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■多様化時代の人材育成・・・・9プロセス・マネジメントと人材育成

       
2011年7月6日    企業が人の集まりである以上、そこには必ず人にかかわる大小の経営課題がある。顧客ニーズを満足させるための新製品開発も、新興国の市場開拓も所詮それを実行するのは人である。それゆえ優良企業といわれる組織はほぼ例外なく、独自のビジョンで人材を育成し、またそのための仕組みを構築してきた。なぜなら、人材の育成は他の企業が模倣しにくい、長期的な競争力の源泉となるからである。
 しかし、残念なことに長期雇用を前提にした、わが国の人材育成の基盤が揺らいでいる。
具体的には、職場環境の変化(多様な雇用形態や組織のフラット化等)によるO.J.Tの機能不全であり、人材育成の促進機会である仕事経験の減少、短期的な成果主義による組織と個人のドライな関係などである。そのため、「人材育成の強化」を経営課題として挙げている企業は51.1%と過半数に上る(日本生産性本部10年8月調査結果)。そして今、日本企業は新しい人材マネジメントの再構築が求められている。

 求められるO.J.T再生とキャリア形成
 これまで日本企業の人材育成は、O.J.T(On the Job Training)を基盤に、Off.J.Tと自己啓発がこれを補完するという現場教育に依存してきた。O.J.Tは「やって見せ」「やらせてみて」「フォロー」するという3つのプロセスを経て、「変化と異常への対応能力(仕事の改善)を高め、他社との差別化(競争優位の確保)を図る」という大きな役割を果たしてきた。しかしバブル崩壊から20年、このO.J.Tの3つのプロセスを実践するのが困難になってきている。その背景には、成果主義の浸透や人件費削減による人員不足、非正社員の増加など、さまざまな要因が考えられるが、結果、指導者の不在、コミュニケーション不足といった職場が増加している。つまり、O.J.Tが機能する職場環境が失われたのである。
 では、O.J.Tが機能する職場環境を再生するには、一体どうしたらよいのか。それは、職場管理者の育成スキル(リーダーシップ能力)を開発する、コミュニケーション能力を強化するなどである。なかでも重要なのは「責任(報告)と権限(裁量)を明確にし、自由に部下にやらせてみる」という権限の委譲と、それを可能にする参加型(上司と部下が納得と合意によって)の職場運営の確立である。
 もう1つ、O.J.Tが機能する職場環境の再生も大切だが、1つの仕事を覚えるだけでは人は育たない。例えば、高度成長時代は新たな仕事が社員に数多く与えられ、会社の成長自体が人材育成システムの役割を果たしていた。業務が急拡大したため、潜在能力が高いと思われる人材に仕事を割りあてるしかなく、これが人材育成の機会を提供していたのだ。だが、今では企業成長が鈍化し、個人にとっての成長機会が少なくなるだけではなく、多くの企業が戦略として、本業への回帰の"選択と集中"を採用するようになった。その結果、新しい仕事が生まれにくくなり、また、生まれてきた仕事は確実に成果を出せるベテランに任されるようになった。しかし、こうした時代だからこそ、企業は将来を見据えた育成の機会を提供し続けなくてはならない。
 具体的には、ビジネスモデルや戦略をもとに、企業が社員に期待し求める人材像(仕事像と能力像)を明らかにし、人材の多元的管理(企業の求める人材は多様化している)を進めるための複線型キャリアプログラムを用意することである。そして、これに沿って各人に選択させ、自らの意思と適性と能力に応じた育成と活用を進めていくことである。

