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■多様性を競争力にする人材の活用・・・・ダイバシティ・マネジメント

       
2011年8月27日    近年の職場は、女性や非正社員をはじめ、さまざまな雇用形態や就労意識の人たちが増えてきた。先月のコラムで、これまでの男性・正社員を中心にした画一的であり同質集団としての人材管理が、現状の職場環境や働く人の実情にそぐわなくなってきていること。そして、それが「仕事力の低下」や「不機嫌な職場」を増加させている原因であることを指摘した。
 これと関連して昨年度の労働経済白書は、企業が競争力を強化するために進めた非正規雇用の拡大が、人件費コストの削減には有効でも仕事力や現場力向上による生産性の向上には結びついていないことを指摘している。引き続き平成23年度版の同白書では、それぞれの世代が生きてきた社会状況の違いが、世代ごとの働き方や就業意識に違いを生じさせている(第2章 経済社会の推移と世代ごとにみた働き方)ことを分析している。その上で、生産性を向上させるための人材開発は、長期的かつ計画的な視野を持ってキャリア形成を行っていくことの必要性を強調している。
 そこで新たなマネジメント環境のなか、企業(組織)を持続的に成長させていくための人材マネジメントとは、一体どうあるべきなのか。最近、耳にする機会が多くなった、ダイバシティ・マネジメントについて考えてみたい。

 ダイバシティ・マネジメントとは
 ダイバシティ・マネジメントとは、ー勸個々の違い、すなわち多様性を認め、それを活かしていくことである(ダイバーシティ=多様性)。また、それによって同質集団では実現することができなかった、新たな発想や価値を創造していくこと(イノベーション=革新)。さらに、1人ひとりが自分らしく活動に参加し、貢献していると感じることができること(インクルージョン=多様性の受容)の3つがマネジメントの要諦となる。
 しかし、多種多様な人材を採用し、それぞれが自分らしくということで勝手に行動したら、かえって仕事の質や生産性を低下させることにはならないのか。そこに、多様な人材をマネジメント(管理や統制といったことより、個々の能力や協力を引き出すという意味)するための仕組み(制度)や環境を整備(風土)することの必要性がある。
 すでに多くの職場が従来の男性・正社員という単一の属性と雇用形態だけでなく、女性、再雇用の高齢者、障害者、外国人社員や契約社員、派遣社員といった多様な属性と雇用形態の人で構成されている。職場の管理・監督者には、こうした多様な人材を束ね、日常の業務を遂行していくことが求められているが、そのための教育訓練は行われず、試行錯誤の状態が不機嫌な職場を生み出す原因となっている。
 市場のグローバル化、女性の社会進出、少子化による労働人口の減少といった新しい環境変化の中で、日本企業は好むと好まざるとにかかわらず、「個人や集団のさまざまな違いは価値」という前提を組織全体で共有し、これを競争力の原動力として活かす組織・人材戦略へと転換せざるを得ない状況の中にある。

 目的と手段の2つのダイバシティ・マネジメント
 現在、ダイバシティ・マネジメントに取り組んでいる企業は、大きく2つに分けられる。その1つは、1999年の改正男女雇用機会均等法(募集、採用、配置・昇進、教育訓練等の差別禁止規定)や2005年の次世代育成支援対策推進法(ワークライフ・バランス)、育児・介護休業法の改正など、社会的要請(企業の社会的責任)へ対処するために取り組んでいる企業である。
 子育てや介護等による女性社員の離職抑制や男女間格差を是正するための女性管理職への登用など、労働法令を遵守し一層推進することで企業イメージをよくすることができる。また、金銭以外の個人のライフ・スタイルに合致した環境を提供することで、優秀な人材を社内にとどめる(確保)ことができるというのが、取り組みへの動機づけとなっている。
 もう1つは、女性に限らず多様なプロフィールを持つ人材の視点や能力を引出して企業価値の創造、すなわち新しい市場機会を作り出すためのイノベーションを起こすための手段としてダイバシティ・マネジメントに取り組む企業である。
 つまり、他社との差別化を図るための組織・人材戦略として、多様な価値観やスキルなどの違いに着目し、それを積極的に活用することで、競争優位の源泉として構築していくための取り組みを行なうのだ。
 前者の社会的要請への対処にとどまる企業の場合は、対象を女性に限定し育児支援制度の完備や女性の活用推進等が主な施策である。しかし、これらを完備しても能力のある女性社員がやめていくことを耳にすると、その効果は極めて限定的といわざるを得ない。誰でも程度の差はあれ、プライドもあれば見栄もあり、恥ということも知っている。女性であることを理由に、餌を与えられたからといって無定見に尻尾を振るほど単純ではないのだ。

