社員分類制度設計/人事考課制度設計/賃金制度設計/その他人事諸制度設計/研修・講演講師
成果主義を実現する人事考課
成果主義を実現する人事考課 成果主義を実現する人事考課/お問合せ
  MCO マネジメント・コンサルタント・オフィス  
TOPコンサルティング各種研修考課者研修企画見積書公開活動コラムリンク集サイトマップ
MCOサイト内を検索

■自由競争時代の企業人事(複線型人事制度)

       
2012年1月26日     未曾有の地震・津波による災害と原発事故に見舞われた2011年。時代の境目には、突然、予想もできないことが勃発するといわれるが、おそらく後から振り返えれば、明治維新や第二次大戦にも匹敵する、人々の記憶に深く刻まれる1年となるであろう。
 そして年が明けた2012年、貴方はどんな1年になると考えるだろうか。近未来小説風に現在起こっているさまざまな事象を時代の流れ(どんなに新しく見える問題にも、背景と前段があり、継続している)として捉えてみると、‥貽本大震災からの復興と福島原発事故により、国家財政はさらに深刻さを増す、∪こεな供給過剰が一層進み、TPP等の関税をかけない貿易自由化が進展する、2その財政金融危機が再燃し、国際金融市場の破綻が深刻になる。勿論、こうして予想したできごとが、そのまま現実化することは、まずありえない。しかし、時代の転換期には、ひとつが起きると、それまでバラバラに考えられていた問題が一気に連動して、社会的な大転換につながっていく。実際、前述した3つの予想は、一見別々のことに思えるが、実は密接に関連している。というよりも、「成長」から「成熟」という同じ変革の時代の側面なのだ。バブル崩壊から始まったこの変革の過程は、今や最高潮に達している。そしてようやく、この変革の後にやってくる姿が見え始めている。
 そこで新年の初めに、この激動(高齢化、国際化、成熟化、情報化)の後に来る「自由競争の時代」を鮮明にするとともに、それに対処する方法を考えてみたい。

 自由競争の概念
 日本を大変な状況にしている要因の1つは、世界的な自由競争の広がりである。これにどう対処すべきかを考えるには、まず「自由競争とは何か」を正しく知っておく必要がある。
 われわれ日本人は、現在の社会を自由経済と考え、自由競争と信じてきた。しかし、世界からは、「官僚主導の護送船団方式で、自由競争のない供給者保護社会だ」と見られている。つまり、日本は官業一体の談合社会というわけだ。その一方で、日本企業は「すぐ過当競争をする」ともいわれている。この過当競争体質と護送船団方式の官僚保護は、日本の経済構造を考えるうえで重要な鍵であるとともに、これから国際社会と協調していく場合には、この相矛盾した評価が発生する原因を、よく理解しておくことが必要である。
 抜け駆けや新規参入がきびしく制限され、企業の優劣は官僚機構によって決められる。それは官僚主導であって消費者主権ではない。したがって、真の意味での自由競争ではない。自由競争の本義は、あくまで市場原理、つまり消費者の判断によって栄枯盛衰が決まる社会である。
 新規参入が自由で消費者の選択によって盛衰が決まる自由競争の社会では、社員も流動的で、今日の社員が明日はライバル会社の管理職になることも珍しくない。組織も個人も新陳代謝が激しく、技術開発と経営刷新は大いに進む。したがって、個人にも、組織にも、創造性と個性を発揮する機会が与えられる。つまり、サービスは多様化し、ローコスト競争によって消費者の選択の幅が広がるわけだ。
 日本の官僚や経営者が、日本の業界慣行になじまない外国企業を「努力不足」と叱るが、これに対する外国企業の不満は大きい。なぜ日本的業界慣行に従わなければ競争に参加できないのか、自由競争社会の彼らには理解できないのである。

 なぜ日本はハイコスト社会なのか
 2011年の貿易収支が31年ぶりに赤字になった。東日本震災や欧州債務危機等の影響が考えられるが、このまま輸入が高止まりし、貿易赤字が定着する可能性もある。そして今、日本でも「価格破壊」が起こっている。その主因は、海外から流入してくる価格競争力を重視した消費者主権対応型商品だ。それに比べて、国内で規格化された商品は、細部の丁寧さや問題を起こさないことを重視した官僚主導の規格基準適合商品である。
 官僚的発想によれば、規制緩和の流れの中でも安全基準だけは絶対に必要だというだろう。しかし実際には、規格基準適合商品よりも"コスト対効果"を重視した消費者主権対応型商品の方が安全を達成しやすい。なぜなら事故を起こしたり欠陥商品を出したりすれば、消費者にソッポを向かれる。そのうえ、製造物責任(PL)原則によって損害賠償も巨額に上る。安全性を欠くほどコストのかかることはない。このため、供給者側の企業は慎重の上にも慎重になり、安全性の向上を図ることになるからである。
 官僚主導の規格基準主義では、コスト対効果の考え方にならないから、コストが非常につり上がる。日本の建築や道路等の建設費が欧米に比べて高い原因の1つは、ここにある。基準を合格させるためには、手間と費用が非常にかかり、また規格基準は変えにくいため、設計の自由度や新しい技術が入りにくい。
 日本は自由経済をやっている、と日本人は思ってきた。だから過当競争まで起こる、といわれていた。だが実際は、きわめて制限された範囲内での競争に過ぎない。日本的過当競争とは、官僚主導の中でのシェア競争であって、消費者を喜ばせる独創性と個性を発揮する競争ではない。日本がこれから自由競争に対応するためには、ローコスト化を強要する仕組みを社会的に取り入れ、消費者主権を確立することが必要である。

