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■ 「コース別人事」より「複線型人事」、成果主義人事を設計するコツ

       
2005年7月3日  

 大手企業といわれる企業の半分近くが「コース別人事」をとっているという調査結果がある中(厚生労働省03年調査)、かたや成果主義の導入率も大手企業では8割に達しようとしている。「コース別人事」で成果主義人事が効果的に運用できるのか、人事管理の背骨ともいえる人材区分(資格制度)を“成果主義”からながめる。

 男女雇用機会均等法の成立を機に企業は、人事管理を男女別から“転勤や昇進昇格がある総合職”と“転勤がなく昇進昇格もほとんどない一般職”から成る「コース別人事管理」を採用し出した。その後、今日までの20年間に育児休業法、改正男女雇用機会均等法、男女共同参画社会基本法等が施行・策定され、コース別人事においては運用面での指導が何回か行われている。
 20年という歳月は長いのか、短いのか。企業に「コース別人事」が広まり出してからの月日である。1975年の国連・国際婦人年終了後に成立した男女雇用機会均等法、そして「コース別人事」。社会は変わったか。変わった、女性の結婚年齢はあがり、子供を産まない女性は増え、男性も正社員につけないフリーターとなり、そして、後数年で国際婦人年頃に生まれた子供達の親が定年を迎える。
 変わらない、男女別の雇用はできなくなったが、コース別人事がそれにとってかわり、今もって男女の賃金格差は3割以上ある。日本は正社員の男女賃金格差の縮小のペースが鈍く、国際労働機関(ILO)からの勧告も受けている。先進国の賃金格差は03年には1〜3割内に収まっているのに、日本では依然3割を越し、90年代半ばには韓国に追いつかれている。女性管理職が全管理職に占める割合は微増。“寿退社”の健在。
 本来、「コース別人事」は、複数のキャリアコースを用意することによって、社員一人ひとりが自己の意思と適性に応じたものを選択するのが有効な人材活用であるという考え方から生まれている。現実には、コースが違えば昇進・昇格、昇給の差は必ずしも違法とはいえない、という厚生労働省の指針が男女別をコース別に置き換えただけという結果をもたらしている。男女別賃金は大手企業ほど元気である。

 個人の成果を処遇に結びつける成果主義は、個別管理を基本とし、それは年齢、学歴、勤続年数、性別は考慮されないはずである。しかし現実的に組織の運用を見ると、採用している資格制度との関係もあるが年齢、学歴、勤続年数についてはある程度昇格・昇進等に反映されているようだ。それは以前のコラムでも触れているよううに、日本の精神文化の影響もあって欧米的な個別管理を推進すると、職場風土の険悪化や社員の士気の低下を招くからである。性別については上述しているように、男女間格差は合法的ではなく、今後益々法的整備がなされ“同一価値労働、同一賃金”の確立に向かうことは明らかである。
 
 経済産業省が行った「男女共同参画に関する調査〜女性人材活用と企業の経営戦略の変化に関する調査〜」報告書(17年6月)にこんな項目が載っていた。
『個別管理する職場は大卒女性も女性管理職も多い。
―最近の企業の人事処遇体系の変化においては、年齢、勤続年数、学歴などの労働者の属性的要素を評価する「属人給」を含む賃金体系を有する企業の割合が低下し、業績、職務、能力などの職務の内容に付随する要素のみに対応して決定される「仕事給」を含む賃金体系を有する企業の割合が上昇する傾向にある。―
 ―個別管理の度合の高い職場では、大卒女性採用比率、女性管理職比率が高く、男女勤続年数格差が小さい。個別管理をしている職場は、事業所内賃金格差が大きく、同じ性別でも個々人の業績や能力に応じて処遇をしているため、男女の役割分担が少なく、活躍の場が与えられやすいと考えられる。―』

 個別管理が徹底されていくと、“男女”間格差は自然消滅していくようだ。本人の意思と能力と適性、これのみに目を向けた人事管理が待たれる。

 人事管理システムを厳格に区分すると、複線型人事管理に「コース別人事」も属すことになるが、日本企業においての「コース別人事」は、転勤の有無や基幹職か定型職かといったコースによって採用後の処遇を決めており、かつ運用が“男女別”人事管理とする色合いや認識が強いので、通常複線型人事という範疇とは別途の扱いとしている。このことからいえば、複線型人事管理とは、全部門・全職種に適用される単一の人事管理以外のシステム、例えば、事業部別、職種別、職掌別、勤務地限定型などをいう。、また専門職や役職定年制などもコース選択によって社員の仕事や処遇が異なることにおいては、複線型である。
 どのような制度を複線型人事管理というのか、という疑問に対しては、“単一ではない”人事管理システムと答えるほかない。各企業がどのような“複線”を形成するかは、その企業の経営理念、戦略、また業種や社風が大きく影響するからである。
 複線型人事管理の基盤となるのは、個別管理である。企業は社員一人ひとり個別に成果を求め、働く社員は己の意思と能力に合わせて組織内の仕事を選択し、コースを歩んでいく、これが複線型の目的である。それは前述した「コース別人事」の考え方であり、成果主義に通ずる。年功に極めて流されやすい集団管理は、一人ひとりの社員の特性を掴むことはできず、誰が何の仕事を担当しているのかさえ捉えることはできない。皆でまとまって仕事をこなし、目標を達成しようとしている、“頑張ろう!エイ、エイ、オー!”の世界だ。一人で仕事を行ってはいけない世界が集団管理の生み出した公正で平等の世界である。

 大企業では8割を超すほど成果主義が導入されているにもかかわらず、成果を求める社員に対しての人事管理は未整備・未成熟といわざるをえない。人の動機づけで最も重要なことは、賃金の高さでも立派な机や椅子でもない。個々人をシッカリ見つめ、特性をつかみ、各人に適した仕事とその成果の処遇の提供である。能力は生まれながらにして決定されているものであるが、“その気になる”という心の持ちようは、人間の本質的な問題であり、能力の高さとは関係ない。能力の高い人ほどモチベーションが高いというものではない。成果主義とはそれほど難しい主義主張でもない。個々人の特性に合わせた(勿論、本人の納得が必要だし信頼関係にあることが前提であるが)職務や目標を設定し、その成果について評価し処遇に反映させる、ということだ。それぞれの過程の中で整備しなければならない制度や仕組みはあるが、根底の考え方さえ明確になっていれば、成果主義人事、成果主義賃金は構築できる。運営していく過程で環境の変化や不備な点が発生したら、手術を施せばよい。世に完璧はあらじ、特に人間がかかわるものに至っては、不完全こそ適応性が強いのでは。

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