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■経営を革新する賃金プランと春闘のあり方

       
2012年2月18日     増税や社会保険料の引き上げなど国民に負担を強いるメニューが次々と打ち出される中、2012年の春闘がスタートした。長引くデフレ不況に、東日本大震災やタイの大洪水、急激な円高と世界的な景気後退も加わり、経営側(経団連)は「ベースアップは論外」「賃金制度の改革による定期昇給の凍結・見直しも労使の対象になりうる」と主張している。一方、企業内失業465万人(内閣府「ミニ白書」12月)を抱える労働側も、輸出産業を中心に経営環境が厳しいことは十分に承知している。だから、自動車や電機などの有力労組はベア要求を見送っているし、その意味では、今年の春闘は経営側に分がありそうだ。
 とはいっても、企業の単年度業績だけで春闘交渉は決まるものだろうか。仮にそうであれば2000年代半ばに企業が史上最高益を更新していた時に極めて限定的にしか行なわれなかった賃上げについての説明ができない。あらためていうまでもなく賃金は、労使交渉つまり労働力の売り手と買い手の取引(意思)によって決まるが、賃金の決定要因である"生産性(支払い能力=企業内要因)"と"世間相場(生計費や労働力の需給事情=社会的要因) "自体は、複雑な諸条件の中で決まるのであって、労使の意思の及ぼす影響の度合いは限られたものにしかすぎない。はたして、経営側が主張する人件費コスト抑制の観点から定昇制度を崩壊させ、クールな労使関係に切り替えていくことが企業にとって適切かつ得策なのであろうか。

 人と経営の結びつき方
 およそ賃金はその国の労働市場の成り立ちと深いかかわりをもっている。西欧と米国と日本とでは労働市場の成り立ちが異なり、それが賃金体系のあり方を形成している。
 職種別労働市場が伝統的に形成されている西欧の場合、個人は自らの職種(職業)を定め、その職業能力を提供する形で企業と雇用契約を結ぶ。したがって西欧の労働者は職種意識が強く、賃金も社会的に横断的な労働市場で決まる。つまり職種給が基本となる。
 一方、米国では企業は職務を定めたうえで、職務に人をつける形で労働者を採用する。つまり職務記述書を明確にするで、働きの度合いと賃金とをしっかり結びつける職務給ということになる。
 そしてわが国の場合、企業と個人とは社員として結びつく。人を採用し、企業の中で色々の仕事を経験させ能力を高めて、内部で昇進、昇給していく。つまり企業内労働市場の機能が極めて強く、労働者はおのずと社員意識が強いものとなる。
 賃金を考える場合、大切なことは<人と経営の結びつきのあり方をどうするか>であり、わが国の企業内労働市場のメリット、つまり/種や職務を超えて従業員の異動が自由であり、構造変革への対応が容易である、"人が仕事を創る" というあり方が基本で、経営は創造性に富む、人と経営の連帯感が強く、労使関係は安定的で協調的である、ぜ卞皀ャリア形成が容易であり、企業内部での昇進、昇給が人材の定着と労働意欲の高揚を促進する、という点を存分に活かすことが重要である。
 成果主義人事の普及により、年齢給の廃止や習熟昇給の縮小、資格別定額制や臨時給与(賞与)による帳尻合わせが定着しつつあるが、はたして、企業内労働市場のメリットは活かされるのだろうか。

 日本の雇用慣行を活かすこれからの賃金体系
 毎年、自動的に給与が上がっていく年功賃金ではもはや企業はやっていけない。かといって、日本的労働市場や雇用慣行になじまない欧米の賃金に転換することは、これまでのメリットまで失ってしまい適切ではない。ではどうするか。それは"役割給"への転換が適切であり賢明な選択だともいえよう。役割給は、学歴とか性別とか勤続など属人的要素にこだわらず、社員としてのキャリア形成に応じて賃金を決定しようとするものである。役割給であれば、年功賃金のデメリットを排し、メリットは存分に活かすことができる。
 この役割給に成果配分賃金を付加する形(「役割給」+「成果配分賃金」)が、これからの賃金体系のメインとならざるを得ないのではないだろうか。役割給は、各人の意思と能力と適性に視点を置くキャリア基準賃金であり、人材の評価、人材の育成を通じての人材の活用を意図するものである。決して単なる学歴男女別のコース別賃金ではない。
 ただしすでに雇用形態は多様化してきている。役割給を中心にするも、それだけでは現状に対応できない。パートタイム労働や契約社員など、仕事を決めて採用する人も増えてきている。これらの労働に対しては、「職務給」が適切であることはいうまでもない。また、職種を指定して採用する派遣人材も増加している。このような専門的職種については、西欧風の「職種給」がよく合うはずである。
 労働市場の変容に即応して、人事・賃金など処遇システムを多面的に構築していくことが、これからの労使に求められてくる。それだけに、単に人件費の節約やインセンティブや賃金の水準だけを追って、春闘交渉をしていくことは決して望ましいことではない。いかに人材を育て、人材を活用することで経営のイノベーションを実現するかを念頭に置いて、新時代の人事・賃金制度をみつめていくようにしたいものである。

