社員分類制度設計/人事考課制度設計/賃金制度設計/その他人事諸制度設計/研修・講演講師

成果主義を実現する人事考課

成果主義を実現する人事考課 成果主義を実現する人事考課/お問合せ
  MCO マネジメント・コンサルタント・オフィス  
TOPコンサルティング各種研修考課者研修企画見積書公開活動コラムリンク集サイトマップ
MCOサイト内を検索

■成果主義で増えてきた?!個別紛争

       
2003年6月2日  

 筆がススムままに、成果主義尽くし。
 現在生じている景気の停滞は、結局、日本の経済、経営の仕組みが大競争時代に適合しなくなってきたことによると推察している。世界経済が大競争時代に突入し、日本の経済システムや経営システムの革新が切迫しているにも関わらず、足踏み状態企業のなんと多いことか、経営システムや人事・賃金管理の全体が革新を必要としているのに・・・。
 最近耳にする企業の公的資金の申込みや倒産、企業犯罪の事例がよく示しているが、企業の命運を左右するのは、経営戦略や経営者の意思決定だということである。社員がいくら一生懸命仕事をしても、経営者が誤った意思決定をすれば、取り返しのつかない結果を誘う。企業目標と個人目標(成果目標)が連鎖する成果主義では、経営という視点に立って制度は設計・運用されなければならず、それが十分な吟味もされないまま制度移行すると失敗は免れない。成果主義は90年代後半以降、大規模なリストラの敢行と併行して普及してきたが、ここに至って見直す動きも出ている。理由として経営サイドは、成果が追求されるので目標設定が低いレベルで行われる、失敗を恐れずチャレンジする風土がなくなってきた、管理職層に自己の成果を追求するあまり部下の人材育成をおろそかにする行動がみられる等を指摘するが、これは制度の問題というより、運用の問題であり、経営サイドと社員とのコミュニケーションの問題である。
 成果主義は個人業績すなわち個人の企業への貢献度によって評価され、賃金が決定するシステムである。企業は経営目標や経営理念を達成するために社員に何を期待しているのかを正しく伝え、社員はその期待にどのように貢献したかを働きかけ、双方で成果主義を作り上げるという発想が欲しいものである。

 成果主義での評価の公平性、納得性をめぐる問題。
 成果主義を導入した際に不満として最も多く出るのは、評価をめぐる問題であり、公平でない、評価に納得がいかないといった不満である。総じて、評価者のアカウンタビリティ(説明責任)能力が問題とされる。評価者と評価される者との信頼関係が築かれるかどうかである。その前提としては、評価基準や評価結果のフィードバックが必要不可欠であろう。また、評価結果に納得がいかない場合に異議申し立てができる「苦情処理機関」の設置も必要である。ところが、フィードバックがない場合がきわめて多く、苦情処理機関も置いているところが少数派であり、設置している場合も形骸化しているところが少なくない。
  ある調査によると、単に成果主義(処遇を重視した成果主義)を導入しただけでは成果に対する意欲の向上効果は限られたものにとどまること、本当に意欲の向上に効果があるのは、成果主義の導入と同時に実施されるさまざまな環境整備であることが示されている。具体的にいうと、目標管理制度、評価基準の明確化と公開、評価の本人へのフィードバック、上司との面談、権限委譲、役割の明確化、能力開発の支援などの施策。
  ここであげた「環境整備」をみるとその多くは、「評価」に関連している。成果主義の成否が「いかに成果を公正に評価するか」にかかっていると言われる所以で、評価に対する納得を高めるための施策が意欲の向上に、成果につながると考えられる。企業が唱える成果主義の理念の一つは「貢献に応じた公正な処遇」であるが、前述の見直しの動きや不満の噴出などをとらえても、これはたいへんに難しい。

