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■ 終りなき戦い、人事制度・人事考課

       
2004年6月4日  

 先月のコラムで触れた、イラクの日本人人質事件から思い起こした“戦場カメラマン”。まさにその戦場カメラマンでありジャーナリストの死。 戦争の世紀といわれた20世紀に引き続き、民族・宗教の衝突と名づけられそうな様相を呈している21世紀数年の動き。人間を救うはずの宗教が…悲しみと憤り。
 日本人には宗教心がないとよく言われるが、日本的宗教心ということであれば古来からある。日本の自然や文化とともに二千年以上にわたって育まれた日本人の心に宿した、自然への畏れ、浄土への憧れ。神社に行けば拍手を打ち賽銭を投げ、お御籤も引く。失恋すれば京都に一人佇み、ご来迎を拝みに山に登る。西洋流信仰心でないだけだ。
 企業における人事制度も国あるいはその土地が育んだ人間の精神風土を抜きにしては、機能させることはできない。今でこそあまり使われなくなったが、「企業文化」という言葉。内にいる人間にはその色・形は見えにくいが、外部から感じ取れる、その企業独特の雰囲気。良くも悪くも。某自動車会社のように重要な欠陥を隠蔽しようとする感覚や行動しかり。大企業になっても社員皆家族といった家庭的な雰囲気を消さず、業績が厳しくても人のリストラは絶対行わないとするのも一つの企業文化である。
 日本企業に共通している企業文化といえば“年功”。農耕民族である我々は、集団行動がDNAに組み込まれているのか、集団(組織)での協調を重要視するし得意だ。それは儒教的精神とも絡んで人間のまとまりを“年”で形成し、組織を作る。協調と年功がみごとに合体され花開いたのが高度成長期の企業組織ではなかったか。
 成果主義といっても、故に日本に根付いている“年功”を小匙一杯か少々は入れないと、日本的風土にはなじまない。理屈でいえば成果主義は年功を全否定するが、全否定を全否定で通すと大きな摩擦を起こす。成果主義見直し企業の噴出はここにもその要因が見つけられる。心の問題だけに、表面に現れないだけに厄介な問題として。
 成果主義を押し進めている現企業においても、ほとんどは給与決定に大卒、高卒を設定している。これは学歴年齢給であり、成果主義といっても、そういう賃金体系を組み込まなければならないのは日本人であるからである。今後、さらに成果主義が浸透し、世の中も企業も日本人の精神も変わっていけば学歴は言わなくなるだろうし、まして男女の格差も消滅することだろう。
 
 能力主義が言われ出してから導入企業が多くなった職能資格制度は、人事諸制度を眺めても制度としては長持ちしている。成果主義の現在でも職能資格制度を人事制度の基軸としている企業は多い。職能資格制度が時代環境の激変にもかかわらず今もって存続しているのは、制度のもつ適応力である。適応性の高さゆえ、時代の変化を受け入れ変容し、運用も変化している。専門職やコース別といった複線型などはその例である。成果主義導入が盛んになるに従い、職能資格制度を中心とした社員分類も、雇用の多様化にみられるよう、さらに複合的な分類が始まっている。

 戦後すぐに作られた人事考課も、歩みは遅いが変化している。制度は実態に合わせて作られるものであることを考えれば、理想的なものはムリで、現在よりはもう少し進歩したものをという各企業の努力によりここまでたどり着いた。
 昔の、現在から見れば不整備な制度であっても、制度があるからこそ社員に評価に関しての疑問や不満を説明できる。「君はここまででやっていないのだから、この評価だよ。ここまで能力を伸ばして欲しい」と。現在よりはいいものを、説得あるものを目指して企業は制度づくりをしているはずである。
 雇用の多様化と人事処遇、それと人材育成の問題は制度なくして対応し切れない。総合職・一般職、専門職、専任職、役職定年制…これに賃金が絡むという、複雑化してきている企業の人事制度は、各制度が強く連動される必要性は高まっている。職能資格制度や評価制度、賃金制度、またそれらの規定化、さらには能力開発体系の構築は、同じ土俵で話し合える基盤づくりという意味で人事の武器となるものであり、制度のもつ一側面でもある。納得性と信頼性を求めて、まだまだ人事制度は変化し続ける。