 企業の意思によるダイバシティ・マネジメント
 ではどうしたらよいだろうか。それを解く鍵が「自分が貢献していると感じることができること(インクルージョン)」である。女性社員が長く働き続けることを支援することは大切だが、それだけでなく男性とは違った視点や能力を引き出し業績に結びつけていくことである。そして、上司や周りの同僚がその業績を認め、讃えていくことだ。ただし、その対象には女性だけでなく、従来は戦力外とみなされていた、障害のある者、高齢者、あるいは男性でも従来とは異なるライフ・スタイルやキャリア形成を求める者など、より多様な対象を視野に入れて施策を進めていくことである。
 問題は多様な人材を組織の中に取り込むといった場合、どういう違いに注目して人材の区分をしたらよいかである。前述した、性別や身体障害の有無だけでよいのか。
 多様性には、目で見て違いが分かる「表層的な」ダイバシティと働き方や価値観、経験など、外から見ただけでは違いが分からない「深層的な」ダイバシティの2つの次元がある。例えば、パナソニックは、家電製品の商品開発に女性社員の視点を活かしてヒット商品を生み出しているそうだが、こうしたマーケテイング効果をねらいとする場合は、表層的ダイバシティの方が高い効果が期待できる。一方、深層的ダイバシティの場合は、働く人たちにゆっくり浸透して影響を与えていくことから、プロダクトイノベーションやプロセスイノベーションに向いている。この2つの次元のダイバシティを混同すると期待する効果は得られない。まず自社の事業戦略(どのような顧客に対して、どんな商品を、どのような仕組みで提供していくのか)を明確にし、それに沿って人材の育成と活用のためのセグメンテーション、つまり人材群や職群の編成と複線型人事制度の導入が必要になってくる。

 すでに多様化している組織への対応
 非正社員の増加や新卒採用を控えたことで、企業の年齢構成はいびつになり、すでに多くの企業で多様化が進んでいる。この人材の多様性をコスト削減にとどめず、製品開発や業務改革などのイノベーションに結びつけていくにはどうしたらよいのか。
 まず、さまざまな価値観の人が集まれば、意見・感情・利害の衝突(コンフリクト)が起きる。それを解消して、独創性、合理性、整合性のある戦略・施策づくりを進めていくには、"議論を尽くす"ことである。議論を戦わせることからイノベーションが生まれる。リーダーはそうした可能性の芽を摘まないよう「議論を尽くすことを善しとする価値観(聖域やタブー等の排除)」を組織の中に植えつけることである。
 2番目は、コミュニケーション・ギャップである。仕事を分担し、共通の目標の達成にあたるためには、コミュニケーションの力を借りなければならない。視点を異にする相手の話によく耳を傾け、自分や自部門に対する反対意見であっても、それをうまく取り入れる。お互いの意見を戦わせることで、直面する問題の所在、本質・構造が明らかになる。「あうんの呼吸」や「けしからん主義」で議論を封じ込めるような組織運営では、イノベーションを起こすことは難しい。
 3番目は、既存の社員をどのように納得させるかである。ダイバシティを活用するためには、既存の組織を変革しなければならず、配置やキャリア形成の上で不利益を被る人が出てくる。特に、コア人材である男性・正社員の不利益を可能な限り回避しながら、組織全体としてどう成果をあげていくか。そこが、一番難しいところだ。ポイントは、それぞれの意思と能力と適性に応じて選択できることだ。
 ダイバシティ・マネジメントで成果をあげている企業に共通するのは、こうしたマイナスの影響を軽減するための基盤の整備がなされていることだ。目標や情報を共有するしくみだけでなく、意思決定の基準やコミュニケーションプロセス、権限委譲、人事考課といったマネジメントプロセスを変革する。組織を変えずに多様性だけを取り込んでも、その利益を享受することはできないのである。
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