社員分類制度設計/人事考課制度設計/賃金制度設計/その他人事諸制度設計/研修・講演講師
成果主義を実現する人事考課
成果主義を実現する人事考課 成果主義を実現する人事考課/お問合せ
  MCO マネジメント・コンサルタント・オフィス  
TOPコンサルティング各種研修考課者研修企画見積書公開活動コラムリンク集サイトマップ
MCOサイト内を検索

■日本型目標管理(MBO)と人事考課・・・目標連動型評価は業績に寄与するか

       
2010年7月8日    成果主義人事の修正によるのか、目標管理(MBO)の導入率が2004年をピーク(77%)に頭打ち傾向にある。労務行政研究所が今年の1月に実施した調査(2010年5月14日「労政時報」)によると制度導入率は73.8%、そのうち処遇への反映は「直接反映」が59.0%、「間接的反映」が35.4%だそうだ。
 また、 労務行政研究所の目標管理制度に関する過去のアンケート調査でも「制度がうまく運営できている」とした企業はわずか36%に留まり、6割の企業が「目標達成と処遇の関係があいまい」だと回答している 。また、産能大学の調査(「目標による管理」実態調査報告書,2000年9月実施)をみても、『目標による管理』を推進する上でネックとなる項目について、管理監督者層の能力(54.9%)、成果の評価(53.2%)、目標設定(52.1%)、業績評価と処遇への反映(42.3%)、経営方針や戦略との連動(21.6%)が指摘されている。
 目標管理の本家である米国では、60年代から「昇給や昇進などの処遇に結びつけた目標管理は成功しない」ことが共通認識となっている。それにもかかわらず、なぜ日本の企業では重要な制度と考えられているのだろうか。

1. 目標管理(MBO)の誕生とその背景
 目標管理は代表的なマネジメント・サイクルの1つである。マネジメント・サイクルは、ファイヨールやクーンツに代表される管理過程論の中から生まれてきたもので、管理のプロセスを個々の働きの循環過程としてとらえようとした考え方である。
 この考え方は、1920年〜50年ごろに起こったものであるが、例えば、ある目的を達成するために人が組織をつくり、その組織に人が集まれば、そこにはおのずと指揮する者と指揮される者とに分かれる。指揮する者は組織の目的を効果的に達成するために、〇纏の進め方を計画し(計画化)、各人に仕事を割り当て(組織化)、仕事を遂行するための命令や指導を行い(命令・動機づけ)、た觜垈當で、各人の仕事の調整を行い(調整)、セ纏の結果を評価する(評価・統制)―といったマネジメント・サイクルを繰り返すことになる。
 組織は「仕事」と「人」によって構成され、組織の目標を効果的に達成するためには、仕事と人間のいずれを重視したアプローチを行うべきか、以前からさまざまな研究が行われてきた。その1つが、「仕事を中心にした管理」である。これは、F.W.テーラーの科学的管理法の流れをくむ伝統的管理方法であり、仕事のやり方を定めてしまいさえすれば、能率は向上するといった考え方である。もう1つは、「人間中心の管理」であり、メイヨーなどによって始められたホーソン実験に基づく人間関係的管理方法である。個人の感情や人々の諸関係など、人間を満足さることによって、仕事の業績を向上させようとする考え方である。
 その後、仕事を重視する伝統的管理の方法はホーソン実験の結果によって、必ずしも仕事の成果に結びつかないことが判明し、また人間関係的管理方法もミシガン大学の心理学者の実験により、モラールと業績との間には相関関係のないことが明らかになった。そして、ドラッカー(「現代の経営」1954年)やマグレガー(「企業の人間的側面1960年)およびシュレイ(「結果による経営」1961年)によって、経営トップから末端の個人に至るまで一貫した目標体系を持つことによって、個々人が目標を達成すれば、経営目標も達成されることになり、その結果、組織が欲する業績と個人の満足感の両方を充足させられる管理方法として目標管理が誕生した。つまり、本人に目標をつくらせ、その目標を自分の思うとおりの方法でやらせ、目標を達成することで、経営が期待する業績と個人の満足感の両方を満すことができるといった考え方である。