 多様化時代の複線型人事制度
 従来の、学歴とか性別といった年功基準による区分人事は、もはやその有意性を喪失した。そして、新たな人材区分基準は、各人の意思と適性と能力ということになる。意思と適性と能力を無視しては、個人を組織に埋没させることになり、各人の自己充足、自己主張を弱いものとし、組織からの離脱を促進することになりかねない。人材の活用は、経営側にとっては経営力の強化、労働側にとっては生涯労働の充足という意義をもつが、意思と適性と能力に応じた人材の活用であってこそ、その両面の意義を十分なものにすることができる。
 今後、働く人のキャリア意識が高まるにつれて、育成システムに求められるものも、企業主導の育成を一方的に行うための仕組みというより、むしろ働く人のキャリア意欲を受け止め、将来に対する不安を解消し、自分の意志で自分の能力を高めることのできる仕組みとなるだろう。ただ、その中で企業は経営戦略上必要な人材を同時に確保しなくてはならず、そのバランスが難しくなってくる。人事制度の仕組みということでは、これまで多くの企業で採用されていた職能資格制度がある。能力の有効活用をはかるという意味では、一定のキャリア形成のインセンティブをもつが、運用面で活力を失っているケースが目につく。それは、個々人に対する職務基準(期待し要求する仕事像)、職能要件(期待し要求する能力像)の設定が状況(その場所、その人に応じて)に応じて適正にかつ、明確に行なわれていないことが最大の原因となっている。その結果、評価基準が曖昧で、人材の育成に役立たないのが弱点だ。また、多くの企業で組織階層と賃金上昇カーブのフラット化が進み、昇進や昇給などのインセンティブを企業が社員に提供しづらくなっている。
 そこで、具体的で明確な将来の進路選択コースを提示し、それと報酬を結びつけることで、自律的な能力開発を支援する仕組み(複線型人事制度)が必要になってきたのである。
この制度は人材群(総合職、一般職など)または職群(管理職、専門職など)を設定し、意思と適性と能力でそのいずれかを選択し、生涯ベースでキャリア形成を続けていくためのコース別プログラムである。

 人材情報としての人事考課の体系整備
 O.J.Tの再生や自律的なキャリア目標となる期待人材像の提示、そして各社員の意思と適性と能力に応じて将来の自己の進路選択ができる複線型人事の確実な運用、これが今後の人材育成が目指すべき方向である。しかし、その実現にあたって、解決しなければならない大きな問題がある。それは、人材情報としての人事考課の整備である。人事考課を確実なものにしていくためには、労使関係の協議精神とか、公開の姿勢であるとか、上司と部下との間における面接の制度化とか、適切なジョブローテーションとか、いろいろの人事制度が体系的に、しかも相互に関連をもって導入され、そしてそれがトップから新入社員まで、十分に理解され、浸透されていることが要求される。
 ちょっと何かいい本を読んで、「これはいける」ということで会社に導入する。1〜2年もたつと形骸化してしまう。こうした企業をよくみるが、これでは何にもならない。相互に関連がないばかりか、長い立場での人事制度の改善ははかれない。そのような企業に人材が育つはずがないではないか。長期的な形の中で、人材育成計画(キャリア形成)が設定され、その一貫として人事考課も展開されていく。このような形で人事考課が行なわれるなら、それはそれだけで大きな効果を持つ。思いつきで、バラバラの人事制度を、部分的に近代化するから、人事考課への不満となるのである。
 現に、短期的な成果主義人事の導入により、人材情報が結果業績や成果などに限定され、人事に個人の情報が集まらなくなってきている。また、人員削減により、各部門が人材を外に出すことを拒むだけではなく、人材に関する情報を秘匿し、人事部門による現場からの情報収集の機会が減っている。
 しかし、仕事に加え、人の側面までも含んだ個人情報が人材育成には欠かせない。例えば、キャリア意識の高い社員なら、その人の目標や価値観、プライドの源泉なども重要な人材情報となる。なにより、丁寧な人材観察とそれに基づく人材の活用は、より効果的な人材育成に必須なのである。

 コラムのまとめにあたり、人材育成はコストがかかり、しかも長期でないと成果が出ない。それだけに「なぜ、人材育成が企業にとって大切なのか」明確にしておく必要がある。コラムの冒頭で述べたように、従来の人材育成は長期的な競争力の源泉、つまり会社の利益の向上を目標としていた。しかし、短期的な利益志向で費用対効果だけを考えれば、人材育成はコスト削減の対象となる。
 MCOの成果主義では、人材育成を"成果の定義"の1つに設定している。その理由は、人材を育成し職場を活性化することで、企業変革を促進することを重視しているからである。企業の業績を継続的に向上していくためには、世の中の変化にあわせて組織力を強化し、人材を育成していくことが必要かつ十分条件と考えるからである。
 小事務所のホームページ「現場力を高める職場の活性化(9プロセス・マネジメント)」には、連日、多くの訪問者を頂いているが、今月から「職場を活性化する9プロセス・マネジメントと人材育成」の掲載を始めた。興味のある方は、是非訪問し、コラムの参考にしていただきたい。
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