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■2011年企業トップの念頭挨拶から・・・変革の落とし穴

       
2011年1月28日    多くの企業で仕事始めとなった4日、各社のトップが新年のあいさつを行った。円高や欧米景気の停滞など逆風下の中での念頭挨拶は、「変革」を求める内容が目立っていた。改善や改革ではなく変革という言葉を使っている経営トップが多かった。その概要は「新たなビジネスモデルやビジネスプロセスを構築し、それに関わる人の参画と関与を促してヤル気を引出し、会社を再び成長軌道にのせていこう」という内容だ。変革=旧来の陋習(ろうしゅう:事業)を打破するという意味だが、新しい道を切り拓いていこうとする場合の事業展開上の選択肢には、大きく分けると、々馥盪埔譴妊灰◆Ε咼献優垢鮹羶瓦砲靴心存事業の新たな事業展開、⊃卦事業分野で第2、第3のコア・ビジネスの展開、3こ飴埔譴妊灰◆Ε咼献優垢鮖呂瓩箸垢覺存事業の展開、の3つがある。勿論、これらの選択肢を組み合わせることも可能である。
 しかし、こうした選択肢には、実際に展開していく上での落とし穴(リスク)が潜んでいる。そこで、それぞれの選択肢にはどのような落とし穴が待ち構えているのか確認してみることにする。

 既存事業の再生における落とし穴
 まず、国内市場でコア・ビジネスを中心にした既存事業で新たな事業展開をしていく場合の問題点から整理してみよう。この選択肢の落とし穴は、既存事業の戦略の延長線上で新しい事業分野を展開していく場合に待ち受けている。すなわち、新規事業の展開にあたって組織が一体感を持って、持続的に成長していくためには、ステークホルダーに対して共通認識が得られるよう自社の事業領域(事業展開上のこだわりや事業コンセプト)について再定義し、今後の進むべき方向や提供する商品やサービス等の価値を社内外に明示する必要がある。なぜなら、独創的な事業の再定義は、経営環境の構造的変化や差別化の機会を提供してくれるからである。したがって、自社の事業をどのように定義するかは競争優位を確立するための出発点となる。
 事業という概念がいかに重要であるかは、例えば米国鉄道業界の例を見てみればよい。かつて、米国の主な輸送手段は鉄道であった。その後、鉄道からトラックへ輸送手段が転換しても、鉄道業界の人たちは自分たちの製品にこだわり「輸送事業」であると定義せずに、「鉄道事業」であると定義した。そのため、トラックの全盛時代を迎えてあえなく衰退したのである(「マーケティング近視眼」1960年 ハーバード・ビジネス・スクール:レビット教授の論文より)。今日、再び企業を生き返らせ、活性化するには、まず何よりも企業という組織が行なう事業を正確に把握し直すことが必要である。
 この米国鉄道業界の事例は、事業の定義の重要性を示している。組織が行なう事業の定義が時代の要請(顧客ニーズ)に適合的であるか否かが、組織の生死を決定するといってもよい。事業の定義は時代と共に変わるということ、誤った定義は組織をダメにするということ、お客様を大事にせず、独占にあぐらをかいた事業はいずれつぶれるということ、をよく理解しておく必要がある 。

 新規事業展開上の落とし穴
 次に、新規事業分野への進出により新たなコア・ビジネスの確立を目指す場合に企業が陥りやすい罠は、事業審査(フィジビリティ・スタディ)基準に潜んでいる。企業が新たな成長を目指して新規事業に打って出るのだから、進出先は\長市場分野であること、経営資源の活用の面でシナジー(相乗)効果が期待できること、新規事業とはいっても、同業他社がすでに進出しているか、あるいは進出が予定されていること、の3つの条件を満たしているかが重視される。
 簡単にいえば、既存の成長分野への追随参入である。すでに実績のある先行者のノウハウがあり、試行錯誤に費やすロスは少ない。成長市場だから競業の影響も少ないはずだ。要は新規事業に進出するリスクが極めて小さいからだ。本当にそうだろうか。
 まず「成長市場分野」という条件については、少しでも魅力のある成長分野には誰もが目をつけ、次々に追随する企業があらわれ、過当競争状態が最も生じやすい。その結果、たちまちのうちに優勝劣敗、あるいは共倒れの現実が繰り広げられることが予想される。ローリスク・ローリターンの原則に照らせば、これは当たり前の話なのだ。こうした事態を考えれば、大半の成長市場分野は実は魅力のない事業分野であるといわざるを得ない。
 次の「シナジー効果」については、事業の企画段階で期待していた、例えば、既存事業の販売チャネルが活用できる、あるいは顧客ベースが活用できるといった相乗効果が、実際に新規事業を展開してみると、全くあてが外れたということは、多くの企業でこれまで経験しているはずである。そもそもシナジー効果は、事前検証が極めて困難であり、言葉が持つもっともらし響きが思考を麻痺させてしまうのである。
 3番目の「同業他社の進出」については、新規分野を検討する際に、同業他社への対抗上やむを得ずといったことで、正当化される場合もあり得る。しかし、実際には他社も進出するからわが社もといった、"成長市場行きのバスに乗り遅れるな"のムードで新規参入するケースが多いことも確かである。
 将来の企業の柱となるような、収益性の高い新規事業分野に進出しようとすれば、他社が敬遠するハイリスクに挑戦するほかない。不可知な要素が多く、しかも、追随者がすぐには現れないような分野である。しかし、ここでは市場の成長性などの客観的な条件をいくら分析しても、進出か否かの判断の決め手にはならない。だからこそ、何か1つ、挑戦的な組織風土や強力な販売力といった、自社独自の超一流の「武器」を作りあげるほかはない。