 自由競争時代を生き抜くローコスト社会
 これからの「自由競争の時代」には、国内市場にも国際競争が生じてくる。気楽にコストを価格に転嫁して収益が確保できる「聖域」はなくなる。今の官僚主導の供給者保護が続けば、優秀な国際競争力を誇る産業がこの国から消え、官僚の保護で高コスト化した駄目産業だけが残り、増税で国民の暮らしを貧困化させる、という悪循環が起こりかねない。では日本をローコスト社会するには、一体どうすればよいのか。
公共事業や教育や社会保障を含めて、社会的に<コスト+適正利潤=適正価格>という考え方から脱却しなければならない。自由競争社会の原則である<価格−利潤=コスト>という企画原価の発想に基づく仕組みへ、世の中を変えなければならない。
  官僚や技術者は常に、より高級なもの、より安全なもの、より多機能のものを追求するが、その費用は誰が、何のために支払うのか、あまり明確でない。企業も社会も競争と消費者の選択というコスト引き下げ圧力がかかるような仕組みが必要である。
  曲がったキュウリや不揃いの林檎を嫌う等の生活習慣と美意識が企業経営の中に持ち込まれると、経費は急上昇する。これもまた費用対効果、つまり最終製品の価格と販売量への影響によって判断(消費者が価値を認めなければ無駄)すべき問題である。
  集団的意思決定のための会議や書類や根回し等の手続きに膨大な費用と手間がかかっている。この問題の深刻さは、責任回避費用につながっていることだ。大胆な決断が行なわれない一方、皆が暴走する状況を招きやすい。責任と権限の明確な組織づくりが必要だ。
  社内のバランスや社員の士気とかを理由にした平等化費用は、限りなく肥大化する可能性がある。また、こうした共同体の論理はしばしばハイコスト擁護論に結びつく。
 以上述べてきたように、「いったい何のために、この費用は支払われているのか」という、目的の確認と効果の分析は、今までほとんど行なわれていなかった。企業経営においては、常にコスト対効果を考えていかなければならない。そうでないと、各部門が競って費用をかけ手間を費やして完全を期し、ひたすら自己満足と責任回避に浸る共同体的悪風が、正義面で通用することになる。

 自由競争時代の企業人事(複線型人事制度)
 国際的自由化の時代に、日本の業界が価格をつりあげていたら、海外から安価なものが入ってくる。あるいは、より安価な代替品に市場を奪われてしまう。これからの自由競争の時代には、「わが社の特色(顧客本位の最適なビジネス・プロセス=BPR)」を掲げて抜け駆けをすることが大事だ。抜け駆けの中でもっとも一般的な「わが社の特色」は、ローコスト経営である。当然、1社のローコスト経営には同業他社との競争がつきまとう。それ以外でも、特色の発揮は摩擦を生む。つまり、真の意味の自由競争に誇りを持つとすれば、同業他社との摩擦こそが栄誉でなければならない。
 ここに日本的過当競争と自由競争の違いがある。したがって、どんなライバル社が出てきてもいいように、コストの引き下げと、多様なキャリア形成ができる組織形態と組織風土、つまりローコスト体制を常に準備しておかなければならない。その際、われわれの身辺で確実に起こることの1つは、終身雇用慣行の消失である。そしてそれは、職場が全人格的に帰属すべき共同体ではありえなくなることを意味している。
 今、終身雇用が崩れだし、成果主義賃金に変わるなどといわれているが、これによって職場共同体が崩壊するという実感は、会社も社員もまだ乏しい。しかし、どのように考えようが、所詮、職場は職場、労働あるいは労働力を売って給与を受け取るギブ・アンド・テイクの関係でしかない。給与を支払うことが理にかなわなくなれば、解雇するのが当然である。そうだとすれば、職場に対して忠誠心を持つことの意味は急速に低下する。また、企業のほうでも、忠誠心を評価しなくなっていくだろう。
 では、これからの企業と個人の関係はどうなるのか。それは、忠誠心に変わる2つのことをしなければならない。1つは、「与えられる気楽さ」から「自分でキャリアを選ぶ喜び」を持つことだ。もう1つは「売れるキャリア」を形成することだ。この大きな変化の中での1つの生き方が、どこででも「売れるキャリア」を身につけること、いわば自己の市場価値を高めることだ。「売れる自分」をつくることに幸福を感じるならば、会社から要請される知識と経験を大いに蓄積する気にもなるだろう。
 
追伸:

 最近、複線型人事制度への企業の関心が高まり、小事務所への問い合わせも増えてきています。しかし、複線型人事の定義や考え方はあまり整理されておらず、中には学歴男女別のコース別人事であったり、複線型昇進制度であったりするようです。
 そこで、今月から「多様化時代の複線型人事制度Q&A解説」をホームページ上で公開することにいたしました。今回は解説ページ数(12頁)の関係から"申込み制"を採用しています。
 お申込みの方には、Q&A解説のサイト・アドレスが自動送信されますので、関心のある方は是非ご利用ください。

「複線型人事制度Q&A解説」(無料会員登録申込書)
ページトップへ
MCO 有限会社マネジメント・コンサルタント・オフィス
〒232-0036 横浜市南区山谷72-1-710 Tel:045-334-7680(代表) Fax:045-334-7681