 人事制度系Q&A。
 「職能資格制度を導入しているが、それと人事考課(段階択一法)とがすっきり結びつきません。どこに問題があるのか」
 職能資格制度を制度としてしっかりしたものにさせるには、職種別等級別の職務行動基準と職務能力基準が必要である。職務行動基準は人事考課の業績考課では仕事の種類が評価要素になるし、基準は行動で表されているので評価基準にもなる。職務能力基準は能力考課の評価基準として使われる。
 制度が、制度的に運用されることと並んで重要なことは職場のマネジメントでの活用である。職務行動基準は仕事を指示やOJTを行うためのガイドラインとなるものであり、職務能力基準は自己啓発・OJTなどの能力アップへの目標となる。
 これをどのように作成するかは各企業の目的(経営ビジョンや人事戦略)によるが、「成果主義」を目的とするなら職務の明確化は必須条件であるので、職務分析は行いたいものだ。人と仕事とを結びつけているのは行動である。仕事は人が行動として行うものであり、“職務”は抽象的な概念だが人が行って初めて具体的な概念となる。職務分析は職場のキーマンに仕事を洗い出してもらうが、それを媒体にしないと仕事が捉えられないからである。この観点からいっても、職務を遂行した行動とその結果を評価する人事考課も人間一般は評価しない。部下が担当職務をどのように遂行したのか、その過程での能力の発揮を評価する。フィルターが仕事だからであり、仕事を媒体にして部下がどうであったかを評価するのが人事考課である。

 「部下の職務遂行能力をみるだけで人材の育成ができるのか。その人の生い立ちなども加味していくべきではないのかと実務をしていて疑問を持っています」
 人事考課で全てを見ようとするとこの疑問は当然起こる。人事考課は教育制度、賃金制度や昇進制度を運用する上で必要となる人事情報の一部を担っているにすぎず、育成の観点からいえば職務遂行能力だけしか見ない。しかし、管理者が部下を評価する場合、彼の全人格を評価しており、人事考課はその一部でしかない。管理者が行っている部下評価と人事考課は違うのであり、部下評価は広く、その内の一部分をさせているのが人事考課なのである。人材育成となると全人格が入り(能力だけでなく、適性や性格、意欲等)、人事考課はその資料として使う。管理者は広い範囲での部下の私的・公的行動を知っており、その全行動で評価を行われては企業が求める評価とはならないこと、人材育成に必要な情報が得られないこと、つまり人事考課は部下評価の一部だということを訓練等を通して明確にし、理解させなければならない。
 例えていえば、上司と部下が飲みに行くと、お互いの情報を流し合いながら管理者は部下の評価をしている。職務遂行以外の能力を見ている。私的行動も含めてあのときは良くやったとか、こんな能力があるなど。これをそのままほっておくと職務以外の評価が人事考課に入る可能性が出てくる。人事考課の意味や目的を理解させるということは、成果主義云々以前の重要事項である。

 「人材育成を理念として謳っているのですが、人事部と研修部がリンクしていません。また管理者は人材育成は研修部でやるものだという感覚で無関心ですが、それでいて今の研修内容では現実に合っていないという苦情がきます」
 教育だけが独走している。 “日本の経営の問題はできる限り人間を伸ばしていこうとしているところにある”と堺屋太一氏は言っているが、これでは教育の行き着くところ、ゴールがない。独走するもう一つの原因は、研修部門は評価されにくいという点。予算を使って社内・外の集合研修をしても、社員がどれだけ能力が伸びたのかという評価がされにくいので、教育だけが先行してしまいがちになる。
 研修というのは本来、自分から研究のために修養を重ねるということで、教えてもらうことではない。研修部は何ができるかというと、社員が自己を磨くための刺激を与えてやることで、その中心となるのが職場の管理者である。管理者が仕事を通じて、能力だけでなく人間的にも養成していくこと、これが教育の本来の姿ではないか。問題点を一つ。経営者や研修部に対する評価が“新しい手法や技法の研修をどれだけやったか”になっている現状である。会社に役立つかよりも、新しいことをやって自己満足、会社満足を求めている。満足した結果、仕事にどう反映したかは問わない、このような傾向の企業は多いように思われる。
 研修部の問題点をあげると、経営理念を踏まえて人事理念はどうあるべきか、その中でで長・中期経営計画に合わせた人材育成理念はどうあるべきかを討議していないこと。その上で組織の管理は今後どう変更していくべきか、必要な能力は何か、という教育計画ができていないことである。教育体系という意味も、今まで行ってきた研修を並べるのではなく、経営理念があり、経営目標があり、経営戦略があって、これに合う人材を養成する人事理念を出す。その人事理念を受けて教育計画が立てられるべきであるが、そういう掘り下げがないと教育ばかりが花ざかりの研修部になること必定である。

       
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