. 目標管理の基本的考え方とねらい
 それまでの管理方式と目標管理が基本的に異なる点を整理すると、以下の3点である。
 第1に、目標管理は人間尊重の管理方法である。勤労意欲を向上するために、自分で目標をつくらせ、自由裁量の余地を大きくして、目標達成のために必要な行動を自ら決定させ、その行動結果(成果)を自分で評価する方法、いわゆる自己統制による方法を採用している。
 第2に、成果中心の管理である。伝統的管理のように、仕事を遂行する過程での手続きや方法の完璧さ、あるいは仕事振りの真面目さなど、形式や要領のよさを重視するのではなく、目標達成に向かって努力し、その遂行した仕事の結果が、どの程度であったかという仕事の成果を重視する。
 第3は、総合的なマネジメントを目指しているという点である。組織は、仕事と人間の両面を持っているので、人間中心的管理あるいは仕事中心的管理では、組織を維持し発展させるための真の問題解決とはなりえない。両者を統合した総合的な管理を行うことによって、組織も人間も満足させることができる、最も創造的かつ民主的組織活動を行うことを指向している。
 以上が目標管理の基本的考え方であるが、第1の視点は「人」に対する考え方であり、第2の視点は「仕事」に対する考え方を示している。そして、何より大切なのは第3の視点である。つまり、「仕事」と「人」を統合することが重要であって、いずれか一方に偏ったアプローチでは、企業の業績向上と人間の能力伸長という期待する成果は得られないということである。
 具体的には、目標管理の展開にあたってはトップから個人まで目標が体系化されていることを重視する。まず経営トップが全体目標と方針を定め、全体目標に連鎖させながら下位の組織目標が順次に設定されていく。その過程で重要なことは、リーダーシップがもつ「目標達成機能(目標のブレークダウン)」と「集団維持機能(主体的な貢献を引き出す)」の2つが有効に機能しているかどうかが問われる。つまり、管理者のリーダーシップ力とコミュニケーション力の2つがどの程度に発揮できているかで、目標管理の成否が決定づけられるのである。

3.わが国の目標管理の問題点
 わが国の成果主義人事、とりわけ業績評価制度としての目標管理は、集団維持機能を重視し、目標達成機能は軽視している傾向がみられる。つまり、組織目標の落とし込みや方針の設定、メンバーへの役割分担や動機づけ、内外関係者への働きかけといった目標達成機能にはあまり活用されていない(目標のノルマ化)。目標という概念は、本来、上司が部下に一方的に与えるのではなく、本人がやろう、やりたいという個人の欲求から生まれでた、欲求充足行動の標的が目標なのである。したがって、本人の所有感の裏づけのない目標というものは存在しないのである。部下が目標を押しつけられたと受け取れば、部下にとってはそれはノルマでしかない。
 また、数値的な最終成果と達成期日は提示されても、目標を達成するにはどの仕事を通じて、どのように目標を達成していくか、上司のサポートはなく個人が自ら考えなければならない「部下への目標の丸投げ」といった状態にある(結果責任の割振り)。
 実は、この“どのように”という職務遂行基準が目標達成の決め手となり、部下の育成上極めて重要な意義をもつ。部下の育成の必要上に応じて、1つひとつの課業や目標について遂行基準を明確にしていく。遂行基準が適正なものであれば、部下は正しい仕事の方法をより早く身につけていくことになるし、成長にとって好ましい経験を積み上げていくことになる。
 さらに、目標連動型評価制度に代表されるように、評価の基準が数値目標やその達成度におかれている場合には、評価と処遇について部下の理解・納得を得ることは難しくなる。なぜなら、当初設定された目標自体が妥当だったかどうか、あるいは職種や部門の違いによる異なる目標で公正な比較評価が可能かどうかなど、評価に対する疑問が残るからである。少なくとも人事考課という限りは、個人の努力や職務遂行行動などの評価基準と、期待される成果・業績との間に一定の因果関係が成立していることが前提である。つまり、会社(上司)の期待通りあるいはそれ以上に努力して仕事を遂行しても、期待通りの成果が得られないということであれば、人事考課そのものが成立しないことになる。この点は、米国の実務家にも疑問視され、目標連動型評価を廃して執務行動尺度を使った業績評価に代替する動きとなって現われている。
 いずれにしろ、米国でもシュレイによるMBR(「結果のわりつけによる経営」上野一郎訳)が出てきて、1980年代には目標管理の導入はかなり進んだが、同時に疑問視され、破綻をきたしている。そして近年の目標管理は、業績を向上させ、仕事の方向性を調整するために、個人の目標設定に基づく目標管理へと修正が加えられている。(業績評価は、仕事の改善などの目標達成にむけたパフォーマンスを評価の対象とする企業が多くなってきている。)
 新しい時代のマネジメント体制(9プロセス・マネジメント)と人事考課(人事考課)については、弊社ホームページへの訪問をいただきたい。
ページトップへ
MCO 有限会社マネジメント・コンサルタント・オフィス
〒232-0036 横浜市南区山谷72-1-710 Tel:045-334-7680(代表) Fax:045-334-7681