 ビジネス・プロセスの変革と役割給制度
 役割給の「役割」は、職能給の「職能」と同様に、無責任ないいとこ取りして、何が何やらわからなくなっているのがわが国の現状である。そこで役割、つまり責任と権限を明確にし、なぜ役割給への転換が適切であるのか確認してみることにしよう。
 まず「責任」とは、会社が期待し要求する仕事を遂行し達成することである。すなわち仕事を遂行すること=遂行責任(過程業績)、仕事を達成すること=結果責任(結果業績)である。与えられた仕事には必ず期待目標(仕事の目的)があり、結果責任は目標達成という形で具体的にその責任が問われる。
 一方「権限」とは、仕事を遂行していくために必要な力であり、その内容は権限規程に定められた審査、決裁、承認といった「公式権限」と、人・物・金・情報の経営資源を使って自己の役割を果たすための「実務権限」とに分かれる。委譲の対象になるのが後者の実務権限であり、目標や変革へのチャレンジをもって自己の役割を設定し、権限委譲をうけて仕事への当事者意識を持ちたい理由がここにある。
 この責任と権限、つまり役割を果たすために各人は行動を起こす。それがいわゆる職務であり、会社への貢献は職務(仕事)が基軸となる。但し、職務給の職務は安定した環境下での変化の少ない職務であるのに対して、役割給における職務は事業戦略を推進していく、いわばビジネス・プロセスとしての職務であり、環境の変化に即応して常に改革と見直しを前提とした創造性に富む職務(BPR)であるという、職務概念そのものに違いがある。
 わが国では「ブロードバンティング」を「あまり職務を細かく区分すると環境の変化に対応できなくなるため、等級区分を大くくりにして、職務に柔軟性をもたせる」と単純に理解している人が多い。だが本来のねらいは、「顧客の支持が得られるように、顧客の視点に立って現状のビジネス・プロセスを見直し改革していくこと」である。ビジネス・プロセスが変われば、それと連動して組織構造が変わり、組織構造が変われば新たな組織風土の醸成・定着、そして人材の育成と活用が求められてくる。こうした一連の経営革新を推進し実現するために役割給への転換が適切といえないだろうか。

 成果配分賃金(業績連動型賞与)による賃金の計画化
 リーマンショック以後の春闘の流れは、交渉前からベース・アップの断念、定期昇給の維持、賞与による帳尻合わせが定着している。しかし、成果配分賃金というのは、こうした業績賞与とは違う。業績指標である売上や利益あるいは付加価値に結びつける点については同じであるが、]使からなる委員会を作り、∀使で生産性向上の目標を設定し、L槁鍵幣紊寮源裟向上があれば、その成果については、あらかじめ労使で決められた一定の割合を労働者に還元するといった仕組みをとるのである。つまり、労働者の経営参加と協力体制のレベルアップをねらいとするものであって、単に業績結果の一部を労働者に配分するものとは異なる。
 今日の大企業労使に広がっている年間賞与協定は、夏いくら、冬いくらというように年間の額なり支給月数なりをあらかじめ決めてしまうあり方は、労使交渉に費やすエネルギーを節約するという意義はあるが、賃金決定の方法としては問題が多い。賞与は生活一時金部分と業績賞与部分の2つからなるわけで、一時金の年間支給額をあらかじめ決めるにしても、業績賞与についてはそれでは適切でない。業績によって変動する仕組みが必要であり、それでこそ業績賞与の意味がでてくるのである。したがって、業績賞与については、業績との関連で算式(総額算定方式と個人分配方式)を労使で協定すべきである。それでこそ賃金の計画化であって、単なる賃金の安定化では意義がうすい。
 賃金計画に限らず、およそ計画というのは、こうなるであろうとか、こうありたいというのではなく、こうあるためには何をどうすべきかという政策の発見にこそねらいと意味がある。
賃金計画にしても、,修侶萃蟯霆爐任△訐源裟や生計費について明確な展望をもち、△修両魴錣涼罎如賃金をどう位置づけていくか労使が共通の意思(経営革新の実現)をもち、そうした環境の中で賃金を望ましい状態に近づけていくには、生産性とか生計費にどう働きかけていけばよいかを考え、行動する仕組みをもつべきである。
 時代の要請である経営革新の主役は人である。どんなに立派な事業戦略であってもそれを実行するのは社内の個々の従業員である。その意味では、イノベーションへの投資とはすなわち人への投資でもある。イノベーションの活力を取り戻すために、改めて原点に立ち戻って春闘のあり方を再考してみることが必要ではないだろうか。
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