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■間違った成果主義が生んだサービス残業

       
2003年8月4日  

 「正」成果主義への道程。

 業績管理が厳しくなる中、企業は配置転換や雇用調整につながる組織の整理・統合・スリム化を実施し、サラリーマンの仕事と働き方が大きく変化している。
 一つ、人件費の高い正社員から派遣やパートなどの非正社員への置き換えが進み、正社員の割合は4人に1人になろうとしている。一つ、仕事の成果を個別に評価して賃金を増減する成果型に軸足を移す企業が広まり、特に管理職層については賃金面での年功序列はほぼ排除された観がある。一つ、実際の労働時間にかかわらず、一定時間働いたと見なして賃金が支払われる裁量労働制は、成果主義と表裏一体で浸透している。一つ、定型的業務を中心に業務のアウトソーシング化が進んでいる。
 このような雇用の効率化の動きは活発化しているが、一方で問題が浮上している。サービス残業、過労死・過労自殺である。死に追いやるような雇用のあり方はもっての外であるが、サラリーマンの大部分といっていいほどに課せられている(時間の多寡は別にして)サービス残業については、企業側、働く側共に真剣に取り組むべき問題である。

 2001年に厚生労働省が出したサービス残業の解消に向けた通達、「労働時間の適正な把握のために使用者が構ずべき措置に関する基準について」は、労働時間を会社側が把握・管理せず残業申告の限度をつけて労働者自身に偽りの自己申告をさせるなど、サービス残業の実態に対して企業に労働時間の正確な把握・管理・記録を義務付けたものである。
 通達内容『使用者は労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、記録する。始業・終業時間の記録は使用者の現認、あるいはタイムカード、ICカードなどの客観的記録で行う。自己申告によって把握せざるを得ない場合は、使用者は労働時間を正しく記録し、必要に応じて実態調査を行うなど、実態との乖離がないかチェックを行う。また事業所の時間外労働時間上限の設定が、労働者の適正な労働時間申告を阻害していないか確認する。労働時間の記録に関する書類は労働基準法第109条に基づき3年間保存する』。
 割増賃金の支払いの悪質な違反に対しては司法処分も含め、厳正に対処するという姿勢をみせている厚生労働省は、相当の力を入れて、実態把握や企業指導に当っている。働く側も近年は、あまりの酷使に黙っていることはせず、労働局に駆け込む例が全国的に出始めた。先月下旬の新聞には、消費者金融の大手が何年間もサービス残業をさせ、労働局の再三の指導にもかかわらず改善しなかったことに対して、労基法違反容疑で会社と役員クラスを書類送検したと報じていた。サービス残業は違法である。企業は、適正な労働時間管理を実施し、サービス残業を生むような土壌をなくすよう、経営層から意識改革し取り組まねばならない。

 サービス残業の怖さ。
 現在、企業の経営層にいる方々は、長時間労働をしてきた結果が会社の発展に寄与してきたという成功体験をもっているので、どうしても評価の対象が時間労働になりがちである。人件費の削減を目的としてリストラを行ったが、体制が旧態のままであれば仕事量は変わらず、人員が減った分当然のこととして残った社員は残業をせざるを得なくなる。経営層の長時間労働を評価する風土と少ない人員で従来の仕事をこなすという、両方がマイナス的に相俟ってサービス残業を発生させている。競争力強化のために業務改革を掲げている企業は多いと思うが、サービス残業を積極的か消極的かは別にして容認していると、時間管理ができない結果業務システムの不備は隠され、改革には程遠い現状があるのみとなる。改革に最も重要なのは現状把握である。サービス残業は、経営体質を弱体化させる源であるということを経営者のみならず人事に携わっている者も肝に銘じるべし。