 成果主義が徹底しているアメリカはどうか。
 ご存知のようにアメリカの賃金管理は職務を基軸にして行われている。/μ格析(職務記述書の作成)、⊃μ撹床繊↓3匿μ海凌μ嚇級への格付け、こ杏瑤力働市場の職務別の賃金水準を考慮して各職務の賃金水準を決定、という手順である。職務記述書に基づき目標が設定され、職務内容に応じて職務等級が決まり、社員一人ひとりの賃金管理を行っているのがアメリカの企業社会であるが、一方、広く労働市場において職務の大きさや職務内容と賃金水準の間に社会的な合意が形成されているので、新しい職務が加わり業務内容が拡大すると、職務内容の高度化ということで、職務等級が上昇し、賃金水準も高くなるというシステムが確立しており、社員の努力は報われる。こうした職務と賃金の連動する仕組みが社会全般に整っているところに大きな相違がある。
 かなり長い期間以上のような職務中心の人事管理を行ってきたアメリカであるが、動きが出てきた。意思決定がトップダウンで行われ、企業内の教育訓練は経営者や管理者の能力開発に重点をおいていたアメリカ企業が、国際競争の激化、技術革新の進展、変化する市場に対応する必要から、顧客と直接的に接する社員の能力開発に重点をうつすようになってきた。 それは外部環境重視だけでは競争優位は構築できず、持続的な競争優位の源泉として企業内部の資源・能力(情報資源・人的資源)に注目するということであり、人的資源こそ企業の競争優位の主たる源泉である、との考えに拠っている。
 前述したように、これまでは職務記述書が役割、権限、責任の基盤であり、職務記述書によって表された職務が組織編成や人事管理、賃金管理の基軸になっていた。しかし、従来型の職務では急速な市場の変化や技術革新に柔軟に迅速に対応しにくく、ビジネス・チャンスを逸してしまい、また変革も妨げられやすい。そこで、職務記述書に代わって、達成すべき目標と期待されている結果を示し、各社員が起業家的な視点から行動するという自主的、能動的な職務行動が重視されるようになってきた。このような変化の帰結が、コンピテンシー(職務能力の新しい概念)を基軸にした人事・賃金管理の重視であるが、コンピテンシーは、採用、人事考課における能力評価、昇進、人材育成などの領域に用いられている。賃金については、今もってアメリカではなんといっても労働市場を横断する職務給が支配的である。

 あいまいな成果主義で社員を評価し、処遇するととんでもない事態に陥る。
 個別的労使紛争の増加である。バブル経済崩壊後の不況によって企業のリストラが進展し、それに伴い解雇や出向、配置転換や賃下げなどの問題が生じ始めた頃から、個別的労使紛争は激増の傾向にあり、企業組織の再編、個別的な労務管理への移行、また労働者の意識の変化や就業形態の多様化などとあいまって、それは増加、多様化し始めた。
 この個別的労使紛争に対応するために生まれたのが、2001年10月1日から施行されている「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」。
 この法律は増加している個別的労使紛争を適正かつ迅速に処理することを目的としており、(1)紛争の自主的解決、(2)都道府県労働局長による情報提供、相談等、(3)都道府県労働局長による助言及び指導、(4)紛争調整委員会によるあっせん、(5)地方公共団体の施策等、の5点を紛争解決の大きな柱としている。
 労働相談コーナーに寄せられた2002年度の相談件数は62万件を超え、このうち、労働関係法上の違反を伴わない、解雇、労働条件の引下げ等のいわゆる民事上の個別労働紛争に関するものが10万件余となっている。紛争の範囲は「個別労働関係紛争」であるので、解雇、配置、昇進、昇格、労働条件に係る差別的取扱い、セクシュアルハラスメント、いじめ等の就業環境に関するもの、募集・採用に関する差別的取扱い関するものなど、必ずしも労働条件に関する紛争に限定されるわけではなく、労働から生じるあらゆる紛争が対象になっている。
 成果主義は社員に結果の曖昧さを拒絶するが、システムが曖昧であると個別的労使紛争になりかねない。ご用心を。

