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■フリーターを考える

       
2003年10月9日  

 若い世代を中心に働き方が変わってきている現代、中高年との生き方のギャップは予想以上に大きい。
 フリーターなる言葉が生まれて、サラリーマン生活を営々としてきた者からは嘆きのため息が聞こえてくる。
 今の中高年が若者だった頃は、学校を出たら働くことに迷いは持たなかったが、どんな職種に就くのかの意識はほとんどなかった。強い日本になり、豊かな社会になった今、現代の若者は職種へのこだわりが強い反面、働く意欲が見えにくくなっているようにも感じる。働くことへの意識が低いと単純にいっていいものかどうか。

 「そもそも正規雇用に就くことが人生の目標なのだろうか」と『上野千鶴子が文学を社会学する』の著者:東京大学教授、上野千鶴子氏は疑問を呈している。
 フリーター(学生でも主婦でもなく、パート・アルバイトとして働いている者、あるいはそれを希望している34才以下の者)人口が200万人を超えるといわれ、問題化されているが、疑問、なぜ34才という年齢で区切っているのか、根拠はあるのかないのか。氏は「35歳までフリーターをしてきた人が、それ以降に定職、つまり正規雇用者になる可能性は低い。それからもフリーター状態を続けるとすれば、それをフリーランスの自営業と呼ぶ。税法上は白色申告をする個人事業主である。フリーターは過渡期ではなく、ライフスタイルの一種になるだろう」と述べる。将来の会社を見据えれば、標準化された社員の会社への忠誠心はさほど重要とは思われない。多様な意識を持った働く者の仕事の成果を公正に評価する仕組みが重要視される。ここ十年ほどの間に企業が人件費削減の名のもとリストラした結果は、労働強化(サービス残業がよい例)は進み、職場に自己の人生を託したくないと思う人が多くなっているのではないか。それに自分が忠誠心を捧げても会社は必要に迫られればいつでもまたリストラする。倒産するかもしれない。
 世界システム論のウォーラースタインは、先進工業諸国を通じて正規雇用のパイは、これ以上増えない、と予測している。だとすれば、ますます希少化する正規雇用と言うパイをめぐって働く側同士が争い、それを得ることを“上がり”とすることだけが人生なのだろうか。ひょっとすると若い世代は当の昔にそのことに気がついているのかもしれない。
 20世紀の始め頃、1日12時間や14時間労働は当たり前と言う時代があった。労働時間の規制が行われるようになって、現在日本社会でも週休2日制、週40時間労働と言う概念が広まってきたのだ。長い時間職場に縛られたくないという世代が現れてもなんの不思議もない。フリーターはその表れの一つかもしれない。自分の人生の都合に合わせて仕事につき、離れる。出入り自由の労働市場。
 働く時間の短縮、勤務時間を選べる、また転職や中途入社がハンディにならない社会、正規・非正規という言葉は死語になっているような社会が求められているのか、あるいは来ようとしているのか。一人ひとりが働くことの意味を考えざる得なくなっている。仕事に人生を賭けなくていい。ただ、売り物になるスキルの一つ位は持っていたい。
 先のウォーラースタインの近未来社会の予測。シングル・インカムで家計を維持できるような労働のあり方は終わり(日本的にいえばサラリーマンの夫と主婦)、一つの収入源では家計は維持できないが、幾つかの収入源をかき集めれば生活できるという(すぐ思い浮かぶのは夫婦共稼ぎ、ただもっと別の生活集団ができないとも限らない。何しろ多様性社会になるのだから)、いってみれば持ち寄り家計(働く女性同士が何人か集まり一つの家計として生活している例もある)が21世紀では最も現実的なライフ・スタイルとなるらしい。

 若者に替わって我ら中高年世代。
 現実のサラリーマンの健康状態は? 決して安穏とはしていられない。
 メンタルヘルスの実態調査結果をみると、「心の病」が増加傾向にあり、1ケ月以上の休業者が続出し始めている。とくに心の病で一番多いのが「うつ病」。今後各企業において大きな問題となりそうだ。悪化したメンタルヘルスは、目が疲れる、神経が疲れる、体の疲れを感じる、朝起きたとき疲れた感じが残る、仕事のノルマが厳しい、今の会社生活は安定しており今後の生活に不安はない。心当りのある方、いるのでは。かくいう拙者は幾つか思い当たる点ありで、うなずいていた。
 それに対応すべき企業側の「心の健康」対策は、逆に前年より実施率が低下しているとの結果。例えば、従業員の心の健康対策(メンタルヘルスケア)に取り組んでいる事業所の割合の低下、過去1年間に人間ドッグやがん検診を実施した事業所の割合の低下など、前年と比べて実施した事業所が少なくなっているのは、どう捉えるべきか。
 一応長期雇用保証が前提となっている正規社員であるが、長く勤めるためには心身の健康を保つために、自身でメンタルヘルスケアを怠りなく、を肝に命じる必要がありそうだ。

 フリーターと呼ぼうか、非正規社員としようか。ここは漢字を使うこととしよう。
 非正規社員として働いている者は企業に何を望んでいるか。
 量的には増加が見込まれ、質的にはより高度な役割を果たすことが期待されている彼らであるが、身分格差と言ってよいほどの正規社員への参入障壁は大きく立ちはだかっている。さらに賃金水準のギャップはその上をいくほどの壁である。
 「能力に応じた処遇を決める」「教育訓練や研修の機会」「正規社員への登用の機会」、企業に求める制度は、この3つに尽きるようだ。非正規社員間の転換制度、自己啓発支援、研修制度などが整っている場合、非正規社員の評価・処遇に対する満足度は高まり、意欲の喚起に繋がっているとの調査結果も出ている。非正規社員のメリットは“色々な仕事を体験できる、自由だ”等概念的、イメージ的であるが、デメリットというと相当シビアである。概念で言えば、“たくましさ”を最大の武器とすることになる?

 正規社員の間では、成果主義的賃金・処遇制度がさらに浸透していくという予測の中、この制度下では評価によって賃金・処遇が決定されるので、人事考課における社員の納得性の確保がより重要となる。人事考課については、評価方法・基準、考課者訓練(当オフィス主催の11月の考課者研修を参考に。9月のコラムに詳細を掲載)のあり方が課題であり、評価基準の明確化や公開制度等の充実が必須である。
 ということは常々、言われてきたことである。企業が解決すべき課題ははっきりしているが、その課題に立ち向かうかどうか、それぞれの企業の経営のあり方に表われる。
 (付録)成果主義人事で採用されているコンピテンシーに関しての調査結果。コンピテンシー導入・活用における課題を問うた設問だが、回答率の高い項目からあげると、「妥当性、設定に手間がかかる」「結局、抽象的な表現になってしまう」「部門や職種別の設定が困難であった」「抽出・設定に手間がかかる」「導入後の効果が未知数で信頼できるのかどうか」「メンテナンスに手間とコストがかかりすぎる、コンピテンシーの考え方に基づく考課者訓練が難しい」。

 現在と将来にわたる企業経営の難しさは人の問題だけをみても、正と非社員の存在、それぞれに納得させられる制度の整備と運用等、やりがいある(!)課題は山積している。これらへの対策を講ずることなく、現実から目をそむけていては人事管理の成否は企業の存在そのものを脅かしかねない。一方、働く側も正か非社員かといったことだけにとらわれすぎると、自己の人生を見失いかねない。前述した上野氏の言、「そもそも正規雇用に就くことが人生の目標なのだろうか」を己に言い聞かせ、自分の人生設計を描いてから雇用の形態にこだわればいいのではないだろうか。

       
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