 海外市場での事業展開の落とし穴
 最後に、企業が既存事業を海外市場で展開していく際に考慮すべき問題点は、海外進出先の比較優位が短期間に大きく変動するということである。2008年の国際協力銀行の「海外直接投資アンケート(2006年調査)」によると、日本企業の海外生産比率は1988年の約1割から、この20年弱で3割強にまで増加してきている。企業が海外進出・多国籍化する理由として、貿易摩擦への対応や成長市場であれば輸送コスト・時間の削減や現地の流通チャンネルへのアクセスなどが考えられる。しかし、問題は国内よりも低コストで生産できるという理由で、生産拠点や調達先を海外シフトするという施策を講じた場合である。 
 一般的に発展途上国と先進国の国際貿易は、途上国から先進国への利益の移転であると同時に、先進国から途上国への雇用機会の移転と理解されている。実際にこれまでは、中国は国際貿易ではそれほど大きな利益を享受していないが、国内の輸出製造業でたくさんの雇用機会をつくった。雇用機会が拡大すれば、次は賃金の要求である。多くの日本企業が進出している中国の法律と治安条例では、労働者のストライキが禁止されているが、昨年、ホンダなど中国に進出している日系企業でストライキが発生し、24%の賃金上昇が決まったそうだ。賃金ベースがもともと低い中国で、この24%と言う数字は、決して中国を生産拠点にするメリットが消し飛ぶという数字ではないが、これが今後の中国生産コストの増大の第一歩となる事は目に見えている。となれば当然に、中国での生産を見直す動きもでてくることが予想され、すでにベトナムに生産拠点が移転されつつあるという声も聞かれている。生産コストの優位性だけを求めて海外進出した企業は、中国からベトナムへと拠点を頻繁にシフトしていかざるを得ない事態を強いられることになる。なぜなら、こうした海外進出は環境変化に対して事後的に対処しているからである。
 こうした状況から脱するためには、前述した既存事業の国内市場における事業の再定義による新展開、または新規分野進出による新たなコア・ビジネスの基盤の確立のいずれか、あるいは双方の取組が必要になる。

 企業の成長を左右する人材の育成
 経営環境が構造的に変化している今の時代、会社の決算書だけを見ていたのでは、企業の真の実力は把握できなくなってきている。今は膨大な資産を持つ優良企業であっても、それだけでは、激しい変化の時代に、今後も優良企業であり続ける保障はない。だからこそ、大企業といえども経営トップが念頭挨拶で成長分野への進出を呼びかけているのだ。それでは、変革を成功させ、再び企業を成長軌道にのせていくにはどうすればよいか。
 企業の成長を実現する上で最も大きな役割を果たしているのは「社風」や、それを醸成する「人間」の質である。なぜなら、どんなに優れた技術や強力な販売も煎じ詰めれば人間がすることだからだ。近年、成果主義人事の普及・強化と共に企業の研修、とりわけ管理者を対象とした研修が減少しつつある。結果の成果が強調・重視されればされるほど、もともと目に見えない成果を重視しようというのは無理な話かもしれない。だが成果の源泉である人材の育成を怠っていては、時代に取り残されるばかりだ。ではその人材育成の"秘法"を訪問者だけにコッソリいくつか教えよう。
 












部下の自由な発言のすすめ=会社訪問時や社内会議等で、上司の発言比率が多い会社は要注意だ。上司と部下との面接でも同様だが、発言率は上司が4割、部下6割をもって適正とする。つまり、発言比率でわかるのは、その会社がどれだけ現場の意見を尊重しているかである。下から自由な発想や建設的な意見が出やすい企業ほど、人が育って変革は容易である。
女性社員の有効活用のすすめ=老若男女を問わず、社員に楽しく働いてもらえば、生産性は上がる。現場への権限委譲が必要なことを説く経営者は多いが、責任ある仕事が与えられなければ、当然本人も面白くない。人使いの上手な会社→伸びる会社、活気ある会社→高い給料の会社→ヤル気を漲らせる仕組みである。
謙虚さのすすめ=会社の成長と共に社員が自信を持つことは結構だが、その態度が高慢になってきたら要注意だ。取引先や協力会社等の造反など、思いがけないことから企業の成長にブレーキがかかる危険性がでてくる。
若手の独創性と感性の発揮のすすめ=日本の企業に求められているのは、独創性や創造性である。それを発揮するのは若い世代である。果たして、貴方の会社の若い世代にそうした資質があるかどうか。あるとするなら、それを育てるために何をしなければならないかが問題になるはずだ。そのコツは、長所を伸ばせるような体制を作ることだ。それができた企業こそが、変革を実現できる会社なのだ。

 個人と会社がドライな関係になった今、愛社精神や帰属意識は強制して生まれてくるものではないだろう。経営者を始めそうした言葉を口にすべき時代ではないのだ。仕事にやり甲斐がもて、個人の生活が豊かになれば、社員は自然と会社を大事にし、成長もするものなのである。問題はそのための環境をどう整えるのか、それが企業変革の大きなテーマとなる。
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