくプロセスをいう。したがって人事考課の性格は、上司の一方的な結果の査定だけに終わらせることなく、部下の自己評価と上司の評価の部下へのフィードバックにより、互いの評価の照合・確認、評価のズレの分析、それを踏まえての対応策の検討などをフィードバック面接によって進められることになる。
 だが、このような内容のフィードバック面接を実施している職場はきわめて少数に限られる。その原因の1つは、部下の不十分な点を指摘しなければならないという点にある。管理者(上司)が部下と面接するときには、具体的な失敗、問題点、改善点を伝えなければならない。このプロセスをこなさなければならないと思うと、上司は面接そのものが億劫になってしまうのである。また、職場の環境変化が激しくなると、「上司の期待や評価基準以上に仕事は達成したが、それが結果の業績に結びつかない」といった事態が生じてくる。つまり、従来の仕事のやり方では目標を達成することができないという計画のパラドクスである。職場の常識が問題の発見や対策を遅らせ、部下にフィードバックすることができないという根本的な問題を生みだしている。そこで今月のコラムは、フィードバック面接について考えてみたい。

 シングルループとダブルループ学習の人材育成の違い
 全社目標から個人目標にいたるまで、およそ目標を達成するためにはPlan(計画) → Do(実行) → Check(評価) → Action(改善)の4つの段階を踏むことになる。そして、この一連のサイクルを反復実施することで、目標をよりよく達成することができるといわれている。そして、実施した内容には常に改善を加え次の計画に反映させることによって、より無駄を省く有効なアプローチ方法として多くの人に知られている。こうした既存の仕組みや行動の枠組みに従って目標を達成するための取り組みをシングルループ学習、あるいは継続的イノベーション(sustaining innovation)という。だが、従来の考えや行動の延長線で対応(改善)するシングルループ学習は、安定した環境のもとではその効果を発揮することができるが、いったん環境が大きく変化するとその有効性は限定的となる。
 ビジネス環境が激変し不確定要素が多くなってくると、過去のやり方や考え方は通用しなくなってくる。まさに、グローバル市場における自由競争という今日の環境下にあっては、過去の意思決定や成果を再評価(職場の常識の修正)し、将来に向けてより望ましいやり方や行動に結び付けていく学習プロセスが不可欠となる。つまり、新たな環境に適合するための問題発見(Problem-finding) → 問題設定(Display) → 問題解決(Clear) → 結果確認(Acknowledge) という、もう1つのPDCAサイクルが必要になる。計画達成のPDCA(改善)に問題解決のPDCA(変革)を加えた取り組みをダブルループ学習、または破壊的イノベーション(disruptive innovation)という。環境が大きく変化し、計画達成のPDCAが有効に機能しなくなった場合(例えば、インプットとアウトプットの因果関係が変化した場合は、メンタル・モデル―常識の修正が必要)、問題解決のPDCAによって計画達成のPDCAそのものを見直し可能性を広げていくのである。
 ダブルループ学習には自律した問題解決能力を有する人材を育成することが必要であり、そのためには部下一人ひとりと面接をし、単に問題点を指摘するだけでなく、事態の改善について話し合い、今後どのような仕組みを作り行動を起こせばよいかについて共に考え、プランを立て、実行にとりかかれるようフィードバック面接を行うことが大切である。

 フィードバック面接をする際の留意点
 フィードバック面接には、部下に対するなんらかの評価がともなうものであるが、そもそも人は他人から評価されることを好まなかったり、評価されることに反感を抱いたりする一面がある。このことを十分に理解してフィードバックに臨むべきである。そのための要点は以下のとおりである。
目標を設定した時点から評価は始まっている
  部下の評価は、その時々で行うのが原則である。したがって人事考課(期間評価)だけで十分と考えてはいけない。例えば、1ヶ月かかってやる仕事あるとするならば、1ヶ月の中間あたりとか、仕事によっては1週間のうちに何回となく評価して部下にフィードバックし(問題の発見)、なんとしてでも目標を達成させるように(問題解決のPDCA)もっていかなければならない。この繰り返しこそ評価活動にほかならない。
評価と測定との違い
  評価は、部下一人ひとりがどう変わったかを見ていこうとするものだが、結果の点数にこだわる考課者は多い。たしかに測定は、評価に必要な基礎的データを用意してはくれるが、そのデータを分析し、判断を下さなければ評価とはならない。"なぜ、このような結果になったのか"、そもそも計画自体に問題があったかどうかは結果からは分からない。現場の状況や部下1人ひとりの個人差に応じて個別判断していかなければ人事考課とはいえないのである。
具体的な行動事実に基づくフィードバック
  人事考課の対象となるのは、あくまで評価が可能な"客観的な行動"という事実である。したがってフィードバックの対象も、部下の具体的な行動についてなされることになる。フィードバックは、部下の職務遂行行動と結果を判断しながら、適切な変更処置を行うことであるが、大切なのはいかに部下がそれを受けいれていくかにある。それを部下に受けいれさせるには、上司の目からみて、まず結果がどうであったかを部下に知らせること(問題発見)であり、続いて部下の職務遂行時の状況(問題設定、問題解決、結果確認)をフィードバックしてやることがポイントである。

 不適な面接者と良い面接者
 フィードバック面接が成果をあげるかどうかは、面接者が鍵を握っている。面接者として不適なタイプと良い面接者の条件についてかんがえてみたい。
<面接に不適なタイプ>
○ 物事を固定的にしか見られないタイプの人 → 片寄った面接になってしまう。
○ 口数の多いタイプの人 → 部下が口をきかないようでは、情報を引き出せず、面接とはいえない。
○ その他に権威をカサにきたり、権力を振り回すようなタイプの人
<良い面接者の条件>
○ 専門的な知識を身につけていること= 部下とのやりとりがかみ合わず、また部下の求めに応じた情報提供ができない
○ 分析的な見方ができること= 情報や事実をもとに、物事や問題の本質が見極められる思考力や判断力がなければ、部下の納得が得られない。
○ 聞き上手であること= やり取りの中から、言葉の背後にある意味や、部下の気持ちまで聞き取る能力を備え、適切なフィードバックを行うことで、部下の共感が得られる。

 コラムの最後に、面接訓練を企画しコミュニケーション・スキルを高めることにも意義があるが、フィードバック面接は今後の事態改善に結びつけていくことにねらいがある。事態の改善とは、期待し要求した目標を達成できなかったときの、次に打つべき手である。その打つべき手とは、1つは職務分担の変更であり、目標レベルの変更である。もう1つは、仕事の改善や改革が打つべき手として考えられる。
 特に、目標設定の前提である環境の変化が激しくなればなるほど、仕事の内容や方法の改善、改革が求められ、部下に対して期待し、要求されるものも変わってくる。それだけに、考課者訓練(評価実習)に連動させた面接訓練(評価結果の職場での活用)を企画・実施されることをおすすめする。
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