 サービス残業をなくす。
 残業時間のみに視点をあててはいけない。労働時間全体から考えるべきである。サービス残業がまかり通っている一方、労働時間の短縮も労使の間ではテーマとして上がっている。完全週休2日制の導入と実施や年間労働時間2000時間制にとどまらず、有給休暇の増加と取得率の向上、育児休暇制度の導入等、時短に関する課題は多い。社員の労働を、労働時間をどのように考えるのか、その考え方と姿勢を企業はしっかりと持たねばならない状況なのである。何を軸にすればよいか。仕事である。社員それぞれの仕事の内容が重視されるべきである。時間管理をするのではなく、個人別に仕事の管理をすること、すなわち仕事の内容を中心にして評価し、処遇する。業務内容と人、この関係を客観的、効率的に整理し、社員それぞれの個性と能力の違いを尊重し、個人の成長と企業の発展を一元化することに、人事施策の柱があるといえないか。
 企業は冒頭でみたように、雇用の効率化をはかりつつあり、働く側にとって厳しさは増すばかり。しかし、逆にいえば能力に合った適正な配置が行われ、公正に処遇されれば社員にとってもやりがいは出てくる。時間を軸に置くと、逆に社員は長い時間働く者が評価されるので、能力の向上や仕事の改善はしなくなり、社員の質は下がる一方となる。マズローの欲求5段階説ではないが、人はやりがいを求めるものであり自己実現の欲求は誰もがもっているはずである。少なくとも優秀な人材と見込んで採用したのであろう貴兄の会社の社員は。

 サービス残業の実態。
 昨年の連合アンケートから(「雇用リストラの中で高まる仕事の負荷と不払い残業の実態」より。連合組合員23,000人の集計結果)。
 過労死認定基準は年間労働時間3000時間であるが、それ以上の労働時間になる可能性のある(!)労働者は、30代前半男性では30人に1人という。前述したように週40時間、年間2000時間労働の時代に桁外れの数字である。全体では2人に1人がサービス残業をしており、平均するとサービス残業時間は約30時間、「個人に課せられたノルマ達成、皆がサービス残業をしているから」が主な理由。その中で月90時間以上残業している人の半数以上が「健康に不安を感じ」ており、さらに「収入が大幅に低下するのではないか、昨年と比べ仕事がきつくなった」という職場への不安は多くの人が感じている。その不安の背後にはリストラの影が見え隠れしており、正社員の減少、時間外労働時間増加の職場ほど仕事がきつくなったという声をあげている。
 前述した文を再度引用させてもらうと、『人件費の削減を目的としてリストラを行ったが、体制が旧態のままであれば仕事量は変わらず、人員が減った分当然のこととして残った社員は残業をせざるを得なくなる』のだ。残業は増えるばかりである。

 「質」が勝負の労働時間。
 労働の価値を時間で評価する価値観がずっと続いてきたが、脱却すべき時期であろう。「労働者が企業に労働を提供し、企業の指揮命令に服している時間」を労働時間というが、その時間内を個々の労働力を集約して合理的に効率的に働いてもらうために人事諸制度を整備し、労働者間に不満や不公平が生じないよう公正をはかっている。今、その基本となる労働時間について“長さ”と“質”は見直されるべきであろう。
・ 労働時間の適正化―法定時間は遵守されているか、労働時間が業務の繁閑に合わせ効率よく設定されているか―
・ 労働時間管理の徹底―欠勤・遅刻・早退の根絶に努めているか、休憩時間は厳守されているか、残業の事前届出は励行されているか、年次有給休暇の事前申請は励行されているか―
・ 時間意識を高める―経営者が労働時間の意義を常に呼びかけているか、社員の時間に対する自覚を高めているか、仕事の段取りを十分に行うよう仕向けているか、標準時間を設定しその中で仕上げるよう仕向けているか―
・ 管理者の労働時間意識を高める―目標の設定と達成のための仕事の進め方を部下に理解させているか、仕事の合理化・効率化・作業手順の改善を考えているか、部下の仕事の進捗状況を常に把握し的確に指示・助言しているか―
・ 職務の見直し―ムダな仕事・重要でない仕事が行われていないか、スピードアップや定型化・標準化の余地はないか、会議は効率的に運営されているか、伝票・報告書類に不必要なものはないか―

 時間管理は企業運営の土台である。理想的なビジョンを打ち上げても、すばらしい戦略が立てられても、まして成果主義なるものを導入しても、経営者と働く側が手を組まねば目標は達成できない。その第一条件が法を遵守した、適正な労働時間管理である。

       
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