 成果主義は目的ではなく、あくまで業績をあげる手段である。最も効率よく、できるだけ少ないコストでいかに高い業績をあげるか、そのためには社員の能力をいかにして引き出すか、という手段である。そもそも人はどのような時に進んで仕事をするのか、それは報酬だけではなく、仕事に対する誇り、自己実現、責任など、さまざまなモチベーションに基づく仕事の「成果」に喜びを感じ、自分の価値を見出している時であるといえよう。成果主義とはこうした社員のさまざまな行動の「成果」を原動力として、企業もまた伸びていこうとする制度ではないだろうか? 成果主義を導入するということは、集団管理を捨て、社員一人ひとりに自己の役割を認識してもらい、それに応じた能力を発揮してもらうことだとはいえまいか。
 例えば、IT関連企業が行った成果主義導入。これまでの職能資格制度を廃止し、カンパニー制導入とあわせた人事制度改革を敢行。この企業の成果主義の捉え方は、数値や結果のみを社員に強いるのではなく、会社は社員の成果を引き出すプロセスを重視し、社員は会社への貢献を通して自分自身がいかにハッピーとなるかを目指すものであるとした。
 社員の行動を変え、新たな組織風土・企業文化を構築する――これが人事制度改革である。ただ単に成果主義を謳っても社員の行動や考え方が変わることはなく、成果主義を機能させるためには、会社の向かおうとする方向を社員全員に理解と納得を深めてもらわなければならない。
 成果主義構築において生命線となるのは、前述したように評価の公正性であり、その成果を実現する役割の明確性である。「役割」が明らかになって初めて社員は、「組織の中でのポジショニングと発揮すべき能力」を確認することができ、行動が変わっていく。
 このIT関連企業ではその役割のものさしとしてコンピテンシーを導入した。求められる社員の行動特性をディスカッションやインタビューを行ってまとめ、高い成果をあげるためにはどのような行動をとるべきか、自分の行動レベルはどのレベルにあるのかを明示した。現在はまだコンピテンシーを人事考課に連動させるところまでには至っていないということであるが、これを有効に使うことが社員の能力開発を支援し、ひいては企業の成長につながると企業は考えている。
 
 「こころの砂漠」時代といわれる今日、人はお遍路さんになる。
 桜の季節が巡り始める頃より、白装束、菅笠(すげがさ)、金剛づえの姿が四国霊場に目立ち始めるという。年間二十万人とも、三十万人とも言われる人たちが、さまざまな思いを胸に、弘法大師・空海との同行二人(どうぎょうににん)の旅をする。とくに近年、その魅力に引き付けられる人の数は、衰えを知らず増えている。徒歩巡礼「歩きへんろ」も年間1,300人〜1,400人位と言われ、壮年や学生の姿もあり新たな関心を呼んでいるのが昨今のお遍路さん光景だ。
 お遍路は、弘法大師(空海)の足跡をたどるというところにその源流があると伝えられており、真言宗四国のお寺八十八箇所を回って巡拝することである。真言宗の修行の一環ということになるが、現実にはもっと広い位置づけがあったようだ。遍路は平安時代には始まっていたようで、江戸時代以降、大衆化してからというのは、信心に加えて、一生に一度の現世利益祈願のための行為ともなり、さらには流浪の人のための居場所としても機能していたと思われる。
 宗教的な聖地を訪れるために旅をする「巡礼」は世界中にある。エルサレム、バチカンと並ぶキリスト教三大聖地の一つ、スペインのサンティアゴ・デ・コンボステラの大聖堂への巡礼は1200年昔から続いている。フランスやイタリアからの巡礼者は1000匐瓩にもなる道のりを大聖堂目指してただひたすら歩く。巡礼道の途中には遍路道と同じように食や宿を提供する町・村があるという。巡礼は世界各地にあるといえど、所定の寺院を順に巡り、そのコースが環状になっているというのは、四国遍路に固有の特徴のようだ。
 遍路が現代の中で意味するものは何だろう。
 霊山寺の住職は、「求めても求めても得られない答えを歩きながら探す。遍路の道は心にゆとりをつくり、自己をみつめ直す道」と説く。
 霊場と遍路道をユネスコ世界文化遺産に登録してもらおうという活動が一部で興っているらしい。しかし地元の人は言う。「遍路道は不特定なもので、実体がない。それを文化遺産に出来るわけがない。仮に指定されれば、さまざまに規制がかけられ、しかも観光の対象になってしまう。遍路は現代の価値観に反する行動、つまり非能率、不便、不安、不自由、危険と言う要素がつきまとう。これを通じてたくましさを磨き、情けに触れ、人への畏敬の念を深め、そして人間性を呼び覚ます。これが修行であり、歩き終えたとき、ごく自然に「ありがたかった」と思えるのです」
 巡礼(遍路)の心は世界共通、我が家の狭き書斎から、心を空にして1200キロの遍路道を歩く自身を想像するのみ。

       
ページトップへ
MCO 有限会社マネジメント・コンサルタント・オフィス
〒232-0036 横浜市南区山谷72-1-710 Tel:045-334-7680(代表) Fax:045-334-7681