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■考課者訓練・・・よい考課者はよい管理者である

       
2010年5月27日    ゴールデンウィークから続いた初夏を感じさせる気候の中、愛知県小牧市に本社を置く企業の考課者訓練を2週にわたって行なってきた。濃尾平野のほぼ中心に位置する小牧市のシンボルは標高86Mの小牧山。この小牧山は「桶狭間の戦い(1560年)」に勝利したのち、美濃国の併呑を目指す織田信長によって築城(1563年)され、「本能寺の変」のあとは後継者を争う豊臣秀吉と徳川家康の間で繰りひろげられた「小牧・長久手の合戦」でその名を歴史にとどめている。現在では山全体が公園になっており、山頂には小牧市歴史館が建てられ、考課者訓練で訪れた時はちょうど桜が満開であった。
 今回の考課者訓練を実施した企業は、この4月から職能等級制度と職能給(一般職)、業績給(管理職)を新たに導入している。新制度移行の今年は、各人の職能等級は仮格付けとし、新賃金テーブルによる昇給は来年1月からの実施を予定している。したがって、今年12月までは新制度への移行期間とし、この間に職場マネジメント力(特に人材育成=現場力の強化)の向上と人事考課制度の充実をはかることを目的に、今回の考課者訓練が企画された。

 能力主義人事考課の基本的理解
 従業員一人ひとりの仕事に取り組む姿勢(執務態度)やものの考え方(職務遂行能力)が、仕事の結果(業績)を大きく左右したり、重大な影響を及ぼすことはいうまでもない。つまり、一人ひとりの働きぶりによって、仕事の成果はどうにでもなるだけに、これを無視することはできない。このことは、部下だけでなく上司と部下のかかわり方に関係する問題でもある。
 例えば、上司と部下が出勤時に取り交わす言葉ひとつによって、部下は活き活きと仕事に打ち込みもするが、そのときの上司の対応によっては、仕事を義務的にしかやらないことだってある。日常の関係においてさえこうであるから、これが仕事を与え、目標を設定したり、仕事の遂行場面で指導(O.J.T)をしたり、その結果を評価し本人にフィードバックするといった局面においては、ますますその関係のあり方は難しくなるとともに、重要になってくる。
 また、わが国の多くの企業で取り入れられている職能等級制度のねらいとするところは、企業が各従業員に対して期待し要求する人材像(目標像)と各人とのギャップをなくすために能力を開発し、その有効活用をはかることにおかれている。しかし、せっかく制度を導入しても、運用面で活力を失い形骸化しているケースが目につく。それは、全社的基準である職能等級基準に準じて、職種別、等級別に基本職務(期待し要求する仕事)や職務遂行基準(基本職務の執務行動基準)および人事考課基準が明確に行なわれていないことが最大の原因の1つとなっている。
 全社的な職能等級基準は、運用上の原理原則であって、それをいかに職種別、等級別に適合させ、浸透をはかっていくかにかかっているが、この運用上の肝心かなめのところが抜けている。つまり、従業員にとっては、「自分にはどんな仕事をどの程度やることが期待され求められているのか」いまひとつハッキリしない状態で働いているのである。こうした状態では、成果は期待できないし、各人の自主性や積極性も発揮されることはない。
 職能等級制度や人事考課がいまひとつ定着せず、効果をあげえていないことを指摘したが、要はそこに、基本的な理解不足があることは否定できない。能力主義の人事考課には、それにふさわしい取り組み方があり、進め方がある。その肝心なところをしっかり理解して、人事考課にのぞまないかぎり、能力主義の人事考課への脱皮ははかれない。

 考課者に求められている人事考課に対する新たな認識
 時代は年功主義を過去のものとし、すでに動き始めている。そこで管理者であるなら、能力主義にふさわしい人事考課についての認識をもって人事考課にのぞむことが求められている。では、その認識とはいったいどのようなものであろうか。
 まず第1は、人事考課はマネジメントそのものである―という認識をもつことである。
 職場マネジメントとは、本来職場目標を達成するためのプロセスにおける管理者の思考、管理行動を表す概念である。管理者の役割(職責)は、職場の目標を達成し、期待されている成果をあげることにあるが、職場マネジメントそのものは、目標の達成、成果の実現という役割に対する手段としてとらえられる。管理者がより多くの成果をあげ、より高い目標を達成するには、管理者自ら自己啓発に取り組むことは勿論であるが、なによりも部下一人ひとりの育成をはかることを自己の役割遂行の一番としなければならない。そして、管理者として部下のレベルアップにどのように取り組み、その結果がどうだったかの人事情報システムが人事考課にほかならない。
 その第2は、人事考課そのものと、その結果の活用とを切り離して評価にあたる―という認識をもつこと。
 賃金をはじめとする「処遇に差をつけるために人事考課を行なう」というイメージをもっている考課者(管理者)は以外に多い。しかしこれは、人事考課の結果の活用であって、本来の人事考課のねらいではない。人事考課では、誰がどのような業績をあげ、またどのような能力をどの程度保有しているかを確認し把握することにある。人事考課の結果を、例えば、昇給や賞与にどう活用するかは経営権の問題であって、経営者の専決事項である。実際、各人の昇給をいくらにするかは、賃金規程上でも経営者が決めることになっているはずだ。それにもかかわらず考課者が「いくらが妥当か」を考えて部下を評価することは、経営権を侵害するだけでなく、恣意的な評価結果となることを考課者は理解していなければならない。考課者は、このへんの明確な区分を十分認識しておかなければならない。
 その3は、人事考課は部下の成長記録であり、管理者にとっては指導記録である―という認識をもつこと。
 評価期間中に部下がどれくらい成長したか、部下の能力の「棚卸し」が人事考課である。そうした認識に立てば、部下の職務遂行ぶりを観察、分析、記録し、部下を掌握していなければならないことが理解できるはずだ。また、部下の成長記録が人事考課であれば、いささかの躊躇や迷いもなくフィードバックすることができる。そしてそのフィードバックを受けて部下自身も自己を振り返り、今後の自己啓発の内容と必要性を改めて認識するようになるのである。
 職能等級制度を導入し、賃金制度を見直し、規程もでき、従業員への説明も行なった―という程度では、「能力主義人事制度が確立された」とはいかないのである。従来の「管理(まじめに仕事をしていたか)」のマネジメントから「支援(目標をどう達成させるか)」のマネジメントへの頭の切り替えや、管理行動の変容が求められるが、それは口で言うほどたやすくできるものではない。まず従来から身につけてきたアカを落とし、管理者の意識を払拭するための意識改革、具体的には考課者訓練を反復、継続実施していくことが必要だ。考課者訓練では、考課上のテクニックだけでなく、管理者としての仕事や目標の与え方、指導の仕方などのマネジメント・スキルの向上を徹底的に図るのである。そこに考課者訓練の必要性と目的があり、考課者訓練が管理者研修のアドバンス・コースといわれるゆえんがある。

 育成のための人事考課制度が確立されていること
 仕事の成果(結果業績)や目標の達成度だけを査定し、それを選別に結びつけていく人事考課であれば、結果をフィードバックする必要もなく、またフィードバックしても考課そのものが相対評価であるから、部下を納得させることは極めて困難である。
 しかし、人材の育成とその有効活用をめざす人事考課においては、評価基準に照らして評価(絶対考課)し、どの程度レベルアップがなされたかを的確にフィードバックし、今後の仕事の割当や目標(職務改善を含む)の設定、計画的なO.J.T指導に結びつけていかなければならない。また、業績についてもフィードバックし、仕事(過程業績)が成果(結果業績)に結びついていたかどうか、仕事に必要な能力が十分に備わっていたかどうかを明らかにすることによって、その中から仕事の改善点や育成ポイントを把握していくことも必要である。
 高度成長時代、年功基準の時代には、結果だけを追い求めればよかった。しかし、低成長しかも少子高齢化のこれからは、各人の能力を高めていかなければ、高い業績を望むことは到底できない。結果も大事だが、それをもたらす原因はもっと大切である。人材を育成し活用し、能力で処遇する能力主義の人事考課は、結果としての業績考課とあわせて、その原因である能力考課を重視していくことが必要で、業績=能力という短絡的なとらえかたでなく、両者をきちんと仕分けた人事考課システムが求められてくるのである。そして人事考課の結果を、業務改善とか能力開発にフィードバックし、上司と部下と一緒に考え合う(上司のO.J.Tと部下の自己啓発の統合)面接制度の仕組みをつくりあげていきたいものである。
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